JIS L 1902(ISO 20743)で規定されている抗菌性繊維製品の評価方法の一部をご案内します。菌液吸収法は定量(どの程度あるか)試験、ハロー法は定性(あり/なし)試験です。
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① |
スラント保存菌 |
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② | 画線後寒天平板培地 |
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③ | 液体培地に接種 |
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④ | 21時間振とう培養 |
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⑤ |
培養後の液体培地(菌濃度約1億個/mL) |
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⑥ | 液体培地に接種 |
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⑦ | 3時間振とう培養 |
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⑧ |
1/20液体培地で希釈(菌濃度約10万個/mL の試験菌液) |
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⑨ |
試験布(加工布)、対象布(未加工布)に試験菌液を接種し18時間 インキュベータで培養 |
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⑩ |
試験管撹拌機でサンプル洗い出し(以下、接種直後と18時間培養 共に実施) |
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⑪ | 10倍希釈系列作成 |
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⑫ | シャーレに分注 |
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⑬ |
寒天の流し込み後、インキュベータで48時間培養 |
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⑭ | コロニーのカウント |
⑮次式により抗菌活性値を算出
抗菌活性値(A)=(logCt―logC0)-(logTt―logT0)
=F-G
ただし、logC0 > logT0を満たす場合、抗菌活性値はlogT0をlogC0に置き換えて算出する。
試料 | 生菌数の対数値(最大最小差) | 抗菌活性値 | |
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菌液接種直後 | 18時間培養後 | ||
原品(洗濯前) | 3.92(0.2) | 3.22(0.3) | 4.0 |
洗濯10回後 | 4.11(0.0) | 3.19(0.5) | 4.0 |
対照試料(標準布・綿100%白布) | 4.20(0.1) | 7.12(0.1) | 増減値F:2.9 |
試験方法:JIS L 1902:2015菌液吸収法
試験菌種:黄色ブドウ球菌・Staphylococcus aureus NBRC 12732
洗濯方法:JIS L 1930 C4G法吊干し(JAFET標準配合洗剤使用)
JIS L 1902:2015に参考値が記載されています。
抗菌活性値 A | 抗菌効果 |
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2.0≦A<3.0 | 効果が認められる |
3.0≦A | 強い効果が認められる |
JIS L 1902:2015 表 F.1より(表は当センター作成)
一般社団法人繊維評価技術協議会による「SEKマーク繊維製品認証基準」では、「抗菌防臭加工」の基準は、抗菌活性値(A)≧2.2 です。
JIS法には、次の2種の試験菌株が規定されています。
SEKマーク繊維製品認証基準には、次の6種の試験菌株が規定されていますが、抗菌防臭加工の評価には黄色ぶどう球菌のみが用いられます。
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モラクセラ菌(×15000) |
円形、または正方形にカットした抗菌加工繊維製品を試験菌を含む寒天平板培地の中央部に置き、37℃で24〜48時間培養します。
培養後、試験片の周囲にできたハローの長さを測定し次式によりハローの幅を算出します。
W=(T-D)/2
W:ハローの幅(mm)
T:試験片の長さとハローの幅との合計(mm)
D:試験片の長さ(mm)
ハローの幅:15mm
培養後の試料の周囲にハロー(発育阻止帯:細菌の発育がない透明な部分)があれば「抗菌性あり」と判定します。
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ハローあり(抗菌性あり) | ハローなし(抗菌性なし) |
JIS法には、次の2種の試験菌株が規定されています。