破裂強さ試験(JIS L 1096/ ISO 13938-1)
概要
「破裂強さ試験」とは、「編地の破裂に対する強さ」を評価するものです。
繊維製品は縫製工程や製品としての消費過程で、引張り、曲げ、圧縮、ねじりなどの種々の外力を受けます。そのため、これらの力に対するある程度の抵抗力が必要となります。この抵抗力を力学的に評価するのが物性試験です。その一つに「破裂強さ」があります。
着用の際に強い力が加わり、カーディガンなどの編地が破裂(パンク)してしまったことはありませんか?これは、編地の地組織の物理的な強さが弱く、加わった力の作用で編目が破裂してしまったからです。
JIS L 1096 A法(ミューレン形法)
試験方法
試験には、破裂試験機を使用します。
- 破裂試験機の台座にリング状のクランプで試験片を固定します。この台座には中央に穴があり、油圧でゴム膜が突出する仕組みになっています。
- 圧力を加えていくと、ゴム膜が膨らんでいきます。
- このとき試験片はクランプで固定されていますので、試験片に力が加わりやがて編目を突き破ります。これが、ゴム膜が試験片を突き破る強さ(圧力)となります。
- また、破断時のゴム膜だけの強さも測定します。
- ゴム膜が試験片を突き破る強さから、ゴム膜だけの強さを引いた値が「破裂強さ」の値となります。
ゴム膜が試験片を突き破る強さが490kPa、破断時のゴム膜だけの強さが60kPaの場合、計算式は 490-60=430kPaとなります。
(kPaはキロパスカルと読み、圧力を表す単位です)
試験結果例
試験方法:JIS L 1096 A法(ミューレン形法)
試験結果の見方
衣料品の一般的な目安値は、薄地編物で300kPa以上、厚地編物で400kPa以上となります。
JIS L 1096 附属書M/ISO 13938-1
概要
生地などが破裂するときの強度(圧力)を測定します。破裂試験機は液圧を定速加圧可能な装置を用います。
試験方法
- 試験片を破裂試験機のクランプ(試験面積:50cm2)に装着します。
- 試験片がダイヤフラム(ゴム膜)により、20±5秒で破裂するよう定量加圧値(100cm3/分~500cm3/分)を調整します。
- 調製した定量加圧値により、試験片が破裂するまで加圧し、破裂圧および破裂時の高さを測定します。
- 試験片がない同一条件で、ダイヤフラムを試験片破裂時の高さまで膨らせ、その時のダイヤフラム圧を測定します。
- 次式にて破裂強さを求めます。
破裂強さ(kPa)=試験片が破裂した圧力(kPa)-ダイヤフラム圧(kPa)
試験結果例
試験方法: |
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ISO 13938-1(液圧法) |
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試験面積;50cm2 |
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加圧流量;500cm3/min |