花粉粒子捕集効率試験(JIS T 9001)

概要

 マスク等のフィルタ部が、花粉代替粒子を物理的に捕集(ろ過)する性能を試験します。試験に用いる花粉代替粒子には、粒径がスギ花粉と同等の約30㎛で、アレルギーの知見が報告されていない天然粒子を用います。
 

スギ花粉

            スギ花粉


試験対象品
  • マスク
  • フィルタ
試験方法
JIS T 9001
試験方法

試験粒子を一定流量で試験片面上に均一分散落下させます。

規定量の試験粒子が試験片を通過した量を計測し、捕集効率(%)を算出します。
 

         試験装置

試験結果例
試験項目 試験結果

花粉粒子捕集効率

(%)

1

99.8

2

99.6
3 99.9
平均値 99.8
試験結果の見方

 数値が大きいほど、花粉程度の粒子を捕集(ろ過)できる性能が高いといえます。


 日本では、JIS T 9001「医療用及び一般用マスクの性能要件及び試験方法」が2021年6月に制定され花粉粒子捕集効率の基準があります。当センターでは、下表に示した全ての試験が実施可能です。
 

【JIS T 9001 一般用マスクの品質基準】
項目 品質基準
微小粒子捕集効率(PFE) (%) ≧95

製品にて機能を標ぼうする項目について、実施する。

バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) (%) ≧95
ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) (%) ≧95
花粉粒子捕集効率 (%) ≧95
圧力損失 (Pa/cm2 <60
遊離ホルムアルデヒド (μg/g) ≦75
特定アゾ色素 (μg/g) a) ≦30 b)
蛍光 c) 著しい蛍光を認めず
注a) 着色又は染色された製品についてだけ試験を適用する
注b) 生成された特定芳香族アミン24種それぞれが30μg/g以下でなければならない。
注c) マスクの呼吸に係る本体部(耳掛けゴムなどの付属品を除く。)だけに適用する。

JIS T 9001:2021 表2より(表は当センター作成)


【JIS T 9001 一般用マスクの洗濯後の品質基準】

 洗濯再利用を標ぼうする一般用マスクにおいては、原品(洗濯前)での性能に加えて、表示された洗濯方法・洗濯回数後の捕集効率試験及び圧力損失試験について基準を満たす必要があります。

項目 品質基準
微小粒子捕集効率(PFE) (%) ≧95

製品にて機能を標ぼうする項目について、実施する。

バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) (%) ≧95
ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) (%) ≧95
花粉粒子捕集効率 (%) ≧95
圧力損失 (Pa/cm2 <60

JIS T 9001:2021 表3より(表は当センター作成)

コラム
 当センターが開発したこの試験装置および試験方法は、一般社団法人日本衛生材料工業連合会 全国マスク工業会において「花粉粒子捕集(ろ過)効率試験方法」として採用され、さらにJIS法としても採用されています。また、カケンは同工業会の認定試験機関となっております。