中わた吹き出し試験(羽毛吹き出し試験)

概要

 羽毛、毛、ポリエステル繊維などの中わたを用いたジャンパー・コートなどの衣料品、寝装品、ダンボールニットを用いた衣料品、ニットキルトを用いた寝衣類などが対象となります。

 これらの製品では、着用時や使用時の摩擦により表側生地や裏側生地から中わたが飛び出すことがあります。中わた吹き出し試験は、この中わたが摩擦動作によって飛び出すかどうかを評価します。


試験対象品
  • 中わた入り外衣
  • ダウン製品
  • パジャマ
  • 布団類
日本バイリーン法
概要
 実際に使用する表側生地、裏側生地、中わたを用いて試験します。バイリーン法では、生地に対する中わたの吹き出しにくさの評価になります。
試験方法
  1. たて(又はウェール方向)170㎜、よこ(又はコース方向)220㎜の大きさで表側生地、裏側生地、中わたを8枚採取します。
  2. 表側生地の中わた吹き出しを評価する場合は、表側生地、中わた、裏側生地の順番で重ねます。
  3. 重ねたまま裏側生地が外に向くように、よこを二つ折りにします(110㎜のところで折り曲げます)。
  4. 短辺1か所と長辺を縫い袋状になったところで袋をひっくり返します。
  5. 直径30㎜のスーパーボール4個を袋の中に入れて、残った短辺を縫い封を閉じます。
  6. JIS L 1076 A法(ICI形ピリング試験機法)規定のピリングボックスに、作成した袋を8体入れて5時間回転処理します。
  7. 処理後、中わたの吹き出しの状態を標準写真と比較して級数を付けます。
    【標準写真】
    5級:中わたの吹き出しなし
    4級:繊維状の中わたが数本吹き出した状態
    3級:毛玉上の中わたが2~3個吹き出した状態
    2級:毛玉上の中わたが10個程度吹き出した状態
    1級:毛玉上の中わたが25個程度吹き出した状態
  8. 裏側生地の中わた吹き出しを評価する場合は、上記2~7項の表側生地と裏側生地を逆にして操作します。



 

試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法

中わた吹き出し

表側 4.0級 日本バイリーン法
裏側 3.5級
試験結果の見方

級数が大きいほど、中わたの吹き出しが発生しにくい生地です。

一般的な目安値は3級以上です。

コラム

 ダンボールニットとは、表側の糸と裏側の糸をつなぎ糸でつないでおり、段ボールのような構造の生地で、中空のため厚みがあり保温性に優れています。


 ニットキルトとは、表側生地と裏側生地で部分的に接結した天竺生地の間に中わたを挿入した生地で、中空のため厚みがあり保温性に優れています。

 つなぎ糸や中わたがフィラメント糸使いの場合、着用時の摩擦により外に飛び出す場合があります。特につなぎ糸や中わたが染色されていない場合、表側生地と裏側生地が濃色であれば飛び出した糸が目立つことがあります。


ダンボールニットの場合、組成表示例は次のようになります。
 

表側生地: 綿      65%
ポリエステル 35%
裏側生地: 綿      65%
ポリエステル 35%
中糸 ポリエステル 100%


 

ニットキルトの場合、組成表示例は次のようになります。
 

表側生地: 綿      100%
裏側生地: 綿      100%
中わた ポリエステル 100%
カケンⅠ法
概要
 ダウン製品の羽毛吹き出し性について評価する試験です。試験では製品そのものを用いて評価します。
試験方法
  1. 市販のタンブル乾燥機内に、ダウン製品およびJIS L 1076 A法規定の特殊ゴム管5本を入れます。
  2. 低温にて30分間処理します。
  3. 製品の表側と裏側をひっくり返して、さらに30分間処理します(計60分間)。
  4. 製品をタンブル乾燥機から取り出し、目視にて羽毛吹き出し状態を判定します。


試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
羽毛吹き出し 表側 吹き出しは目立たない カケンⅠ法
裏側 吹き出しは目立たない