ドライクリーニング寸法変化率(JIS L 1096 J法)

概要

 織物や編物をウォッシュシリンダ形洗濯試験機にてドライクリーニングし、脱液、乾燥した後の寸法の変化を百分率で示したものです。プラス(+)の数値は、元の長さより伸びた割合、マイナス(-)の数値は、元の長さより縮んだ割合になります。

ウォッシュシリンダ形洗濯試験機

試験対象品
  • 織物
  • 編物
J-1法(パークロロエチレン法)
試験方法
 
織物の場合 編物の場合(2枚重ねで上下40mm以外をかがる)


 

  1. 織物の250×250mmの試験片を、編物の場合は約300×300mmの試験片を2枚重ねで採取し、200mmの標点をたて方向に3か所、よこ方向に3か所付けます。
  2. パークロロエチレン4リットルに陰イオン活性剤2g、非イオン活性剤2g、水8mlを加えて試験液とします。
  3. 40℃の試験液を試験機のシリンダに入れ、試験片200gを投入します。
  4. 15分間運転した後、脱液しタンブル乾燥または平干し乾燥を行います。
  5. 調湿後、標点の長さを測定し、下式にて寸法変化率を算出します。
    寸法変化率(%)={(処理後の長さ(mm)ー処理前の長さ(mm))/処理前の長さ(mm)}×100
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
ドライクリーニング寸法変化率 たて -0.2%

JIS L 1096 J-1法

タンブル乾燥

よこ -0.5%
試験結果の見方

一般的な目安値は次の通りです。

  • 織物、編物:±3%以内
コラム

 ドライクリーニングとは、有機溶剤を使用した洗濯のことです。毛や絹など水洗いができない素材を使用した繊維製品を洗濯することができます。ドライクリーニングに使用される溶剤は、日本国内では主にパークロロエチレンと石油系溶剤です。


 パークロロエチレンを使用したクリーニングでは、洗浄力が強い反面、溶剤による溶解性が強いためプラスチック樹脂や顔料プリントに使用されるバインダー(接着剤)を溶かしてしまうことがあります。

 石油系溶剤を使用したクリーニングでは、カシミヤなどのデリケートな素材や、パークロロエチレンで溶解する恐れのある加工や付属品を使用した繊維製品に用いられます。

J-2法(石油系法)
試験方法
 
織物の場合   編物の場合(2枚重ねで上下40mm以外をかがる)


 

  1. 織物の250×250mmの試験片を、編物の場合は約300×300mmの試験片を2枚重ねで採取し、200mmの標点をたて方向に3か所、よこ方向に3か所付けます。
  2. 石油系溶剤(クリーニングソルベント)4リットルに陰イオン活性剤2g、非イオン活性剤2g、水8mlを加えて試験液とします。
  3. 35℃の試験液を試験機のシリンダに入れ、試験片200gを投入します。
  4. 35分間運転した後、脱液しタンブル乾燥または平干し乾燥を行います。
  5. 調湿後、標点の長さを測定し、下式にて寸法変化率を算出します。
    寸法変化率(%)={(処理後の長さ(mm)-処理前の長さ(mm))/処理前の長さ(mm)}×100
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
ドライクリーニング寸法変化率 たて -0.5%

JIS L 1096 J-2法

平干し乾燥

よこ -0.5%
試験結果の見方

一般的な目安値は次の通りです。

  • 織物、編物:±3%以内
補足
 石油系溶剤は、引火点(約40℃)が低いため、タンブル乾燥機は防爆形を用いる必要があります。