光触媒を含む抗菌加工材料の抗菌性を、実使用環境に近い条件で評価します。ここでは「JIS R 1702 ファインセラミックス – 光触媒抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果の方法」を紹介します。
試料の種類によって2種類の方法を使い分けます。
試験方法 | 試料の種類 | 試料の形状 | 菌種 |
---|---|---|---|
ガラス密着法 | 単味光触媒抗菌加工またはハイブリッド光触媒抗菌加工を施した繊維状材料 | ガラスで密着できる厚さ(厚すぎる場合試験不可) | 黄色ぶどう球菌、肺炎かん菌 |
フィルム密着法 | 単味光触媒抗菌加工またはハイブリッド光触媒抗菌加工を施した平板状材料 | 平板状、厚さ10mm以内 | 黄色ぶどう球菌、大腸菌 |
紫外線照射強度の目安
JIS R 1702 では紫外線強度の目安として、以下の数値が記載されています。加工の種類、使用環境等に適した紫外線放射強度をご指定下さい。なお、紫外線放射照度が強すぎると、それだけで細菌の増殖が抑制される場合があるため、強い紫外線放射照度による試験は推奨できません。
紫外線放射照度 | 代表的な場所 |
---|---|
0.25mW/cm2 | 昼間の窓際、光触媒機能を作用させるために使用される紫外線蛍光ランプ等の補助光源を使う場合 |
0.10mW/cm2 | 昼間の室内(太陽光が入る窓から1.5m程度内側まで)、朝や夕方の窓際 |
0.01mW/cm2 | 昼間の室内(太陽光が入る窓から3m程度内側まで) |
0.001mW/cm2 | 太陽光が入らない昼間の室内や夜間の室内 |
また、ハイブリッド光触媒加工製品は上記試験に加え、暗所での抗菌性をJIS L 1902 菌液吸収法に規定される方法により評価します。
活性値を算出し、試験結果の評価を行います。
活性値 | 算出式 |
---|---|
抗菌活性値(SL) | SL=MBL−ML MBL:Log(光照射8時間後の標準布の生菌数) ML:Log(光照射8時間後の光触媒加工布の生菌数) |
光触媒加工布の光照射による効果(⊿S) | ΔS=(MBL−ML)−(MBD−MD) MBD:Log(暗所8時間後の標準布の生菌数) MD:Log(暗所8時間後の光触媒加工布の生菌数) |
ハイブリッド光触媒加工布の暗所での抗菌活性値(A) (JIS L 1902 菌液吸収法による) |
A=(log Ct - log C0)-(log Tt - log T0) A :抗菌活性値 |
JIS R 1702 法による試験結果の基準値は下表の通りです。
規格 | 基準値 |
---|---|
JISの基準値 |
SL≧2.0(単味光触媒) またはSL≧2.0かつS≧2.0(ハイブリッド) |
繊維評価技術協議会 (SEK紫マーク) |
SL≧2.0かつ⊿S≧1.0 |
光触媒工業会(PIAJマーク) | SL≧2.0かつ⊿S≧0.3 |
また、ハイブリッド光触媒加工製品は上記試験に加え、暗所での抗菌性を JIS R 1702附属書JAに規定される方法(≒JIS Z 2801、平板状製品)により評価します。
活性値 | 算出式 |
---|---|
抗菌活性値(RL) |
RL=Log(BL/CL) BL:光照射8時間後の無加工品の生菌数 CL:光照射8時間後の光触媒加工品の生菌数 |
光触媒加工品の光照射による効果(⊿R) |
⊿R=Log(BL/CL)-Log(BD/CD) BD:暗所8時間後の無加工品の生菌数 CD:暗所8時間後の光触媒加工品の生菌数 |
ハイブリッド光触媒加工品の暗所での抗菌活性値(R) (附属書JAによる) |
R=Log(Ut)-Log(At) Ut:無加工品の24時間後の生菌数 At:ハイブリッド光触媒加工品の24時間後の生菌数 |
JIS R 1702 法による試験結果の基準値は下表の通りです。
規格 | 基準値 |
---|---|
JISの基準値 |
RL≧2.0(単味光触媒)または RL≧2.0かつR≧2.0(ハイブリッド) |
繊維評価技術協議会 (SEK紫マーク) |
なし |
光触媒工業会(PIAJマーク) | RL≧2.0かつ⊿R≧0.3 |
光触媒って?
光触媒は、光を吸収して活性化し、有機物を分解するなどの機能を持った材料です。基材に光触媒材料を担持・塗布することで、大気・水質浄化、脱臭、防汚、抗菌防臭などの効果を発揮します。