微小粒子捕集効率(PFE)試験(JIS T 9001・ ASTM F 2299)

概要
 マスクなどのフィルタ材が、微小な試験粒子を捕集(ろ過)する性能を試験します。従来から花粉粒子や細菌の捕集(ろ過)効率試験はありましたが、それらより小さい粒子に対応しているのが特徴です。英語では「Particle Filtration Efficiency (PFE)」と呼ばれます。

 

試験をご検討中のお客様へ

 お手数ですがご依頼前にこちらのフローチャートより、素材の種類や大きさをご確認下さい。

 (画像をクリックすると拡大されます。)

マスク試験依頼フローチャート

必要試料サイズ

 一般的な大人用サイズのマスク(広げて15cm角以上)で、7枚必要です。生地でご用意いただく場合は、マスク1枚を15cm角生地と読み替えて下さい。立体形状のマスク製品、サイズが小さい製品には対応しかねますのでご了承願います。


試験対象品
  • マスク
  • フィルタ
JIS T 9001・ASTM F 2299
試験方法

 クリーンな環境に維持された試験チャンバー中に、試験粒子を連続安定供給し一定流量で吸引しながら、試験片であるフィルター材の前後(上流側、下流側)の粒子数を計測し、捕集効率を測定します。


PFE(%) =( 1−下流側粒子数/上流側粒子数)×100

試験装置

試験結果例
試験項目 試験結果

微小粒子捕集効率

PFE(%)

1 99.3
2 99.7
3 99.7
4 99.6
5 99.8
平均値 99.6
試験結果の見方

 ASTMインターナショナル(旧:米国材料試験協会)規格 ASTM F 2100 には医療用マスクに使用する材料の性能規格にPFEの基準があります。当センターでは、下表に示した全ての試験が実施可能です。

 数値が大きいほど、微小粒子を捕集(ろ過)できる性能が高いと言えます。

試験方法(ASTM F 2100-19)

性能区分
レベル1 レベル2 レベル3
バクテリア飛まつ捕集効率(BFE%)ASTM F2101 ≧ 95 ≧ 98 ≧ 98
圧力損失(mmH2O/cm2)EN14683 < 5.0 < 6.0 < 6.0
微小粒子捕集効率(PFE%@0.1μm)ASTM F2299 ≧ 95 ≧ 98 ≧ 98
人工血液バリア性(mmHg)ASTM F1862( ≒ ISO 22609) 80 120 160
可燃性 16 CFR Part 1610 クラス1 クラス1 クラス1

ASTM F 2100-19 TABLE 1より(表は当センター作成)


 日本では、JIS T 9001「医療用及び一般用マスクの性能要件及び試験方法」が2021年6月に制定されPFEの基準があります。当センターでは、下表に示した全ての試験が実施可能です。
 

【JIS T 9001 医療用マスクの品質基準】

項目 品質基準
クラスⅠ クラスⅡ クラスⅢ
微小粒子捕集効率(PFE) (%) ≧95 ≧98 ≧98
バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) (%) ≧95 ≧98 ≧98
ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) (%) ≧95 ≧98 ≧98
圧力損失 (Pa/cm2 <60 <60 <60
人工血液バリア性 (kPa) 10.6 16.0 21.3
可燃性 区分1 区分1 区分1
遊離ホルムアルデヒド (μg/g) ≦75
特定アゾ色素 (μg/g) a) ≦30 b)
蛍光 c) 著しい蛍光を認めず
注a) 着色又は染色された製品についてだけ試験を適用する
注b) 生成された特定芳香族アミン24種それぞれが30μg/g以下でなければならない。
注c) マスクの呼吸に係る本体部(耳掛けゴムなどの付属品を除く。)だけに適用する。

JIS T 9001:2021 表1より(表は当センター作成)

【JIS T 9001 一般用マスクの品質基準】
項目 品質基準
微小粒子捕集効率(PFE) (%) ≧95

製品にて機能を標ぼうする項目について、実施する。

バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) (%) ≧95
ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) (%) ≧95
花粉粒子捕集効率 (%) ≧95
圧力損失 (Pa/cm2 <60
遊離ホルムアルデヒド (μg/g) ≦75
特定アゾ色素 (μg/g) a) ≦30 b)
蛍光 c) 著しい蛍光を認めず
注a) 着色又は染色された製品についてだけ試験を適用する
注b) 生成された特定芳香族アミン24種それぞれが30μg/g以下でなければならない。
注c) マスクの呼吸に係る本体部(耳掛けゴムなどの付属品を除く。)だけに適用する。

JIS T 9001:2021 表2より(表は当センター作成)


【JIS T 9001 一般用マスクの洗濯後の品質基準】

 洗濯再利用を標ぼうする一般用マスクにおいては、原品(洗濯前)での性能に加えて、表示された洗濯方法・洗濯回数後の捕集効率試験及び圧力損失試験について基準を満たす必要があります。

項目 品質基準
微小粒子捕集効率(PFE) (%) ≧95

製品にて機能を標ぼうする項目について、実施する。

バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) (%) ≧95
ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) (%) ≧95
花粉粒子捕集効率 (%) ≧95
圧力損失 (Pa/cm2 <60

JIS T 9001:2021 表3より(表は当センター作成)

補足
 ASTM F 2100「医療用フェイスマスクに使用される材料の性能仕様」に0.1μm 粒径の試験粒子を使用した場合の性能区分が記載されていることから、当センターでは通常、粒径0.1μm のポリスチレンラテックス粒子を試験粒子として使用しています。
 ラテックス微粒子を用いた医療用フェイスマスク材の捕集効率試験であるASTM F 2299では、0.1~5μmの粒子が規定されています。一般的には0.3μmの粒子が最もマスクを通過しやすいとも言われているため、当センターでは0.3μmの粒子でも試験が可能です。ご依頼の際は、「0.1μm」または「0.3μm」の粒子径をご指定下さい。
 ASTM F 2299では、粒子を除電して試験を行うこととなっておりますが、一般的な医療用不織布マスクの多くは、意図的にエレクトレット(帯電)加工して捕集効果を向上させているため、粒子の除電をせずに試験を行うことが主流です。ご依頼の際は、「除電あり」または「除電なし」をご指定下さい。

 JIS T9001「医療用マスク及び一般用マスクの性能要件及び試験方法」では、粒径0.1μmのポリスチレンラテックス粒子を用いますが、受渡当事者間の協議によっては粒径0.3μmのポリスチレンラテックス粒子を用いることも可能です。