引張強さ試験(JIS L 1096・ISO 13934-1)

概要

 「引張強さ試験」とは、主に織物を引っ張った際の破断する強度を評価するものです。

 

 繊維製品は縫製工程や製品としての消費過程で、引張り、曲げ、圧縮、ねじりなどの種々の外力を受けます。そのため、これらの力に対するある程度の抵抗力が必要となります。この抵抗力を力学的に評価するのが物性試験です。その一つに「引張強さ」があります。

 

 着用の際に強い力が加わり、シャツなどの織地が破れてしまったことはありませんか?これは、織地の物理的な強さが弱く、加わった力の作用で織地が破れてしまったからです。


試験対象品
  • 織物の繊維製品
  • 不織布
JIS L 1096 A法(ストリップ法)
試験方法

試験には、引張試験機を使用します。

  1. 試験片は長さ約300㎜、幅50mmのものを、たて方向、よこ方向それぞれ採取し、引張試験機の上下のクランプに取り付けます。
  2. 上下のクランプ間は200㎜で、200㎜/分の速度で引っ張ります。
  3. 試験結果は、生地が破断した時の最大値となります。

試験結果例
試験項目 試験結果

引張強さ

(N)

たて 351
よこ 283
試験方法:

JIS L 1096 A法

引張速度:200mm/min

つかみ間隔:200mm

試験機:定速伸長形

試験結果の見方

 数値が大きいほど、力に対して強いことを示します。Nはニュートンと呼び、荷重を表す単位です。衣料品生地の強度の一般的な目安は、200N以上です。

ISO 13934-1 (JIS L 1096附属書J)
試験方法
  1. 試験片は、幅50±0.5mm、長さ200mm以上をたて方向、よこ方向にそれぞれ採取します。
    (最大張力時伸び率が75%超える場合は、長さ100mm以上でも可)
  2.  
  3. 定速伸長形引張試験機(CRE)に以下の条件で引っ張ります。
       

    注)伸長速度の代わりに、伸び速度(%/min)への条件変更が可能です。

  4.  
  5. たて方向、よこ方向それぞれの最大張力、最大張力時の伸び率の平均値を算出します。