液剤のバイオフィルム内細菌に対する有効性試験

概要

 バイオフィルムとは、微生物が基質表面に集まることで形成する多糖・蛋白・核酸等からなる構造体です。一般には、排水口等に見られる"ぬめり"として知られています。このバイオフィルム内に存在する細菌は液中の浮遊細菌よりも薬剤耐性が高いことが知られています。従来の液剤に対する評価方法の多くは液中の浮遊細菌を対象としており、バイオフィルムの存在が想定される環境下で使う液剤の評価としては不十分でしたが、ASTM E2871は、バイオフィルム内細菌に対する液剤の評価が可能です。


試験対象品
  • 消毒剤
  • 水溶性の粉末除菌剤
  • 水溶性のタブレット除菌剤
  • 液体除菌洗剤
試験方法
ASTM E2871
概要

ASTM E3161 ※1に従って形成させたバイオフィルムを用い、静置条件下でバイオフィルム内細菌に対する液剤の有効性を評価※2します。

※1 バイオフィルム形成の標準作業方法の規格です。

※2この試験方法ではバイオフィルムの物理的な除去性能や形成防止性能は評価できません。

試験方法
  1. バイオフィルムの形成したクーポンを遠沈管に落とし込みます。
  2. 液剤(試験区用)または緩衝液(対照区用)を4ml添加します。
  3. バイオフィルムと液剤または緩衝液を静置条件下で規定時間接触(標準条件:10分)させます。
  4. 規定時間接触後、遠沈管に中和剤を規定量(標準条件: 36ml)入れ、除菌成分の不活性化処理を行った後、生菌数を測定します。
  5. 次式により、バイオフィルム内細菌に対する対数減少値(Log Reduction, LR)を算出します。

LR=AーB

A:対照区の生菌数の常用対数の平均値

B:試験区の生菌数の常用対数の平均値

液剤のバイオフィルム内細菌に対する有効性試験手順

補足

試験菌種について

ASTM E2871およびASTM E3161では、以下の2菌種が試験菌として規定されています。
Staphylococcus aureus ATCC 6538(黄色ぶどう球菌)

  • Pseudomonas aeruginosa ATCC 15442(緑膿菌)
ASTM E3161
試験方法

バイオフィルム形成の標準作業方法として、ASTM E3161が規定されています。

この作業方法ではCDCバイオフィルムリアクタを用いて、クーポン(直径12.7 mmのガラス製試験片)表面にバイオフィルムを形成させます。

  1. クーポンをセットしたCDCバイオフィルムリアクタに液体培地を入れ、試験菌を接種します。
  2. CDCバイオフィルムリアクタを所定の回転数にて24時間、バッチ運転(液体培地の入れ替えなし)します。
  3. バッチ運転終了後、引き続き所定の回転数にて24時間、連続流運転(液体培地の入れ替えあり)します。
  4. 連続流運転終了後、バイオフィルムの形成したクーポンをASTM E2871に供します。

CDCバイオフィルムリアクタ

形成したバイオフィルム
CDCバイオフィルムリアクタの外観    形成したバイオフィルム