バクテリア飛まつ捕集効率(BFE)・ウイルス飛まつ捕集効率(VFE)試験(JIS T 9001・ASTM F 2101)

概要

 空気中の細菌(バクテリア)や試験用のウイルスが、医療用マスク・一般用マスクの不織布を通して捕集(ろ過)される程度を確認する試験です。
BFE : Bacterial Filtration Efficiency(バクテリア飛まつ捕集効率)
VFE:Viral Filtration Efficiency(ウイルス飛まつ捕集効率)
 

BFEはASTM F2101やJIS T 9001に規定された試験方法で、VFEはASTM F2101を参考に、当センターで独自に開発した試験方法で、JIS T 9001にも採用されています。

 

試験をご検討中のお客様へ

 お手数ですがご依頼前にこちらのフローチャートより、素材の種類や大きさをご確認下さい。

 (画像をクリックすると拡大されます。)

マスク試験依頼フローチャート

必要試料サイズ

 一般的な大人用サイズのマスク(広げて15cm角以上)で、5枚必要です。生地でご用意いただく場合は、マスク1枚を15cm角生地と読み替えて下さい。立体形状のマスク製品、サイズが小さい製品には対応しかねますのでご了承願います。


試験対象品
  • マスク
  • フィルタ
バクテリア飛まつ捕集効率(BFE)/JIS T 9001・ASTM F 2101
概要

 バクテリア飛まつ捕集効率(BFE)試験は下図の試験装置を使用します。この試験装置は、日本産業規格(JIS)やASTMインターナショナル(旧:米国材料試験協会)においてJIS T 9001、ASTM F 2101として規定されています。BFE試験では黄色ぶどう球菌を使用します。

 

BFE試験装置概略
試験方法
  1. 送液ポンプによりネブライザーに導入された細菌懸濁液は、圧縮空気によりエアロゾル(粒子径3.0μm)化され、定流量吸引ポンプにより流量28.3L/分に調整されたガラス製チャンバー内を移動します。
  2. エアロゾルはサンプルを通過する際にそのフィルター性能に比例して捕集されます。捕集されなかった残りのエアロゾルは6段構成のアンダーセンサンプラー中にセットされた寒天培地入りのシャーレに捕集されます。
  3. このシャーレを培養すると、エアロゾルが捕集された部分に”コロニー”と呼ばれる細菌の集合体が現れます。
  4. サンプルをセットせずに試験した場合(コントロール試験)とセットした場合のコロニー数を数え、計算式によってBFE(%)を算出します。

 
BFE試験 コロニーの状態
試験結果例
試験項目 試験結果

バクテリア飛まつ捕集効率

(%)

1

99.8

2

99.9
3 99.6
平均値 99.8
試験結果の見方

 数値が大きいほど、バクテリア飛まつを捕集(ろ過)できる性能が高いといえます。


 ASTMインターナショナル(旧:米国材料試験協会)規格 ASTM F 2100 には医療用マスクに使用する材料の性能規格にBFEの基準があります。当センターでは、下表に示した全ての試験が実施可能です。

試験方法(ASTM F 2100-19)

性能区分
レベル1 レベル2 レベル3
バクテリア飛まつ捕集効率(BFE%)ASTM F2101 ≧ 95 ≧ 98 ≧ 98
圧力損失(mmH2O/cm2)EN14683 < 5.0 < 6.0 < 6.0
微小粒子捕集効率(PFE%@0.1μm)ASTM F2299 ≧ 95 ≧ 98 ≧ 98
人工血液バリア性(mmHg)ASTM F1862( ≒ ISO 22609) 80 120 160
可燃性 16 CFR Part 1610 クラス1 クラス1 クラス1

ASTM F 2100-19 TABLE 1より(表は当センター作成)


 日本では、JIS T 9001「医療用及び一般用マスクの性能要件及び試験方法」が2021年6月に制定されBFE、VFEの基準があります。当センターでは、下表に示した全ての試験が実施可能です。

