繊維混用率試験(JIS L 1030-2)

概要
 「混用率試験」とは、「生地に含まれる繊維の割合」を調べるものです。生地には、綿100%やポリエステル100%など一種類の素材で作られているものや、綿70%ポリエステル30%など2種類以上の素材を様々な割合で混合して作られているものがあります。このような、混合された繊維の割合を調べる試験が混用率試験です。
試験方法
 まず、 繊維鑑別試験 を行い、何の繊維が含まれているかを確認します。そして「解じょ法」、「溶解法」、「顕微鏡法」のいずれかの方法、またはいくつかの方法の組み合わせにより、試料に含まれる繊維の割合を調べます。
 繊維外観

①試料が織物の場合、タテ糸とヨコ糸が同じ単一の繊維であれば、その繊維の種類が求める結果になります。

例:タテ糸・ヨコ糸ともに綿のみ

→「綿 100%」

②試料が織物でタテ糸、ヨコ糸にそれぞれ単一の異なる繊維が使用されている場合(交織)は「解じょ法」を用います。

例:タテ糸が綿のみ、ヨコ糸がポリエステルのみの場合

タテ糸とヨコ糸をバラバラに解じょして、綿とポリエステルそれぞれの重さを調べて、割合を算出します。

③織物のタテ糸・ヨコ糸それぞれの糸に複数の繊維が混ざっている場合(混紡)は、「溶解法」を用います。繊維の種類によって使用する試薬を選定します。

例:試料に綿とポリエステルが含まれる場合

ポリエステルは溶解しないが、綿を溶解する試薬を使用します。溶解する前に試料の重さを調べておき、試薬により綿を溶解させた後、残ったポリエステルの重さを調べます。溶解する前の重さから溶解して残った重さを引き算すると、溶解した繊維の重さが計算できます。これらの重さから割合を算出します。繊維は湿気(水分)により重さが変わるため、重さを調べる際には乾燥させる必要があります。そのうえで、各繊維に規程の水分量(公定水分率)を加味して結果を算出します。

④顕微鏡を使用して繊維の本数を数える「顕微鏡法」もあります。 これは薬品に対する溶解性が同じ繊維(例えば綿と麻)を区別するために、顕微鏡で繊維の外観を一本ずつ拡大観察して、その本数をもとに計算して割合を求めます。


手法の組み合わせ例:タテ糸が綿のみ、ヨコ糸が綿とポリエステルの混紡

→タテ糸とヨコ糸を解じょし、次いでヨコ糸に溶解法を用います。

試験結果例
綿 45.5% ポリエステル 40.5% ナイロン14.0%