耐水性試験(JIS L 1092・AATCC TM127・ISO 811)

概要

 試料に水圧をかけた時、どの程度で水が染み出すか評価する試験です。水圧への耐性を「耐水性」と呼びます。なお防水性とは、はっ水性(水をはじく性質)と耐水性(水の通過や浸透に対する抵抗性)の総称のことです。


目的

 耐水性を有する生地を使用すると、外界から衣服内への雨などの侵入を防ぐことができます。透湿性機能と組み合わせることで、水蒸気を通して雨滴は通さない「透湿防水性」となります。


 


JIS L 1092 A法(低水圧法)/AATCC TM127/ISO 811
対象製品
  • 薄手レインウェア
試験方法
  1. 約170×170mmの試験片を5枚用意します。
  2. 生地使用時に水が掛かる面を試験機の水面に装着します。
  3. 昇圧速度600±30mm/minで試験片に水圧をかけていきます。
  4. 試験片の表面に水滴が3滴出水した時点の水圧を測定します。
  5. 試験結果は5枚の平均値とし、水位の高さ(mmH2O)または水圧(kPa)とします。

  
耐水性試験機   水滴3滴が出る様子
試験結果例
試験項目 試験結果
耐水度 635mmH2O

試験方法:JIS L 1092 A法(低水圧法)

試験結果の見方
 数値が大きいほど、耐水性が高いと評価できます。
補足

 JIS L 1092 A法(低水圧法)は、海外規格のAATCC TM127、およびISO 811とほぼ同じ試験です。

 また、mmH2OをkPaに換算する式は次の通りです。

  1mmH2O=9.80665×10-3kPa

コラム

 低水圧法で用いられる単位は、mmH2Oで表される圧力の単位です。

 例えば、地面より100mm、又は1000mmの高さにあるコップに入った水を地面に落とします。その時、地面が受ける圧力を水の高さとして表しています。100mmの高さから落ちる水より、1000mmの高さから落ちる水の方が地面に対して水圧が高いことが分かります。

JIS L 1092 B法(高水圧法)
対象製品
  • 厚手レインウェア
  • スキーウェア
試験方法
  1. 約170×170mmの試験片を5枚用意します。
  2. 生地使用時に水が掛かる面を試験機の水面に装着します。
  3. 昇圧速度100kPa/minで試験片に水圧をかけていきます。
  4. 試験片の表面に水滴が3滴出水した時点の水圧を測定します。
  5. 試験結果は5枚の平均値とし、水圧(kPa)または水位の高さ(mmH2O)とします。
試験結果例
試験項目 試験結果
耐水度 初期 475kPa
洗濯後 360kPa
試験方法: JIS L 1092 B法(高水圧法)
  洗濯処理:JIS L 1930 C4M法 5回吊干し
試験結果の見方
 数値が大きいほど、耐水性が高いと評価できます。
補足

 kPaをmmH2Oに換算する式は次の通りです。

  1kPa=101.972mmH2O