引裂強さ試験(JIS L 1096・JIS L 1913・ISO 9073-4)

概要

 「引裂強さ試験」とは、織物を引き裂いた際の破断する強度を評価するものです。衣料品は、本体生地に縫製された異なるパーツや閂止めなどによって生地が傷つけられることがありますが、その部分(切れ目など)に力が加わった際、引き裂かれることがあります。例えば、ポケット口やベルトループなどです。引張強さは、生地そのものの強度を測定しますが、引裂強さは縫製後の生地強度を測定する試験です。


試験対象品
  • 織物の繊維製品
  • 不織布
JIS L 1096 D法(ペンジュラム法)
試験方法

試験には、引裂試験機を使用します。

  1. 試験片は長さ約100㎜、幅63mmのものを、たて方向、よこ方向それぞれ採取し、引裂試験機のクランプに取り付けます。
  2. 取り付けた後に試験片に20mmの切れ目を入れ、試験機の振子を振って試験片を切れ目から引き裂きます。
  3. 試験結果は、生地が引き裂かれた時の荷重となります。
  4. 引き裂かれた状態に異常があった場合は、下表のように付記します。
異常現象例 付記の例
切れ目の方向に対して垂直方向に切断した 〇〇N以上(引裂方向に対して直角に切断)
切れ目の方向に対して斜め方向に切断した ○○N以上(引裂方向に対して斜めに切断)
最後まで引き裂けない ○○N以上(切れ残りあり)
試験片の糸が滑って抜けた ○○N以上(滑脱が生じたため既定の試料幅切断せず)
試験結果例
試験項目 試験結果
引裂強さ たて 9.63N以上
よこ 7.56N
※:引裂方向に対して直角に切断


試験方法:JIS L 1096 D法(ペンジュラム法)

試験結果の見方

数値が大きいほど強い結果を表します。

衣料品の一般的な目安値

薄地・・・7N以上

厚地・・・10N以上

(N:ニュートン。荷重を表す単位)

「たて」・・・たて糸を切断した時の荷重

「よこ」・・・よこ糸を切断した時の荷重

JIS L 1096 A-1法(シングルタング法)
試験方法

試験には、定速伸長形引張試験機を使用します。
 

  1. 試験片は長さ約250㎜、幅約50mm(又は長さ約250㎜、幅約100mm)のものを、たて方向、よこ方向それぞれ採取します。
  2. 試験片の短辺中央から直角に100mmの切れ目を入れ、引張試験機のクランプに取り付けます。

  3. 取り付けた後に、引張試験機で100mm/minの速度で引っ張り、切れ目から引き裂きます。
  4. 試験結果は、生地が引き裂かれた時の最大荷重となります。
  5. 引き裂かれた状態に異常があった場合は、下表のように付記します。
異常現象例 付記の例
切れ目の方向に対して垂直方向に切断した 〇〇N以上(引裂方向に対して直角に切断)
切れ目の方向に対して斜め方向に切断した

○○N以上(引裂方向に対して斜めに切断)

試験結果例
試験項目 試験結果
引裂強さ たて 20.1N
よこ 12.4N
試験方法:JIS L 1096 A-1法(シングルタング法)
試験結果の見方

数値が大きいほど強い結果を表します。

「たて」・・・たて糸を切断した時の荷重

「よこ」・・・よこ糸を切断した時の荷重

JIS L 1913(トラペゾイド法)
概要
 JIS L 1913「一般不織布試験方法」に規定されており、ISO 9073-4と同等の試験です。ただし、ISO法では測定で平均値および変動係数が要求されていますが、JIS法では測定で平均値のみが要求されています。
試験方法
  1. 75mm×150mmの試験片をたて方向、よこ方向にそれぞれ採取し、下図の点線の通り線を引き、長辺の中央に15mmの切れ目を入れます。
     

     
  2. 定速伸長形引張試験機のつかみ間隔を25±1mmにし、試験片の線と引張試験機のつかみ治具端を一致するように試験片を装着します。
     

     
  3. 引張速度100±10mm/minにて試験片を切れ目から引き裂きます。 
  4. 引き裂いた時の最大荷重の平均値を試験結果とします。
試験結果例
試験項目 試験結果
引裂強さ たて 100.2N
よこ 125.4N
試験方法:JIS L 1913 トラペゾイド法
試験結果の見方

数値が大きいほど強い結果を表します。
 

たて:不織布の場合、不織布のたて方向に引き裂いた時の荷重

よこ:不織布の場合、不織布のよこ方向に引き裂いた時の荷重