抗菌性・光触媒加工材料(JIS R 1752/ 可視光)

概要

 光触媒を含む抗菌加工材料の抗菌性を、実使用環境に近い条件で評価します。ここでは「JIS R 1752 ファインセラミックス – 可視光応答形光触媒抗菌加工材料の抗菌性試験方法・抗菌効果​」を紹介します。

試料の種類によって2種類の方法を使い分けます。

試験方法 試料の種類 試料の形状 菌種
ガラス密着法 単味光触媒抗菌加工またはハイブリッド光触媒抗菌加工を施した繊維状材料 ガラスで密着できる厚さ(厚すぎる場合試験不可) 黄色ぶどう球菌、肺炎かん菌
フィルム密着法 単味光触媒抗菌加工またはハイブリッド光触媒抗菌加工を施した平板状材料 平板状、厚さ10mm以内 黄色ぶどう球菌、大腸菌


 

可視光照射条件

 シャープカットフィルターA(400nm以下をカット)またはB(380nm以下をカット)を装着し、500±25 lx(または100±5 lx~3000±150 lxに変更可)で照射します。


ガラス密着法
対象製品
  • 生地
  • 繊維製品
試験方法
  1. 下図の試験用シャーレを組み立て、菌液を試料に接種します。
  2. 8時間、シャーレに対し可視光を照射します。
  3. 生菌数を測定して光触媒加工製品の抗菌性を評価します。

また、ハイブリッド光触媒加工製品は上記試験に加え、暗所での抗菌性をJIS L 1902 菌液吸収法に規定される方法により評価します。
 

試験結果例

 活性値を算出し、試験結果の評価を行います。

活性値 算出式

可視光照射条件F-Lで光照射した

光触媒抗菌加工布による抗菌活性値

SF-L

SF-L=MB F-LMF-L
 MB F-L:Log(光照射8時間後の標準布の生菌数)
 MF-L:Log(光照射8時間後の光触媒加工布の生菌数)

光触媒抗菌加工布の光照射による

抗菌活性値(ΔS

ΔS=(MB F-LMF-L)−(MBDMD)
 MBD:Log(暗所8時間後の標準布の生菌数)
 MD:Log(暗所8時間後の光触媒加工布の生菌数)
ハイブリッド光触媒加工布の暗所での抗菌活性値(A
(JIS L 1902 菌液吸収法による)

A=(log Ct - log C0)-(log Tt - log T0

 A :抗菌活性値
 log Ct :標準布18~24時間培養後の生菌数の常用対数
 log C0 :標準布接種直後の生菌数の常用対数
 log Tt :抗菌加工試料18~24時間培養後の生菌数常用対数
 log T0 :抗菌加工試料接種直後の生菌数の常用対数
ただし、log C0 > log T0の場合は、log T0をlog C0に置き換えて計算する。

試験結果の見方

 JIS R 1752 ガラス密着法による試験結果の基準値は下表の通りです。

規格 基準値
光触媒工業会(PIAJマーク) SF-L≧2.0かつΔS≧0.3
フィルム密着法
対象製品
  • タイル
  • プラスチック製品
試験方法
  1. 下図の試験用シャーレを組み立て、菌液を試料に接種します。
  2. 8時間、シャーレに対し可視光を照射します。
  3. 生菌数を測定して光触媒加工製品の抗菌性を評価します。

また、ハイブリッド光触媒加工製品は上記試験に加え、暗所での抗菌性を JIS R 1752附属書JAに規定される方法(≒JIS Z 2801、平板状製品)により評価します。
 

試験結果例
 活性値を算出し、試験結果の評価を行います。
活性値 算出式

可視光照射条件F-Lで光照射した

光触媒抗菌加工材料による抗菌活性値

RF-L

RF-L=Log(BF-L/CF-L)

BF-L:光照射8時間後の無加工品の生菌数

CF-L:光照射8時間後の光触媒加工品の生菌数

光触媒抗菌加工布の光照射による

抗菌活性値(ΔR

ΔR=Log(BF-L/CF-L)-Log(BD/CD)

BD:暗所8時間後の無加工品の生菌数

CD:暗所8時間後の光触媒加工品の生菌数

ハイブリッド光触媒加工品の暗所での抗菌活性値(R

(附属書JAによる)

R=Log(Ut)-Log(At)

Ut:無加工品の24時間後の生菌数

At:ハイブリッド光触媒加工品の24時間後の生菌数

試験結果の見方

 JIS R 1752 フィルム密着法による試験結果の基準値は下表の通りです。

規格 基準値
光触媒工業会(PIAJマーク) RF-L≧2.0かつΔR≧0.3
コラム

光触媒って?

 光触媒は、光を吸収して活性化し、有機物を分解するなどの機能を持った材料です。基材に光触媒材料を担持・塗布することで、大気・水質浄化、脱臭、防汚、抗菌防臭などの効果を発揮します。