汗耐光堅ろう度試験(JIS L 0888)

概要

 「汗耐光堅ろう度試験」とは、光と汗の複合作用による色の変化(変退色)を評価するための試験です。日本産業規格ではJIS L 0888に規定されています。

 試験機は、カーボンアーク灯式耐光試験機またはキセノンアーク灯式耐光試験機を使用しますが、カーボンアーク灯式耐光試験機を使用する方法が主流です。
 

 
カーボンアーク灯光を用いた耐光試験機   キセノンアーク灯光を用いた耐光試験機

目的

 スポーツウエアなどで耐光堅ろう度試験の結果が良好、汗堅ろう度試験の結果も良好で、変色した原因が分からない苦情事例が発生しました。ところが汗を付けた状態で光を照射すると苦情と同じ現象が確認されたことから、汗と光の複合作用によって評価する試験が出来ました。


試験対象品
  • スポーツウエア
  • セルロース系繊維混素材
JIS L 0888 B法 JIS人工汗液
試験方法
  1. JIS L 0848汗堅ろう度試験に用いる人工汗液(酸性・アルカリ性)を使用します。
  2. 試験試料をそれぞれの人工汗液に30分間浸漬した後、アクリル板に張り付け試料ホルダに取り付けます。
  3. 試料ホルダを耐光試験機に取り付け、3級照射を行います。
  4. 露光後、水洗、脱水、乾燥し、変退色グレースケールにて級数を評価します。

汗耐光試験片   

汗耐光試験後片

ホルダーに取り付けた試料

露光後、水洗、脱水、乾燥した試料

試験結果例
試験項目 試験結果
汗耐光堅ろう度 酸性 3-4級
アルカリ性 3-4級
試験方法:JIS L 0888 B法(JIS人工汗液使用)
試験結果の見方
一般的な目安値は、3-4級以上と言われています。
JIS L 0888 A法 JIS人工汗液
試験方法
  1. JIS L 0848汗堅ろう度試験に用いる人工汗液(酸性・アルカリ性)を使用します。
  2. 試験試料をそれぞれの人工汗液に30分間浸漬した後、試料ホルダに取り付けます。
  3. 人工汗液を10ml入れた光・汗試験容器に試料ホルダを取り付けます。
  4. 光・汗試験容器を耐光試験機に取り付け、3級照射を行います。
  5. 露光後、水洗、脱水、乾燥し、変退色グレースケールにて級数を評価します。

試料ホルダを取り付けた光・汗試験容器
試験結果例
試験項目 試験結果
汗耐光堅ろう度 酸性 3級
アルカリ性 2-3級
試験方法:JIS L 0888 A法(JIS人工汗液使用)
試験結果の見方
一般的な目安値は、3-4級以上と言われています。
JIS L 0888 B法 ATTS人工汗液
試験方法

 試験は、JIS L 0888 A法 JIS人工汗液と同じ操作を行います。JIS人工汗液と異なるのは、汗液の成分です。ATTS人工汗液には、JIS人工汗液の成分に加え、乳酸などが追加されています。

試験結果の見方
一般的な目安値は、3級以上と言われています。
コラム

 ATTSとは、繊維製品技術研究会のことです。ATTS人工汗液を用いた汗耐光試験は、苦情品の再現性に優れていると言われており、2018年にATTS人工汗液としてJISに採用されました。

JIS L 0888 A法 ATTS人工汗液
試験方法

 試験は、JIS L 0888 A法 JIS人工汗液と同じ操作を行います。JIS人工汗液と異なるのは、汗液の成分です。ATTS人工汗液には、JIS人工汗液の成分に加え、乳酸などが追加されています。

試験結果の見方
一般的な目安値は、3級以上と言われています。