洗濯堅ろう度試験(JIS L 0844/ ISO 105-C10/ ISO 105-C06)

概要

「洗濯堅ろう度試験」とは、家庭での洗濯の作用による「色の変化の程度(変退色)」と「他の洗濯物への色移りの程度(汚染)」を評価する試験です。

衣料品には、様々な色に染められたものがありますが、これらは通常、”染料”によって色をつけています。染料には染色条件(色をつけるための条件…例:80℃で30分染液に浸ける)がありますが、この条件の調節がうまくいかなかった場合には染まりが悪くなることがあります。ムラに染まったり、想像よりも濃い色・淡い色に染まったりするかもしれません。そして、染まりが悪いと衣料品が濡れた時に色が出てくる危険があります。

洗濯することにより「何だか色あせたような気がする」とか、「ムラになってしまった」といった経験はありませんか?これらは、洗濯することにより衣料品に染まっている染料が衣料品から洗濯液に出てきてしまうからです。


目的

衣料品についていた染料が洗濯して少なくなってしまえば当然色あせたように見えますし(例1)、赤色と青色の染料を合わせて紫色に染めた場合、赤色の染料が出て行ってしまうと青色が強くなり青色っぽく見えることがあります(例2)。また衣料品から洗濯液に出て行った染料が洗濯の際に一緒に洗った他の洗濯物にくっついてしまい、色移り(汚染)してしまう危険もあります(例3)。そんな危険を事前に察知できるのが、「洗濯堅ろう度試験」です。

(例1) (例2) (例3)

試験対象品
  • 水洗い可能な繊維製品
JIS L 0844 A-1/A-2/A-3号
試験方法

家庭用洗濯機を使用せず、試験専用の洗濯試験機を使用します。試験条件は次の通りです。

種類

A-1号 A-2号 A-3号
洗濯液 0.5%石けん液 0.5%石けん液 0.5%石けん液および
0.2%炭酸ナトリウム液
洗濯温度 40℃ 50℃ 60℃
洗濯時間 30分 30分 30分


【試験操作】

  1. 100mm×40mmの試験片に添付白布(単一繊維布2枚)を添付します。2枚の添付白布の間に試験片を挟み込み、四辺を縫い合わせて複合試験片を作成します。

  2. 第1添付白布は、試験片の混用率で最も多い繊維と同じとし、第2添付白布は下表に従うか、2番目に多い繊維とします。ただし、第1、第2添付白は受渡当事者間で決めたものを使用しても可です。
    第1添付白布 第2添付白布
    綿 毛
    毛 綿
    絹 綿
    レーヨン 毛
    アセテート レーヨン又は綿
    ナイロン 毛又は綿
    ポリエステル 毛又は綿
    アクリル 毛又は綿

    JIS L 0844:2011 表4より(表は当センターで作成)

     
  3. 複合試験片(試験片+添付白布)をステンレスの洗濯瓶に入れ、洗濯温度に予熱した洗濯液を100mL投入します。
  4. 洗濯試験機で処理し、その後複合試験片を取出し25℃の水100mLで1分間水洗を2回行います。
  5. 複合試験片をろ紙等で脱水し、60℃以下の乾燥機で乾燥します。
  6. 変退色グレースケール(JIS L 0804)および汚染用グレースケール(JIS L 0805)を用いて、変退色および汚染を判定します。


 

 
ステンレス洗濯瓶   洗濯試験機(運転中)
試験結果例
試験項目 試験結果
洗濯堅ろう度 変退色 4級
汚染 3-4級
試験方法:JIS L 0844 A-2号
試験結果の見方

一般的な目安値は次の通りです。

  • 変退色 4級以上
  • 汚染  3級以上
補足

JISで決められている第1添付白布は、混用率の最も多い繊維となっていますが、繊維業界では第1および第2添付白布は、「綿・絹」または「綿・ナイロン」の組み合わせを用いることが多いです。

 

一般的にA-1号は、毛・絹・アセテートを含む生地が対象で、A-2号はその他の繊維を含む生地が対象です。A-3号は取扱表示ラベル(縫い付けラベル)が対象になります(旧家表法で規定されていたため)。


 

ご依頼時に必要な試料サイズは こちら

ISO 105-C10
試験方法

家庭用洗濯機を使用せず、試験専用の洗濯試験機を使用します。試験条件は次の通りです。

試験番号

A(1) B(2) C(3)
洗濯液 0.5%石けん液 0.5%石けん液 0.5%石けん液および
0.2%炭酸ナトリウム液
洗濯温度 40℃ 50℃ 60℃
洗濯時間 30分 45分 30分

ISO 105-C10:2006 Table 2より一部抜粋(表は当センターで作成)


