繊維製品の遊離ホルムアルデヒド試験

概要

 「遊離ホルムアルデヒド試験」とは、「液相抽出により抽出されるホルムアルデヒドの量」つまり「ホルムアルデヒドが遊離する度合い」を評価する試験です。
 

 ホルムアルデヒドには、防腐作用・殺菌作用などがあり、衣料品関連でも樹脂加工などの際に使用される便利な物質です。しかし、人体への影響があるため日本では法規制(有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則(昭和49年厚生省令第34号))によりその使用を制限しています。使用の制限については、下記の2区分に分けられています。

  • 繊維製品のうち、おしめ、おしめカバーなどで出生後24月以内の乳幼児用のもの
  • 繊維製品のうち、下着、寝衣、手袋及び靴下(出生後24月以内の乳幼児用のものを除く)など

  

試験方法は、厚生省令第34号やJIS L 1041によって実施されます。

 遊離ホルムアルデヒド試験は「ホルマリン試験」とも呼ばれます。ホルマリンはホルムアルデヒドの水溶液の別名です。


目的
 過度のホルムアルデヒドが使用された衣料品を着用した場合、粘膜刺激や皮膚アレルギーを生じる危険があります。そんな危険を事前に察知できるのが「遊離ホルムアルデヒド試験」です。
試験方法
  1. 一定の重さの試料を計りとります。
  2. 計りとった試料と水100mlを三角フラスコへ入れ、60分間40度で温めます(抽出)。生地にホルムアルデヒドが含まれている場合は、ホルムアルデヒドが水へ溶け出してきます。
  3. 抽出した液にアセチルアセトンという試薬を加えます。この試薬は、ホルムアルデヒドと反応すると発色して黄色になります。試料からホルムアルデヒドが多く抽出された場合は濃い黄色となります。
  4. 発色した黄色の濃さの度合いを分光光度計という機器で測定します。
 
ホルムアルデヒドの抽出
抽出
アセチルアセトン試薬による発色
試薬による発色
試験結果例

例①(乳幼児用)
遊離ホルムアルデヒド試験(A-A0): 0.05

  

例②(その他(乳幼児用以外))

遊離ホルムアルデヒド試験(μg/g)20以下

遊離ホルムアルデヒド試験(ppm):75

試験結果の見方

①「A-A0」の結果(吸光度差)

分光光度計による測定値(吸光度)の差で結果を表しています。
「A」・・・試料の吸光度

A0」・・・ブランク(空試験)の吸光度

”A”は、absorbance(吸光度)の頭文字です。

  

②単位「μg/g」または「ppm」の結果(濃度)

 予め作成した吸光度値と濃度の関係を求める計算式により、測定した吸光度から濃度を求めます。ppm は parts per millionの略で百万分率です。

 検出量20μg/g(20ppm)以下の場合、ほとんど出ていないことを表すため、「20以下」という書き方をすることがあります。