摩擦堅ろう度試験(JIS L 0849/ ISO 105-X19/ ISO 105-X12)

概要

 「摩擦堅ろう度試験」は、重ね着などの衣料品同士のすれ作用による「他への色移りの程度(汚染)」を評価するものです。染色堅ろう度には「変退色」と「汚染」という二つの概念があり、染色堅ろう度の項目によって「変退色」のみを試験結果とするものと「汚染」のみを試験結果とするものとがあります。摩擦堅ろう度試験は「汚染」のみを試験結果とするものです。

 摩擦堅ろう度試験には二種類の試験があります。一つは「乾燥試験」、もう一つは「湿潤試験」です。摩擦試験機には試験片台があり試験片をこの試験片台に取り付け、綿布を摩擦試験機上部のアーム先端(摩擦子:まさつし)に取り付けます。

 「乾燥試験」は乾燥した綿添付白布で試験片を摩擦し、「湿潤試験」は約100%水湿潤させた綿布で試験片を摩擦します。


目的
 紺色のジーンズと白色のシャツを着ていたら、シャツの裾周辺に紺色の擦れたような色移りを経験されたことはありませんか?これは着用の際の、ジーンズとシャツとの摩擦作用により、ジーンズ(紺色)からシャツ(白色)へ色が移ってしまったからです。衣類同士が擦れる部位に発生しやすい事故です。そんな危険を事前に察知できるのが摩擦堅ろう度試験です。
試験対象品
  • 衣料品
  • 服飾雑貨品
  • インテリア製品
  • 寝装品
  • 自動車内装材
JIS L 0849 Ⅱ形/ ISO 105-X19
試験方法

JIS法とISO法ともに試験方法の技術的な差異はほとんどありません。ただし、摩擦に使用する添付白布および、判定に使用する汚染用グレースケールが異なります。

当該試験に使用する試験機は、「学振形(がくしんがた)」と呼ばれ、国内において、摩擦堅ろう度は学振形を一般的に用いられます。

 

 
  1. 220×30mmの試験片をたて方向およびよこ方向に2枚ずつ採取します。(乾燥試験用にたて、よこ1枚、湿潤試験用にたて、よこ1枚)
  2. 【乾燥試験】
    試験片台に試験片(たて方向およびよこ方向それぞれ1枚ずつ)を取り付けます。なお、摩擦時に試験片がずれてしまう場合は、両面テープまたは耐水研磨紙を取り付けてから、試験片を取り付けることができます。

  3. 摩擦子の先端に綿添付白布を取り付け、試験片の上に置きます。摩擦子は試験片に対して2N(約204gf)の荷重がかかります。綿添付白布は、JIS法の場合はJIS L 0803に規定する綿3-1号で、ISO法の場合はISO 105-F09に規定するものを用います。

  4. 試験片台を往復運動させます。この時、試験片と摩擦子先端の綿添付白布は毎分30回往復で100回往復させます。

  5. 摩擦試験機から綿添付白布を取り外し、汚染用グレースケールで判定します。汚染用グレースケールは、JIS法の場合JIS L 0805に規定するもので、ISO法の場合はISO 105-A03に規定するものを用います。
  6. 【湿潤試験】
    JIS法では、綿添付白布を水で約100%の湿潤状態にします。ISO法では、綿添付白布を水で95~100%の湿潤状態にします。
  7. 乾燥試験と同じ操作を行います。
  8. 摩擦試験機から綿添付白布を取り外し、乾燥後に汚染用グレースケールで判定します。汚染用グレースケールは、JIS法の場合JIS L 0805に規定するもので、ISO法の場合はISO 105-A03に規定するものを用います。

試験結果例
試験項目 試験結果

摩擦堅ろう度

乾燥 4級
湿潤 3級

試験方法:JIS L 0849 Ⅱ形

 