【試験操作】

  1. 100mm×40mmの試験片に添付白布(多繊交織布1枚、もしくは単一繊維布2枚)を添付します。

  2. 単一繊維布を使用する場合、第1添付白布は、試験片の混用率で最も多い繊維と同じとし、第2添付白布は下表に従うか、2番目に多い繊維か、または別途指定された繊維とします。
    第1添付白布 第2添付白布
    洗濯温度:40、50℃ 洗濯温度:60℃
    綿 毛 レーヨン
    毛 綿 -
    絹 綿 -
    レーヨン 毛 綿
    アセテート レーヨン レーヨン
    ナイロン 毛又は綿 綿
    ポリエステル 毛又は綿 綿
    アクリル 毛又は綿 綿

    ISO 105-C10:2006 Table 1より(表は当センターで作成)

     
  3. 複合試験片(試験片+添付白布)をステンレスの試験瓶に入れ、洗濯温度に予熱した洗濯液を複合試験片の重さに対して50倍量投入します(浴比1 : 50)。
  4. 洗濯試験機で処理し、その後複合試験片を取出し、水を半分に満たした4Lビーカー内で1分間すすぎます。さらにビーカーを流水下に1分間置きます。

  5. 複合試験片から余分な水分を取り除いて、60℃以下の乾燥機で乾燥します。
  6. 変退色用グレースケール(ISO 105-A02)および汚染用グレースケール(ISO 105-A03)を用いて、変退色および汚染を判定します。
試験結果例
試験項目 試験結果
洗濯堅ろう度 変退色 4-5級
汚染 アセテート 5級
綿 3級
ナイロン

4級

ポリエステル 5級
アクリル 5級
毛 4-5級
試験方法: ISO 105-C10 A(1)
  多繊交織布:DW
  判定:視感法
試験結果の見方

一般的な目安値は次の通りです。

  • 変退色 4級以上
  • 汚染  3級以上
ISO 105-C06
概要

洗剤に石けんではなく、合成洗剤を使用して洗濯する評価方法です。また、同時に酸素系漂白剤を使用して評価することも可能です。

試験方法

家庭用洗濯機を使用せず、試験専用の洗濯試験機を使用します。試験条件は次の通りです。

試験番号

A2S B2S
洗濯液 0.4%合成洗剤液
(150mL)
0.4%合成洗剤液
(150mL)
過ホウ酸ナトリウム 0.1%添加 0.1%添加
洗濯温度 40℃ 50℃
洗濯時間 30分 30分
ステンレス鋼球 10個投入※ 25個投入※

ISO 105-C06:2010 Table 4より一部抜粋(表は当センターで作成)

※:繊細な織物、毛や絹またはこれらの繊維を含むものはステンレス鋼球は使用しない。


【試験操作】

  1. 100mm×40mmの試験片に添付白布(多繊交織布1枚、もしくは単一繊維布2枚)を添付します。

  2. 単一繊維布を使用する場合、第1添付白布は、試験片の混用率で最も多い繊維と同じとし、第2添付白布は下表に従うか、2番目に多い繊維か、または別途指定された繊維とします。
    第1添付白布

    第2添付白布
    (試験種類:A、Bの場合)

    綿 毛
    毛 綿
    絹 綿
    レーヨン 毛
    アセテート レーヨン
    ナイロン 毛又は綿
    ポリエステル 毛又は綿
    アクリル 毛又は綿

    ISO 105-C06:2010 Table 1より一部抜粋(表は当センターで作成)

     
  3. 複合試験片(試験片+添付白布)をステンレスの洗濯瓶に入れ、規定された数のステンレス鋼球および洗濯温度に予熱した洗濯液を規定量投入します。
  4. 洗濯試験機で処理し、その後複合試験片を取出し、40℃の温水100mLで1分間すすぎを2回行います。

  5. 複合試験片から余分な水分を取り除いて、60℃以下の乾燥機で乾燥します。
  6. 変退色用グレースケール(ISO 105-A02)および汚染用グレースケール(ISO 105-A03)を用いて、変退色および汚染を判定します。
試験結果例
試験項目 試験結果
洗濯堅ろう度 変退色 4級
汚染 アセテート 5級
綿 3-4級
ナイロン

4級

ポリエステル 5級
アクリル 5級
毛 3-4級
試験方法: ISO 105-C06 B2S
  多繊交織布:DW
  洗剤:AATCC 1993 標準洗剤WOB
  ステンレス鋼球使用
  酢酸処理なし
  判定:視感法
試験結果の見方

一般的な目安値は次の通りです。

  • 変退色 4級以上
  • 汚染  3級以上

コラム

酸素系漂白剤は、日本では過炭酸ナトリウムの成分が主流ですが、海外では過ホウ酸ナトリウムを使用することが主流です。このため、当該試験では過ホウ酸ナトリウムをを使用しています。

過炭酸ナトリウムを使用する評価方法は、JIS L 0889(酸素系漂白剤堅ろう度)に規定されており、ISOには現在(2026年現在)規定されていません。

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