【JIS T 9001 医療用マスクの品質基準】

項目 品質基準
クラスⅠ クラスⅡ クラスⅢ
微小粒子捕集効率(PFE) (%) ≧95 ≧98 ≧98
バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) (%) ≧95 ≧98 ≧98
ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) (%) ≧95 ≧98 ≧98
圧力損失 (Pa/cm2 <60 <60 <60
人工血液バリア性 (kPa) 10.6 16.0 21.3
可燃性 区分1 区分1 区分1
遊離ホルムアルデヒド (μg/g) ≦75
特定アゾ色素 (μg/g) a) ≦30 b)
蛍光 c) 著しい蛍光を認めず
注a) 着色又は染色された製品についてだけ試験を適用する
注b) 生成された特定芳香族アミン24種それぞれが30μg/g以下でなければならない。
注c) マスクの呼吸に係る本体部(耳掛けゴムなどの付属品を除く。)だけに適用する。

JIS T 9001:2021 表1より(表は当センター作成)
 

【JIS T 9001 一般用マスクの品質基準】
項目 品質基準
微小粒子捕集効率(PFE) (%) ≧95

製品にて機能を標ぼうする項目について、実施する。

バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) (%) ≧95
ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) (%) ≧95
花粉粒子捕集効率 (%) ≧95
圧力損失 (Pa/cm2 <60
遊離ホルムアルデヒド (μg/g) ≦75
特定アゾ色素 (μg/g) a) ≦30 b)
蛍光 c) 著しい蛍光を認めず
注a) 着色又は染色された製品についてだけ試験を適用する
注b) 生成された特定芳香族アミン24種それぞれが30μg/g以下でなければならない。
注c) マスクの呼吸に係る本体部(耳掛けゴムなどの付属品を除く。)だけに適用する。

JIS T 9001:2021 表2より(表は当センター作成)


【JIS T 9001 一般用マスクの洗濯後の品質基準】

 洗濯再利用を標ぼうする一般用マスクにおいては、原品(洗濯前)での性能に加えて、表示された洗濯方法・洗濯回数後の捕集効率試験及び圧力損失試験について基準を満たす必要があります。

項目 品質基準
微小粒子捕集効率(PFE) (%) ≧95

製品にて機能を標ぼうする項目について、実施する。

バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) (%) ≧95
ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) (%) ≧95
花粉粒子捕集効率 (%) ≧95
圧力損失 (Pa/cm2 <60

JIS T 9001:2021 表3より(表は当センター作成)

ウイルス飛まつ捕集効率(VFE)/JIS T 9001・ASTM F 2101準用カケン法
概要

 ウイルス飛まつ捕集効率(VFE)試験は、バクテリア飛まつ捕集効率(BFE)試験と同一構成の試験装置を使用します。この試験装置は、ASTMインターナショナル(旧:米国材料試験協会)規格 ASTM F 2101及びJIS T 9001 に規定されています。VFE試験では、φX174と呼ばれるウイルス(大腸菌のみに感染・増殖するバクテリオファージ)を使用します。なお、VFE試験は ASTM F 2101 を元に当センターで独自に開発した試験方法です。


VFE試験装置概略
試験方法
  1. 送液ポンプによりネブライザーに導入されたウィルス懸濁液は、圧縮空気によりエアロゾル(粒子径3.0μm)化され、定流量吸引ポンプにより流量28.3L/分に調整されたガラス製チャンバー内を移動します。
  2. エアロゾルはサンプルを通過する際にそのフィルター性能に比例して捕集されます。捕集されなかった残りのエアロゾルは6段構成のアンダーセンサンプラー中にセットされた大腸菌を含む寒天培地入りのシャーレに捕集されます。
  3. このシャーレを培養すると、エアロゾルが捕集された部分に大腸菌がウィルスに感染し溶菌することによって”プラーク”と呼ばれる透明な斑点が現れます。
  4. サンプルをセットせずに試験した場合(コントロール試験)とセットした場合のプラーク数を数え、計算式によってVFE(%)を算出します。

VFE試験プラークの状態

試験結果例
試験項目 試験結果

ウイルス飛まつ捕集効率

(%)

1

99.9

2

99.8
3 99.9
平均値 99.9
試験結果の見方
 数値が大きいほど、ウイルス飛まつを捕集(ろ過)できる性能が高いといえます。