オゾン堅ろう度試験(JIS L 0890 / AATCC TM109)
概要
オゾン(O3)は大気中に存在しているガスの一種です。身近なオゾンガスの発生源として、抗菌・脱臭機能付きの空気清浄機などがあります。繊維製品において、オゾンガスは腐食性(酸化性)が高いため、インディゴ染料で染められた糸や生地がオゾンガスにさらされると、繊維の表面に酸化物質(イサチン)が発生し黄変するという現象が知られています。
目的
オゾン堅ろう度試験は、苦情品などのオゾンガス由来の黄変現象を再現したり、糸や生地の耐黄変性能を評価するための試験です。オゾンガスは湿度が高いと糸や生地に付着しやすいため、試験条件は低湿オゾン試験と高湿オゾン試験の2種類があります。製品の保管や使用状況を想定し、試験条件を選択して試験します。また、オゾンガスによる黄変の場合は、空気に触れやすい部分に発生することが多いです。
JIS 低湿オゾン試験
試験方法
- 試験片(100mm×40mm)を試験槽内に吊るし密閉します。試験槽内が30±5℃、相対湿度65%以下になっていることを確認します。
- 試験機内のオゾン発生装置を用いてオゾンガス濃度を4.5±0.5ppmに調整し、試験槽内にオゾンガスを送り込みます。
- 試験片にオゾンガスを6時間暴露します。
- 暴露後、オゾン分解器を通してオゾンガスを排出してから試験片を取り出し、変退色用グレースケールを用いて判定します。
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オゾン堅ろう度試験機 |
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層内の様子 |
試験結果例
試験項目 |
試験結果 |
オゾン堅ろう度
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変退色 |
3-4級 |
試験方法:JIS L 0890 低湿オゾン試験
試験結果の見方
変退色の数値が大きいほど黄変などの発生が起こりにくいです。
JIS 高湿オゾン試験
試験方法
- 試験片(100mm×40mm)を試験槽内に吊るし密閉します。試験槽内が40±5℃、相対湿度85±5%になっていることを確認します。
- 試験機内のオゾン発生装置を用いてオゾンガス濃度を4.5±0.5ppmに調整し、試験槽内にオゾンガスを送り込みます。
- 試験片にオゾンガスを4時間暴露します。
- 暴露後、オゾン分解器を通してオゾンガスを排出してから試験片を取り出し、変退色用グレースケールを用いて判定します。
試験結果例
試験項目 |
試験結果 |
オゾン堅ろう度
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変退色 |
2-3級 |
試験方法:JIS L 0890 高湿オゾン試験
試験結果の見方
変退色の数値が大きいほど黄変などの発生が起こりにくいです。
補足
高湿オゾン堅ろう度試験は、長時間オゾンガスにばく露された状況を想定した加速試験として用いられることが多いです。
AATCC 低湿オゾン試験
試験方法
- 試験片(100mm×60mm)を試験槽内に吊るし密閉します。試験槽内が18~28℃、相対湿度67%以下になっていることを確認します。
- 試験機内のオゾン発生装置を用いてオゾンガス濃度を4.5±1ppmに調整し、試験槽内にオゾンガスを送り込みます。
- 試験片にオゾンガスを4.5±1時間暴露します。
- 暴露後、オゾン分解器を通してオゾンガスを排出してから試験片を取り出し、変退色用グレースケールを用いて判定します。
試験結果例
試験項目 |
試験結果 |
オゾン堅ろう度
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変退色 |
2-3級 |
試験方法:AATCC TM109 低湿オゾン試験
試験結果の見方
変退色の数値が大きいほど黄変などの発生が起こりにくいです。