「摩擦堅ろう度試験」は、重ね着などの衣料品同士のすれ作用による「他への色移りの程度(汚染)」を評価するものです。堅ろう度には「変退色」と「汚染」という二つの概念があり、堅ろう度の項目によって「変退色」のみを試験結果とするものと「汚染」のみを試験結果とするものとがあります。摩擦堅ろう度試験は「汚染」のみを試験結果とするものです。
摩擦堅ろう度試験には二種類の試験があります。一つは「乾燥試験」、もう一つは「湿潤試験」です。摩擦試験機にはテーブルがあり試験片をこのテーブルに装着し、綿布を摩擦試験機上部のアーム先端(摩擦子:まさつし)に取り付けます。
「乾燥試験」は乾燥した綿布で試験片を摩擦し、「湿潤試験」は約100%水湿潤させた綿布で試験片を摩擦します。
この試験機には2種類の形式がありますが、通常は「Ⅱ形」(にがた)、別名「学振形」を使用します。
約2N(約200g)の荷重で100mmの長さを100回往復摩擦します。摩擦が終わったら綿布を試験機から取り外して、汚染用のグレースケールを使用して「汚染」の判定をすることにより堅ろう度の数値を決めます。
「湿潤試験」では濡らした綿布を使用します。濡らす程度によって試験結果が大きく変わりますので、濡らす程度(約100%の湿潤状態)もJIS規格で定められています。
摩擦子に湿潤させた綿布を取り付け、乾燥試験の場合と同様に摩擦します。摩擦が終わったら試験機から取り外して、綿布を乾燥します。乾燥したら汚染用のグレースケールを使用して「汚染」の判定をすることにより堅ろう度の数値を決めます。
3. 細長い試料を長辺方向に10cm、綿布が往復して摩擦します。
「摩擦堅ろう度 乾燥試験 汚染:4級」「摩擦堅ろう度 湿潤試験 汚染:3級」
(”汚染”を省略して「乾燥試験:4級、湿潤試験:3級」とする場合もあります)
試験項目 | 試験結果 | |
---|---|---|
摩擦堅ろう度 |
乾燥 | 4級 |
湿潤 | 3級 |
一般的な目安値は、次の通りです。
素材の特性上、デニムなど色移りしやすいものでは乾燥3級以上、湿潤1-2級以上で品質管理している場合もあります。
Ⅰ形は、ISO 105-X12と同等の試験方法になります。別名「クロックメーター法」ともいいます。
耐水研磨紙の上に試験片を固定し、約9N(約918g)の荷重で100mmの長さを10回往復摩擦します。摩擦が終わったら綿布を試験機から取り外して、汚染用のグレースケールを使用して「汚染」の判定をすることにより堅ろう度の数値を決めます。
「湿潤試験」では濡らした綿布を使用します。濡らす程度によって試験結果が大きく変わりますので、濡らす程度(約100%の湿潤状態)もJIS規格で定められています。
摩擦子に湿潤させた綿布を取り付け、乾燥試験の場合と同様に摩擦します。摩擦が終わったら試験機から取り外して、綿布を乾燥します。乾燥したら汚染用のグレースケールを使用して「汚染」の判定をすることにより堅ろう度の数値を決めます。
「摩擦堅ろう度 乾燥試験 汚染:4級」「摩擦堅ろう度 湿潤試験 汚染:3級」
(”汚染”を省略して「乾燥試験:4級、湿潤試験:3級」とする場合もあります)
試験項目 | 試験結果 | |
---|---|---|
摩擦堅ろう度 |
乾燥 | 4級 |
湿潤 | 3級 |