かび抵抗性・プラスチック製品(JIS Z 2911)

概要

 プラスチック製品のかび抵抗性(かびの生えにくさ)を評価します。プラスチック製品のかび抵抗性を評価する定性試験として、「JIS Z 2911 付属書A プラスチック製品の試験」が規定されています。この試験方法は以下の2種に分けられます。

試験方法 寒天培地の種類 胞子懸濁液の種類
方法A 培地なし 湿潤剤添加無機塩溶液
方法B グルコース添加無機塩寒天培地 グルコース添加無機塩溶液

試験では、以下の5種類のかびの胞子を含む混合胞子懸濁液を使用します。
  • Aspergillus niger NBRC 105649
  • Penicillium pinophilum NBRC 100533
  • Paecilomyces variotii NBRC 107725
  • Trichoderma virens NBRC 6355
  • Chaetomium globosum NBRC 6347

試験方法
方法A
概要
 試料以外の有機物がない状態で、かび胞子混濁液を接種した時のかび抵抗性を評価する試験方法です。試料自体に栄養分がない場合、かびは菌糸を発育することができません。
試験方法
  1. 湿潤剤添加無機塩溶液を用いて、5種のかびの胞子を含む懸濁液(混合胞子懸濁液)を調製します。
  2. シャーレに(50 mm±1 mm)×(50 mm±1 mm)の試料を載せ、混合胞子懸濁液0.1mLを試料の全面に接種します。
  3. 接種後29±1℃、相対湿度95%以上で4週間培養した後、培養後の試料表面を目視または実態顕微鏡で観察してかび抵抗性を評価します。
試験結果の見方
下表に従い、培養後試験片のかびの発育状態を評価します。
かびの発育状態 菌糸の発育評価
0 肉眼及び実体顕微鏡下でかびの発育は認められない。
1a 肉眼ではかびの発育が認められないが、実体顕微鏡下では明らかに認められる。
発育部分の面積は試料の全面積の25%以下
1b 肉眼ではかびの発育が認められないが、実体顕微鏡下では明らかに認められる。
発育部分の面積は試料の全面積の50%以下
1c 肉眼ではかびの発育が認められないが、実体顕微鏡下では明らかに認められる。
発育部分の面積は試料の全面積の50%を超える
2 肉眼ではかびの発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%未満
3 肉眼ではかびの発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満
4 菌糸はよく発育し、発育部分の面積は試料の全面積の50%以上
5 菌糸の発育は激しく、試料全体を覆っている。

JIS Z 2911:2023 表A.3より(表は当センター作成)

方法B
概要
 試料以外の有機物がある状態で、かび胞子混濁液を接種した時のかび抵抗性を評価する試験方法です。試料自体に栄養分がない場合でも、かびは菌糸を発育することができます。
試験方法
  1. 湿潤剤添加無機塩溶液を用いて、5種のかびの胞子を含む懸濁液(混合胞子懸濁液)を調製します。
  2. シャーレ内のグルコース添加無機塩寒天平板培地に(50 mm±1 mm)×(50 mm±1 mm)の試験片をのせ、混合胞子懸濁液0.1mLを試料と寒天平板培地の全面に接種します。
  3. 接種後、寒天平板培地を29±1℃、相対湿度95%以上で4週間培養した後、培養後の試料表面を目視または実態顕微鏡で観察してかび抵抗性を評価します。
試験結果の見方
下表に従い、培養後試験片のかびの発育状態を評価します。
かびの発育状態 菌糸の発育評価
0 肉眼及び実体顕微鏡下でかびの発育は認められない。
1a 肉眼ではかびの発育が認められないが、実体顕微鏡下では明らかに認められる。
発育部分の面積は試料の全面積の25%以下
1b 肉眼ではかびの発育が認められないが、実体顕微鏡下では明らかに認められる。
発育部分の面積は試料の全面積の50%以下
1c 肉眼ではかびの発育が認められないが、実体顕微鏡下では明らかに認められる。
発育部分の面積は試料の全面積の50%を超える
2 肉眼ではかびの発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%未満
3 肉眼ではかびの発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満
4 菌糸はよく発育し、発育部分の面積は試料の全面積の50%以上
5 菌糸の発育は激しく、試料全体を覆っている。

JIS Z 2911:2023 表A.3より(表は当センター作成)