プラスチック製品等の抗バイオフィルム試験(ISO 4768)

概要

 バイオフィルムとは、微生物が基質表面に集まることで形成する多糖・蛋白・核酸等からなる構造体です。一般には、排水口等に見られる"ぬめり"として知られています。

 バイオフィルムが形成される過程は次の通りです。


 

 抗バイオフィルム試験(ISO 4768)は、バイオフィルムが付着しにくい加工を施したプラスチック製品や非多孔質表面への「バイオフィルムの付きにくさ」を評価する試験方法となります。


 バイオフィルムに関する試験として、「 液剤のバイオフィルム内細菌に対する有効性試験 (ASTM E2871)」があります。この試験では、発生したバイオフィルムに対して消毒剤などの液剤を添加することにより、バイオフィルム内に存在する細菌が減少するかを評価します。


試験対象品
  • プラスチック
  • 塗料
  • セラミックス
  • ステンレス
  • ゴム
試験方法
ISO 4768
試験方法
  1. 平面状で30×30mmの試験片(加工品および未加工品)を40×40mmのガラス板に貼付けます。
  2. 試験片およびガラス板を滅菌された容器に入れ、試験菌液を入れます。
  3. 試験片およびガラス板が入った容器を35℃で48時間培養し、バイオフィルムを形成させます。
    バイオフィルムが形成した試料
     
  4. 培養後、試験片に固定されていない細胞や増殖培地成分を除去するために洗浄します。
  5. 洗浄乾燥後にクリスタルバイオレット(CV)溶液で30分間染色します。
    CV溶液で染色されたバイオフィルム
     
  6. 余分なCV溶液を除去するために洗浄します。
  7. 洗浄後、試験片のバイオフィルムを水溶性不織布で拭き取り回収し、溶解させます。
  8. 溶解させた溶液を分光光度計を用いて、590nmにおける吸光度を測定します。
    マイクロプレートリーダーにて吸光度を測定
     
  9. 次式により抗バイオフィルム活性値を算出します。

R=(1ーWtreated / Wuntreated)×100


R:抗バイオフィルム活性値(%)

Wtreated:48時間後の加工品の590nmにおける吸光度の平均値

Wuntreated:48時間後の未加工品の590nmにおける吸光度の平均値

試験結果の見方
抗バイオフィルム活性値が大きいほど、バイオフィルムが付着しにくいことになります。
補足

試験菌種について

Staphylococcus epidermidis ATCC35984(表皮ぶどう球菌)が用いられます。