抗菌性・尿吸収製品用吸水性樹脂(JIS S 0252)

概要

 高吸水性樹脂(SAP:Super Absorbent Polymer)とは、自重の10~1000倍の水や水性液体を吸収し、保持できる樹脂のことです。液体の吸水率が高く、吸水するとゲル状になり多少の圧力をかけても液体漏れが防げます。SAPは、ポリアクリル酸などの高分子同士が手をつないだ構造(架橋)を持つ化学物質で、液体を吸収すると固体と液体の中間の状態(ゲル状)になります。

 当センターでは、JIS S 0252(尿吸収製品用吸水樹脂の抗菌性試験方法・抗菌効果)に基づいて、「尿吸収製品用吸水性樹脂の抗菌性試験」を実施しています。


目的
 抗菌加工した尿吸収製品用吸水性樹脂の抗菌性を評価するために実施します。
試験対象品
  • 紙おむつ
  • 失禁パッド
  • パンティライナー
試験方法
  1. 試験試料(吸水性樹脂)および対照試料(綿布)の吸水量を測定します。
  2. 試験試料および対照試料をそれぞれ0.2g測り、バイアル瓶に入れ滅菌します。
  3. 1項で測定した吸水量に応じて、試験菌懸濁人工尿を調製し接種します。(黄色ぶどう球菌または大腸菌を用いて試験菌懸濁人工尿を調製)
  4. 試験菌懸濁人工尿が試料に完全に吸収するまで静置後、37℃の培養器にて18時間培養します。
  5. 18時間培養後、不活性化剤としてSCDLP培地10mlを加えて菌を洗い出します。
  6. 試験試料の粒子を取り除くためにろ過します。
  7. 混釈平板培養にて培養後、コロニー数から生菌数を求め、以下の式から抗菌活性値を算出します。

    A=AcAt
     A:抗菌活性値
     Ac:18時間培養後の対照試料3検体の生菌数の常用対数値の平均値
     At:18時間培養後の試験試料3検体の生菌数の常用対数値の平均値
試験結果の見方
JIS S 0252に規定されている抗菌効果の判断は次の通りです。
試験菌種 抗菌効果あり
黄色ぶどう球菌及び大腸菌 抗菌活性値≧2.0