試験項目 試験結果

摩擦堅ろう度

乾燥 たて 4級
よこ 4級
湿潤 たて 3級
よこ 3級

試験方法:ISO 105-X19

試験結果の見方

一般的な目安値は、次の通りです。

  • 乾燥:3-4級以上
  • 湿潤:2級以上


素材の特性上、デニムやが顔料プリントなど色移りしやすいものでは乾燥3級以上、湿潤1-2級以上で品質管理している場合もあります。

コラム
 一般に、摩擦堅ろう度試験の結果は乾燥試験より湿潤試験の方が低い級数(色移りしやすい)となることが多いのですが、まれに乾燥試験より湿潤試験の方が高い級数となることがあります。これは、湿潤させた綿布の水分により、生地表面が滑りやすくなるからだともいわれています。
JIS L 0849 Ⅰ形
試験方法

当該試験に用いる試験機は「クロックメーター」と呼ばれています。

 

 
  1. 約140×50mmの試験片をたて方向およびよこ方向に2枚ずつ採取します。(乾燥試験用にたて、よこ1枚、湿潤試験用にたて、よこ1枚)
  2. 【乾燥試験】
    試験片台に耐水研磨紙を取り付け、その上に試験片(たて方向またはよこ方向それぞれ1枚ずつ)を取り付けます。
  3. 摩擦子の先端に綿添付白布(JIS L 0803 綿3-1号)を取り付け、試験片の上に置きます。摩擦子(直径16±1mmの円柱状)は試験片に対して9±0.2N(約918±20gf)の荷重がかかります。
  4. 摩擦子を試験片上で100±3mm往復運動させます。この時、試験片と摩擦子先端の綿添付白布は毎秒1往復で10回往復させます。

  5. 摩擦試験機から綿添付白布を取り外し、JIS L 0805規定の汚染用グレースケールで判定します。
  6. 【湿潤試験】
    綿添付白布を水で約100%の湿潤状態にします。
  7. 乾燥試験と同じ操作を行います。
  8. 摩擦試験機から綿添付白布を取り外し、乾燥後にJIS L 0805規定の汚染用グレースケールで判定します。
試験結果例
試験項目 試験結果

摩擦堅ろう度

乾燥 4級
湿潤 3級

試験方法:JIS L 0849 Ⅰ形

試験結果の見方

一般的な目安値は、次の通りです。

  • 乾燥:3-4級以上
  • 湿潤:2級以上


素材の特性上、デニムやが顔料プリントなど色移りしやすいものでは乾燥3級以上、湿潤1-2級以上で品質管理している場合もあります。

ISO 105-X12
試験方法

当該試験に用いる試験機は「クロックメーター」と呼ばれています。

 

 
  1. 140×50mm以上の試験片をたて方向およびよこ方向に2枚ずつ採取します。(乾燥試験用にたて、よこ1枚、湿潤試験用にたて、よこ1枚)
  2. 【乾燥試験】
    試験片台に耐水研磨紙(またはステンレス金網)を取り付け、その上に試験片(たて方向またはよこ方向それぞれ1枚ずつ)を取り付けます。
  3. 摩擦子の先端に綿添付白布(ISO 105-F09)を取り付け、試験片の上に置きます。摩擦子(直径16±0.1mmの円柱状)は試験片に対して9±0.2N(約918±20gf)の荷重がかかります。
  4. 摩擦子を試験片上で104±3mm往復運動させます。この時、試験片と摩擦子先端の綿添付白布は毎秒1往復で10回往復させます。

  5. 摩擦試験機から綿添付白布を取り外し、ISO 105-A03規定の汚染用グレースケールで判定します。
  6. 【湿潤試験】
    綿添付白布を水で95~100%の湿潤状態にします。
  7. 乾燥試験と同じ操作を行います。
  8. 摩擦試験機から綿添付白布を取り外し、乾燥後にISO 105-A03規定の汚染用グレースケールで判定します。
試験結果例
試験項目 試験結果

摩擦堅ろう度

乾燥 たて 4-5級
よこ 4-5級
湿潤 たて 3-4級
よこ 3-4級
試験方法: ISO 105-X12
  摩擦子 16mm円柱状
試験結果の見方

一般的な目安値は、次の通りです。

  • 乾燥:3-4級以上
  • 湿潤:2級以上


素材の特性上、デニムやが顔料プリントなど色移りしやすいものでは乾燥3級以上、湿潤1-2級以上で品質管理している場合もあります。


この試験に関しての問い合わせ