スナッグ試験(JIS L 1058)

概要
 偶発的な引っ掛かりにより、繊維・糸が生地表面から突出し、引きつれなどを起こす現象をスナッグ(スナッギング)といいます。スーツの生地表面から糸がループ状に飛び出したり、引きつれを起こしたことはありませんか?これは着用の際などに、引掛け作用によって生地表面から糸が突出し、引きつれてしまったからです。
目的

 「スナッグ試験」とは、「引掛け作用により、糸が突出・引きつれを起こす度合い」を評価するものです。

スナッグ現象

JIS L 1058 A法
概要
 スナッグの一般的な評価方法としては、A法:ICI形メース試験機法(メース法)になります。
試験方法
  1. 200mm×330㎜の生地をたて(ウェール)方向2枚、よこ(コース)方向2枚を採取します。
  2. それぞれの生地の短辺を本縫いします。中表にして円筒状に縫い、これをひっくり返し外表にして試験片とします。
  3. スナッグ試験機の回転シリンダに、袖を通すように試料を通します。
  4. このシリンダの上方から鎖につながれたゴルフボール大の球体を吊り下げます。この球体には釘のようなスパイクが飛び出ています。
  5. シリンダを回転させ、回転する試験片表面をスパイク付きの球体(メース)がランダムに飛び跳ねてスナッグを発生させます。
  6. シリンダを100回転させた後シリンダから試験片を取り外し、スナッグ標準写真と比較し級数を付けます
 

スパイク付きの球体(メース)
試験結果例
試験項目 試験結果
スナッグ(級) たて 4.0
よこ 4.0
試験方法:JIS L 1058 A法(ICI形メース試験機法)
試験結果の見方

等級が大きいほど良い結果(スナッグが発生しにくい)を表します。

一般的な目安値は、3.0級以上です。

JIS L 1058 D-1法
概要

 ダメージ棒と言われる棒を、JIS L 1076 ピリング試験A法で使用するコルクが貼られた試験箱に斜めに差し渡し試験します。ダメージ棒には、研磨布又はサーフェイスが巻き付けられています。

 コルク板との摩擦に加え、コンクリート壁のようなザラザラしたものとの複合作用によって発生するスナッグを評価します。

試験方法
  1. ピリング試験と同様に、たて120mm×よこ100mm、たて100mm×よこ120mmをそれぞれ2枚採取し、特殊ゴム管に巻き付けます。
  2. ピリング試験箱にダメージ棒をセットし、特殊ゴム管に巻き付けられた試験片を入れ試験箱を回転させます。
  3. ダメージ棒に研磨布を用いた場合は1時間試験箱を回転、サーフェイスを用いた場合は30分間試験箱を回転させます。
  4. 試験後、スナッグ判定標準写真と比較し級数を付けます。

研磨布を使用したダメージ棒
試験結果例
試験項目 試験結果
スナッグ(級) 3.5
試験方法:

JIS L 1058 D-1法

(ダメージ棒法)

    研磨布使用

試験結果の見方

等級が大きいほど良い結果(スナッグが発生しにくい)を表します。

一般的な目安値は、3.0級以上です。