塩素処理水堅ろう度試験(JIS L 0884)

概要

 「塩素処理水堅ろう度試験」とは、家庭洗濯の際に使う水道水に含まれる塩素や、プール水の消毒に用いられる塩素の作用による「色の変化の程度(変退色)」を評価する試験です。

 家庭洗濯で綿Tシャツを繰り返し洗濯していたら色が褪せてしまったという経験はありませんか?

これは、綿の染色に用いられる反応染料や直接染料は塩素によって変色しやすい物があり、洗濯を繰り返すうちに染料と塩素が反応したからです。


目的

 水道水(洗濯すすぎ)やプール水には消毒に塩素剤が使用されています。塩素の影響を受けやすいセルロース系素材や、塩素に触れることの多い水着などを対象に塩素剤による影響を調べます。


試験対象品
  • セルロース系繊維混素材
  • 水着
試験方法
A法
対象製品
  • セルロース系繊維混素材
試験方法
  1. 次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度を10ppmになるように調製します。
  2. 試験布の大きさに決まりはなく、試料重量の200倍になるように試験液の量を調製します。
  3. 洗濯堅ろう度やドライクリーニング堅ろう度で使用するものと同型の試験瓶に、予め25±2℃に温度調整した試験液を試験片とともに入れます。
  4. 密閉して洗濯試験機に取り付け、25±2℃で30分間処理します。
  5. 処理後、試料を取り出して余分な水分を取り除き、自然乾燥させます。
  6. 変退色用グレースケールで変退色を判定します。
 

 
試験瓶   洗濯試験機(運転中)
試験結果例
試験項目 試験結果

塩素処理水堅ろう度

変退色 3-4級
試験方法:JIS L 0884 A法

試験結果の見方

一般的な目安値は、3-4級以上と言われています。

コラム

 水洗い洗濯時における水道水中の残留塩素分で変色しやすい状況は、「すすぎ」です。すすぎの回数や時間が多くなると、洗濯物は残留塩素分に曝される時間が長くなります。塩素処理水堅ろう度で変退色が著しいものであれば、「長時間のすすぎはお避け下さい」等の注意表示を付けることをお勧めします。

 水道法施行規則第17条第3号によれば、水道水の遊離残留塩素は0.1mg/L(0.1ppm)以上保持にすることが定められています。自治体によって遊離残留塩素濃度は変わり、東京都では水質目標値0.1~0.4mg/L、大阪市では年平均で0.4mg/Lとのことです(東京都、大阪市のHPより(2024年6月時点))。

B法
対象製品
  • 水着
試験方法
  1. 次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度を20ppmになるように調製します。
  2. 試験布の大きさに決まりはなく、試料重量の100倍になるように試験液の量を調製します。
  3. 洗濯堅ろう度やドライクリーニング堅ろう度で使用するものと同型の試験瓶に、予め27±2℃に温度調整した試験液を試験片とともに入れます。
  4. 密閉して洗濯試験機に取り付け、27±2℃で60分間処理します。
  5. 処理後、試料を取り出して余分な水分を取り除き、自然乾燥させます。
  6. 変退色用グレースケールで変退色を判定します。
 

 
試験瓶   洗濯試験機(運転中)
試験結果例
試験項目 試験結果

塩素処理水堅ろう度

変退色 4級
試験方法:JIS L 0884 B法
試験結果の見方
一般的な目安値は、4級以上と言われています。
コラム

 参考までにプールの遊離残留塩素濃度は、次のような基準が厚労省で定められています。

  • 遊泳用プールの衛生基準について(健発第0528003号 平成19年5月28日)
    遊離残留塩素濃度は、0.4mg/L以上であること。また、1.0mg/L以下であることが望ましいこと。