バイオフィルムとは、微生物が基質表面に集まることで形成する多糖・蛋白・核酸等からなる構造体です。一般には、排水口等に見られる"ぬめり"として知られています。このバイオフィルム内に存在する細菌は液中の浮遊細菌よりも薬剤耐性が高いことが知られています。従来の液剤に対する評価方法の多くは液中の浮遊細菌を対象としており、バイオフィルムの存在が想定される環境下で使う液剤の評価としては不十分でしたが、ASTM E2871は、バイオフィルム内細菌に対する液剤の評価が可能です。
ASTM E3161 ※1に従って形成させたバイオフィルムを用い、静置条件下でバイオフィルム内細菌に対する液剤の有効性を評価※2します。
※1 バイオフィルム形成の標準作業方法の規格です。
※2この試験方法ではバイオフィルムの物理的な除去性能や形成防止性能は評価できません。
LR=AーB
A:対照区の生菌数の常用対数の平均値
B:試験区の生菌数の常用対数の平均値
試験菌種について
ASTM E2871およびASTM E3161では、以下の2菌種が試験菌として規定されています。
Staphylococcus aureus ATCC 6538(黄色ぶどう球菌)
バイオフィルム形成の標準作業方法として、ASTM E3161が規定されています。
この作業方法ではCDCバイオフィルムリアクタを用いて、クーポン(直径12.7 mmのガラス製試験片)表面にバイオフィルムを形成させます。
CDCバイオフィルムリアクタの外観 | 形成したバイオフィルム |