「混用率試験」とは、「糸や生地に含まれる繊維組成の割合」を調べるものです。JIS L 1030-2では、繊維の種類が1種類以上の繊維製品における混用率試験方法として規定されています。この試験方法を用いて、毛100%や綿65.1%ポリエステル34.9%などの結果が得られます。
混用率試験を実施する前にJIS L 1030-1「繊維鑑別」を実施し、糸や生地にどのような繊維の種類が含まれているかを調べる必要があります。
交織(こうしょく)などの織物のたて糸、よこ糸がそれぞれ単一の異なる繊維で使用されている場合や、交編(こうへん)などの編物の糸がそれぞれ異なる繊維で使用されている場合などに適用します。(下図参照)
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交織 | 交編 |
試験項目 | 試験結果 |
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正量混用率 |
ナイロン 50.3% 綿 49.7% |
家庭用品品質表示法 繊維製品品質表示規程にて繊維組成を表示する際は、混用率試験において、維製品品質表示規程に示されている水分率を用いた質量から算出することとなっています。下表にその一例を示します。
繊維名 | 公定水分率 |
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綿 | 8.5% |
麻及び絹 | 12.0% |
毛 | 15.0% |
ナイロン | 4.5% |
ポリエステル | 0.4% |
アクリル | 2.0% |
繊維の絶乾質量に公定水分率を掛け合わせ、水分を加味して算出した混用率を「正量混用率」といいます。
2種類以上の繊維を混用した糸や生地などで、その内の1種の繊維のみを特定の薬品を用いて溶解し、残った繊維の質量を求めます。この操作を繰り返し行い、溶解後の質量からそれぞれの繊維の割合を算出して混用率を求める方法です。
綿とポリエステルが混紡された紡績糸を用いた生地の溶解法の概要を説明します。
試験項目 | 試験結果 |
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正量混用率 |
綿 65.3% ポリエステル 34.7% |
織編物の組織において、糸使いによりデザイン性を作り(例:ギンガムチェックなど)、その最小の組織単位のことです。生地のリピートとも呼ぶことがあります。
溶解法では、繊維に適した薬品を用いて順次溶解していく方法ですが、残留した繊維がその薬品によってわずかながら溶解することがあり、そのために「補正係数」をもちいて算出することが決められています。例えば、綿とレーヨンの混用の場合、60%硫酸法を用い、レーヨンは溶解し、綿が残留分となります。しかし、綿が60%硫酸でわずかに溶解するため、綿の絶乾質量に補正係数1.03(精錬漂白していない綿の場合)を掛けて補正した後、正量混用率を算出します。
解じょ法および溶解法で適用できない繊維混用品に適用します。例えば、綿と麻の混紡糸などがあります。光学顕微鏡を用いて、目視により綿と麻の外観の違いを判別して数を数えます。
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綿 | 麻(亜麻・リネン) | 麻(苧麻・ラミー) |
【2種類の繊維混用品の場合の算出方法】
XA:A繊維の絶乾混用率(%)
XB:B繊維の絶乾混用率(%)
NA:A繊維の本数(個数)
NB:B繊維の本数(個数)
AA:A繊維の平均断面積
AB:B繊維の平均断面積
SA:A繊維の密度(g/cm3)
SB:B繊維の密度(g/cm3)
試験項目 | 試験結果 |
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正量混用率 |
綿 55.2% 麻 44.8% |
試験方法:JIS L 1030-2-6
試験項目 | 試験結果 |
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絶乾混用率 |
綿 56.0% 麻 44.0% |
試験方法:JIS L 1030-2-6