天然皮革を全部または一部に使用した衣料品や服飾雑貨、かばんなどは、家庭用品品質表示法の繊維製品品質表示規程や雑貨工業品品質表示規程により、天然皮革の「材料の種類」を表示する必要があります。下表は、「材料の種類」の表示方法の一例ですが、具体的な動物の名称を用います。
衣料品の場合
材料の種類 | 表示するための用語 |
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牛の革 | 牛革 |
羊の革 | 羊革 |
やぎの革 | やぎ革 |
鹿の革 | 鹿革 |
豚の革 | 豚革 |
馬の革 | 馬革 |
上記以外の革 | 材料の種類の通称を示す用語 |
材料の種類 | 表示するための用語 |
---|---|
牛の革 | 牛革 |
馬の革 | 馬革 |
豚の革 | 豚革 |
羊の革 | 羊革 |
やぎの革 | やぎ革 |
天然皮革が用いられた製品は、法律に基づいた「材料の種類」を決められた用語を使用して表示する必要がありますが、その材料を鑑別する公定法はありません。
当センターの天然皮革の鑑別技術により、表示に基づくエビデンスとしての試験を紹介いたします。
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牛革の表面観察例 | 豚革の表面観察例 |
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牛革の断面観察例 | 豚革の断面観察例 |
天然皮革の鑑別は、毛穴配列や断面構造などの外観観察による顕微鏡法が主流ですが、外観観察は長年にわたる経験が必要になります。また、天然皮革の製造工程や、物理的な摩耗等による損傷で、外観観察による鑑別が困難となることもあります。
外観観察以外にもDNA鑑別法がありますが、天然皮革の製造工程でDNAが損傷し、抽出が困難となり、DNAが検出されません。
この課題を解決すべく、ペプチド分析法を用いて天然皮革の種類を同定します。
ペプチド分析法による天然皮革の鑑別は、国立大学法人神戸大学 質量分析総合センターとの共同研究で新たに確立した方法です。動物種に固有なコラーゲンペプチドに着目し、迅速かつ高精度な機器分析による鑑別を可能にしております。
本鑑別試験につきましては、一般社団法人 日本繊維製品消費科学会の2015年年次大会にて、「ペプチド分析による天然皮革鑑別法の検討」の題目で発表を行いました。また、2018年には国際特許を取得しています。
試験方法の概略は、下図の通りです。