縫目を作製した試験片を、縫い目を中心に所定の力で引っ張り、縫目から生地が滑脱した長さを測定する試験です。ここでは、いくつかあるJIS L 1096の滑脱抵抗力試験方法のうち、最も一般的な方法をご紹介します。
着用中など、縫目部分に力が加わった時、縫目付近の糸がスリップする現象を滑脱と呼びます。長繊維の薄地や粗密度の生地は滑脱しやすい傾向がありますが、縫目の滑脱のしやすさを確認することで、適切な縫い方の選定に生かすことができます。

| グラブ法の条件 | |
|---|---|
| 引張速度 | 300mm/min |
| つかみ間隔 | 76.2mm |
| 生地の種類 | 荷重(N) |
|---|---|
| 薄地(ブラウス地など) | 49.0 |
| 厚地(スラックスなど) | 117.7 |


| 異常現象例 | 付記の例 |
|---|---|
| 設定荷重以下で完全に滑脱した | 〇Nで完全滑脱 |
| 設定荷重以下で生地が破断した | ○Nで生地破断 |
| 設定荷重以下で縫糸が切断した | ○Nで縫糸切断 |
| 試験項目 | 試験結果 | |
|---|---|---|
| 滑脱抵抗力 | たて | ※ |
| よこ | 2.5mm | |
※:101.5Nで完全滑脱
| 試験方法: |
JIS L 1096 縫目滑脱法・B法 荷重:117.7N |
数値が小さいほど滑脱抵抗力があることを示します。一般的な目安値は次の通りです。
滑脱抵抗力:3mm以下
・たて方向の滑脱・・・たて糸上のよこ糸の動き。ヨーク切り替えなどを想定
・よこ方向の滑脱・・・よこ糸上のたて糸の動き。脇線などを想定
縫目滑脱を防止する方法としては次のようなものがあります。
| グラブ法の条件 | |
|---|---|
| 引張速度 | 50mm/min |
| つかみ間隔 | 100mm |
| 生地の種類 | 固定荷重(N) |
|---|---|
| アパレル用生地≦220g/m2 | 60 |
| アパレル用生地>220g/m2 | 120 |
| 家具用生地 | 180 |
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| 試験項目 | 試験結果 | |
|---|---|---|
|
滑脱抵抗力 |
たて糸 | 3mm |
| よこ糸 | 1mm | |
| 試験方法: |
ISO 13936-2 荷重:60N |