光吸収発熱性(蓄熱性)試験
概要
光によって発熱する生地に対し、光を照射した時の温度変化を測定する試験です。炭化ジルコニウムや酸化チタン化合物など、繊維に練り込まれた物質が光を効率よく吸収し、光の放射熱を熱エネルギーに変換することで暖かくなります。この機能は「光吸収発熱性」または「蓄熱性」と呼びます。
目的
日光を吸収して発熱する生地の評価が目的です。これら生地は、特に屋外で着用する冬物衣料などに使用されます。
試験対象品
- ゴルフウェア
- フィッシングウェア
- トレッキングウェア
- ジャケット類
- パンツ類
JIS L 1926 繊維製品の光吸収発熱性評価方法
概要
光源に、人工太陽光を使用することが特徴です。分光分布が極端に赤外線領域に偏った白熱灯(レフランプ)に比べ、再現性の高い試験となります。
試験方法
- 試料裏面に受熱体を接触させて配置し,試料が光を吸収して発した熱を受熱体に吸収(伝導)させます。
- 光を照射して30 分後の試料を装着した受熱体と、裸の受熱体(ブランク)、ぞれぞれの上昇温度を測定します。
- 次の式で光吸収発熱温度差を求めます。
光吸収発熱温度差ΔT=⊿Ts-⊿Tb (℃)
ΔTs:試料の平均上昇温度 (℃)
ΔTb:ブランクの平均上昇温度 (℃)

人工太陽光源

装置モデル図
試験結果例
試験項目 |
試験結果 |
対照品 |
光吸収発熱素材 |
光吸収発熱温度差
ΔT (℃)
|
3.0 |
13.1 |
試験結果の見方
光吸収発熱温度差が大きいほど光吸収発熱性が高いと言えます。
レフランプ法
試験方法
- レフランプ直下に試料を置き、光を照射します。
- 照射を続けながら、熱電対温度センサで生地裏面の温度変化を経時的に測定します。

レフランプ


装置モデル図
試験結果例

試験結果の見方
対象品(未加工品)より温度が大きいほど光吸収発熱性が高いと言えます。