キュプラ、リヨセルの繊維鑑別・混用率試験(JIS L 1030-4)

概要

 セルロース系繊維は、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセルなどがありますが、従来の繊維鑑別試験方法であるJIS L 1030-1では、キュプラとリヨセルの区別ができない場合が出てきました。このたび、2023年1月20日にキュプラとリヨセルの繊維鑑別試験方法、混用率試験方法のJISが制定されました。

  • JIS L 1030-4-1:走査電子顕微鏡法(SEM法)及びスペクトル分析法による繊維鑑別
  • JIS L 1030-4-2:光学顕微鏡法による繊維混用率試験方法
  • JIS L 1030-4-3:スペクトル分析法による繊維混用率試験方法
 

 当センターでは、これらのJIS法によりキュプラ・リヨセルの鑑別・混用率算出が可能です。


JIS L 1030-4-1(SEM法)
試験方法
  1. JIS L 1030-1により繊維鑑別を行い、キュプラ、リヨセル以外の繊維はJIS L 1030-2の解除法や溶解法によって除去します。
  2. 繊維をミクロトームにより0.6±0.2mmの長さに切断します。
  3. 走査電子顕微鏡(SEM)により繊維表面を確認します。
  4. 表面に薄いしわがあればキュプラ、滑らかであればリヨセルになります。

 
キュプラ   リヨセル
JIS L 1030-4-1(スペクトル分析法)
試験方法
  1. 赤外分光光度計により校正用試料を測定します。
  2. 校正用試料の赤外吸収スペクトルデータおよびダミー変数(キュプラ:1、リヨセル:0)を、多変量解析用ソフトウェアを使用してキャリブレーションモデルを取得します。
  3. 赤外分光光度計により試験試料を測定します。
  4. 試験試料の赤外吸収スペクトルデータをキャリブレーションモデルに入力します。
  5. 計算結果より1であればキュプラ、0であればリヨセルと判定します。

赤外分光光度計
JIS L 1030-4-2
試験方法
  1. JIS L 1030-1により繊維鑑別を行い、キュプラ、リヨセル以外の繊維はJIS L 1030-2の解除法や溶解法によって除去します。
  2. 試験片を脱色し、アルカリ処理後、染色液で染色します。
  3. 繊維をミクロトームにより0.6±0.2mmの長さに切断します。
  4. 光学顕微鏡によりキュプラおよびリヨセルの本数を1000本以上数えます。
  5. キュプラおよびリヨセルの直径を100本以上測定し、混用率を算出します。

染色後のキュプラ(濃色)とリヨセル(淡色)
JIS L 1030-4-3
試験方法
  1. キュプラ/リヨセルの混用率が既知の校正用試料を、赤外分光光度計(ATR法)により測定します。
  2. 校正用試料の赤外吸収スペクトルデータおよびキュプラ混用率を、多変量解析用ソフトウェアを使用してキャリブレーションモデルを取得します。
  3. 赤外分光光度計(ATR法)により試験試料を測定します。
  4. 試験試料の赤外吸収スペクトルデータをキャリブレーションモデルに入力し、混用率結果を得ます。

赤外分光光度計