硬質表面に対する消毒液の抗ウイルス性試験(ASTM E2197)

概要

 硬質表面を持つテーブルやキッチンなどを模した試験担体に対して、汚れ物質を含むをウイルス液を付着させ、そこへ消毒剤を添加した後の抗ウイルス性の効果を評価します。この方法では、汚れ物質を含むをウイルス液を拭いたり擦ったりする操作は含まれておりません。


目的
 ASTM E2197(Standard Quantitative Disk Carrier Test Method for Determining Bactericidal, Virucidal, Fungicidal, Mycobactericidal, and Sporicidal Activities of Chemicals)により、消毒液等の抗ウイルス性の性能を評価します。ASTM E2197では、試験微生物としてウイルス、細菌、真菌およびそれらの芽胞や分生子が規定されていますが、その中でもご要望が多いウイルスを用いて評価を行っています。
試験対象品
  • 消毒液
試験方法
ASTM E2197
試験方法
  1. 直径1cmのステンレス鋼製ディスク(試験担体)の中央部に模擬的な汚れ物質を含むウイルス液を10μL接種します(汚れの程度は軽度~中程度)。
  2. 接種したウイルス液を所定条件にて乾燥・固着させます。

     
    ウイルス液の接種   乾燥後のウイルス液
     

  3. 乾燥処理後の試験担体表面に50μLの消毒液を滴下します。
  4. 室温で使用時を想定した時間、静置状態で消毒液とウイルスと接触させます。
  5. 接触処理後、所定容量の不活性化剤で有効成分の不活性化と残存ウイルスの洗い出しを行います。

     
    消毒液の滴下   消毒液の不活
    性化、ウイル
    スの洗い出し
     

  6. 洗い出し液を段階希釈した後、プラーク法にて試験担体1枚あたりのウイルス力価を測定します。

       
    プラークの形成           
     

  7. 同様の手順で、抗ウイルス効果のない界面活性剤を含む溶液(対照溶液)を用いて、ウイルス力価を測定します。
  8. 対照溶液と消毒液のウイルス力価の常用対数の差から対数減少値を算出します。
    対数減少値=log(対照溶液のウイルス力価)-log(消毒液のウイルス力価)
試験結果の見方
 対数減少値が大きいほど消毒液の抗ウイルス性評価が高いといえます。
補足

試験可能なウイルス種

  • ネコカリシウイルス(ノロウイルスの代替として用いられます)
  • A型インフルエンザウイルス
  • 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)


 

サンプル必要量

  • 50mL以上



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