マスクの人工血液バリア性試験(JIS T 9001・ASTM F1862)

概要
 マスクに対する人工血液のバリア性(耐浸透性)の評価方法として、JI T 9001、ASTM F1862および ISO22609(≒JIS T8062) が規定されています。
試験対象品
  • マスク
JIS T 9001・ASTM F1862
試験方法
  •  調湿したマスクをホルダー(S)に取り付け、サンプルから30cmの位置のノズル(C、V)から人工血液(Rに加圧充填)を噴射します。この時の人工血液の噴射圧は、コントローラ(VC)にて10.6kPa(80mmHg)、16.0kPa(120mmHg)および21.3kPa(160mmHg)のいずれかに調整されています。
  •  人工血液はターゲットプレート(T)の細孔を通過した後、マスクに当たります。噴射後、サンプルの裏面を10秒間観察して人工血液の浸透の有無を目視で確認します。
試験結果の見方
 米国 ASTM F2100(医療用マスク材料の性能基準)において下表の基準があります。

試験方法(ASTM F 2100-19)

性能区分
レベル1 レベル2 レベル3
バクテリア飛まつ捕集効率(BFE%)ASTM F2101 ≧ 95 ≧ 98 ≧ 98
圧力損失(mmH2O/cm2)EN14683 < 5.0 < 6.0 < 6.0
微小粒子ろ過効率(PFE%@0.1μm)ASTM F2299 ≧ 95 ≧ 98 ≧ 98
人工血液バリア性(mmHg)ASTM F1862( ≒ ISO 22609) 80 120 160
可燃性 16 CFR Part 1610 クラス1 クラス1 クラス1

ASTM F 2100-19 TABLE 1より(表は当センター作成)


 日本では、JIS T 9001「医療用及び一般用マスクの性能要件及び試験方法」が2021年6月に制定され人工血液バリア性の基準があります。当センターでは、下表に示した全ての試験が実施可能です。

【JIS T 9001 医療用マスクの品質基準】

項目 品質基準
クラスⅠ クラスⅡ クラスⅢ
微小粒子捕集効率(PFE) (%) ≧95 ≧98 ≧98
バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) (%) ≧95 ≧98 ≧98
ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) (%) ≧95 ≧98 ≧98
圧力損失 (Pa/cm2 <60 <60 <60
人工血液バリア性 (kPa) 10.6 16.0 21.3
可燃性 区分1 区分1 区分1
遊離ホルムアルデヒド (μg/g) ≦75
特定アゾ色素 (μg/g) a) ≦30 b)
蛍光 c) 著しい蛍光を認めず

注a) 着色又は染色された製品についてだけ試験を適用する
注b) 生成された特定芳香族アミン24種それぞれが30μg/g以下でなければならない。

注c) マスクの呼吸に係る本体部(耳掛けゴムなどの付属品を除く。)だけに適用する。

JIS T 9001:2021 表1より(表は当センター作成)