プレス寸法変化率(JIS L 1096 H法)

概要

 プレス寸法変化率とは、繊維製品の仕上げに用いるプレス処理やスチーム処理を行った後の寸法の変化を百分率で示したものです。プラス(+)の数値は元の長さより伸びた割合、マイナス(-)の数値は元の長さより縮んだ割合になります。


試験対象品
  • 織物
  • 編物
H-1法(乾熱加圧法)
試験方法


 

  1. 約250×250mmの試験片を採取し、200mmの標点をたて方向に3か所、よこ方向に3か所付けます。
  2. 標点を付けた試験片をプレス機の下ごてに置きます。
  3. 繊維の素材に応じた温度に設定した上ごてによって、39kPaで20秒間プレスします。
  4. 上ごてを上げ、20秒間下ごてのバキュームを行います。
  5. 調湿後、標点の長さを測定し、下式にて寸法変化率を算出します。
    寸法変化率(%)={(処理後の長さ(mm)ー処理前の長さ(mm))/処理前の長さ(mm)}×100
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
プレス寸法変化率 たて -0.5%

JIS L 1096 H-1法

よこ -1.0%
補足

上ごての素材別設定温度(H-1法/ H-3法/ H-4法に適用)

  • 180℃:綿、麻
  • 160℃:毛、ポリノジック、レーヨン、キュプラ
  • 140℃:ポリエステル、ビニロン
  • 120℃:絹、アセテート、トリアセテート、ナイロン、アクリル
  • 100℃:モダクリル、ポリウレタン、ポリ乳酸 など


注)繊維が混用されている場合は、温度が低いものを選択します。

H-2法(蒸熱オープン法)
試験方法


 

  1. 約250×250mmの試験片を採取し、200mmの標点をたて方向に3か所、よこ方向に3か所付けます。
  2. 標点を付けた試験片をプレス機の下ごてに置きます。
  3. 上ごてを試験片の20mm上まで降ろし、上ごてから490kPaの蒸気を15秒間ふかします。
  4. 上ごてを上げ、15秒間下ごてのバキュームを行います。
  5. 調湿後、標点の長さを測定し、下式にて寸法変化率を算出します。
    寸法変化率(%)={(処理後の長さ(mm)ー処理前の長さ(mm))/処理前の長さ(mm)}×100
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
プレス寸法変化率 たて -1.0%

JIS L 1096 H-2法

よこ -1.0%
H-3法(蒸熱加圧法)
試験方法
 


 

  1. 約250×250mmの試験片を採取し、200mmの標点をたて方向に3か所、よこ方向に3か所付けます。
  2. 標点を付けた試験片をプレス機の下ごてに置きます。
  3. 上ごてを試験片の20mm上まで降ろし、上ごてから490kPaの蒸気を20秒間ふかします。
  4. ふかした後、続いて繊維の素材に応じた温度に設定した上ごてによって、39kPaで20秒間プレスします。
  5. 上ごてを上げ、20秒間下ごてのバキュームを行います。
  6. 調湿後、標点の長さを測定し、下式にて寸法変化率を算出します。
    寸法変化率(%)={(処理後の長さ(mm)-処理前の長さ(mm))/処理前の長さ(mm)}×100
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
プレス寸法変化率 たて -1.5%

JIS L 1096 H-3法

よこ -2.0%
H-4法(蒸熱ロック法)
試験方法


 

  1. 約250×250mmの試験片を採取し、200mmの標点をたて方向に3か所、よこ方向に3か所付けます。
  2. 標点を付けた試験片をプレス機の下ごてに置きます。
  3. 繊維の素材に応じた温度に設定した上ごてによって、39kPaで20秒間プレスすると同時に、490kPaの蒸気を20秒間ふかします。
  4. 上ごてを上げ、20秒間下ごてのバキュームを行います。
  5. 調湿後、標点の長さを測定し、下式にて寸法変化率を算出します。
    寸法変化率(%)={(処理後の長さ(mm)-処理前の長さ(mm))/処理前の長さ(mm)}×100
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
プレス寸法変化率 たて -2.0%

JIS L 1096 H-4法

よこ -2.0%