熱伝達性(接触熱)(ISO 12127-1・JIS T 8027-1)

概要

 消防隊員が着用する防火服や高温環境下で使用する熱防護服は、熱から身体を守る重要な役割を果たします。熱源の1つとして、高温物との接触「接触熱」があります。高温物に触れる可能性のある環境では、接触熱に対する熱の伝わりにくさ(熱伝達性)が、防火服において重要な評価項目になります。

 当センターでは、「熱伝達性(接触熱)試験:ISO 12127-1(JIS T 8027-1)」を行っています。


目的
 この試験は、防護服に使用される材料が、高温物に接触した時の熱伝達性を評価します。防護服着用者が、高温の物体に接触したり、握ったりした時、熱が伝わりにくければ、火傷を負うリスクが低くなります。
試験対象品
  • 消防服
  • 防火服
  • 防火手袋
ISO 12127-1(JIS T 8027-1)
試験方法

ISO 12127-1:

Clothing for protection against heat and flame — Determination of contact heat transmission through protective clothing or constituent materials — Part 1: Contact heat produced by heating cylinder

JIS T 8027-1:

熱及び火炎に対する防護服−押圧熱伝達の測定− 第1部:加熱シリンダによる押圧熱伝達試験方法


 水平方向に防護服材料を固定し、上方から防護服材料の表面へ、規定温度(例:250℃)に加熱したシリンダを接触させます。防護服材料の裏面に設置したセンサーで温度上昇を計測します。計測した温度上昇データを基に、規定の温度上昇(例:10℃上昇)までの時間(しきい時間)を求めます。


 

  
熱伝達性(接触熱)試験装置 試験の様子
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法

熱伝達性

(接触熱)

しきい時間

(秒)

8.5

JIS T 8027-1

試験温度:250℃

洗濯処理:未処理

試験結果の見方
 しきい時間が長いほど、高温物に接触した時の熱の伝わりが長くなるため、やけどを負うリスクが低くなります。
補足

 ISO 12127-1(JIS T 8027-1)は、熱伝達性(接触熱)の試験方法が規定されていますが、この試験方法を引用した製品規格(基準値)は次の通りです。
 

  • ISO11612(JIS T 8129)熱及び火炎に対する防護服
  • ISO11999-3 建物火災で建物侵入をする隊員用の防火服 
  • ISO11999-4 建物火災で建物侵入をする隊員用の防火手袋
  • 消防隊員用個人防火装備に係るガイドライン