熱伝達性(放射熱ばく露)(ISO 6942・JIS T 8020)

概要

 消防隊員が着用する防火服や高温環境下で使用する熱防護服は、熱源から身体を守る重要な役割を果たします。熱源の一つとして、「放射熱(輻射熱)」があります。放射熱にばく露される環境で着用する防護服に対しては、放射熱に対する熱の伝わりにくさ(熱伝達性)が重要な評価項目とされています。

 当センターでは、「熱伝達性試験(放射熱ばく露):ISO 6942(JIS T 8020)」を行っています。


目的

 この試験は、防護服に使用される材料が、放射熱にばく露された時の熱伝達性を評価します。着用中の防護服が放射熱に短時間ばく露された時、熱が伝わりにくければ、火傷を負うリスクが低くなります。


試験対象品
  • 消防服
  • 防火服
  • 溶接関連防護服
  • 防火手袋
ISO 6942(JIS T 8020) B法
試験方法

ISO 6942:

Protective clothing — Protection against heat and fire — Method of test: Evaluation of materials and material assemblies when exposed to a source of radiant heat
JIS T 8020:

熱及び火炎に対する防護服-放射熱ばく露による防護服材料の性能評価
 

 代表的な方法は、垂直方向にセットした防護服材料の表面に対し、ヒーターにより放射熱を与え、防護服材料の裏面(肌側)に設置したセンサーで温度上昇を計測します。計測した温度上昇データを基に、規定の温度上昇(24℃上昇や12℃から24℃上昇)までの時間(熱伝達指数・RHTI)を求めます。

 
熱伝達性(放射熱ばく露)試験装置 熱量計部分
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
熱伝達性
(放射熱ばく露)
RHTI24 23.4

ISO 6942:2002 B法

放射熱流束:40kW/m2

洗濯処理:ISO 6330 6N タンブル乾燥

試験片:積層生地にて試験実施

RHTI24-HTI12 7.1

RHTI24:熱量計が24℃まで上昇した時間

RHTI24-HTI12:熱量計が12℃から24℃まで上昇した時間

試験結果の見方
 熱伝達指数(RHTI)の値が大きいほど、熱の伝わりが遅い(火傷を負うリスクが低い)ことになります。
補足

 ISO 6942(JIS T 8020)は、熱伝達性(放射熱ばく露)の試験方法が規定されていますが、この試験方法を引用した製品規格(基準値)は次の通りです。
 

  • ISO11611(JIS T 8128)溶接及び関連作業用防護服
  • ISO11612(JIS T 8129)熱及び火炎に対する防護服
  • ISO11613:2017 建物火災で建物侵入をする隊員をサポートする部隊用の防火服
  • ISO11999-3 建物火災で建物侵入をする隊員用の防火服
  • ISO11999-4 建物火災で建物侵入をする隊員用の防火手袋
  • 消防隊員用個人防火装備に係るガイドライン