熱伝達性(火炎ばく露)(ISO 9151・JIS T 8021)

概要

 消防隊員が着用する防火服や高温環境下で使用する熱防護服は、熱から身体を守る重要な役割を果たします。熱源の1つとして、「火炎」があります。火炎にばく露される環境で着用する防護服に対しては、火炎に対する熱の伝わりにくさ(熱伝達性)が重要な評価項目とされています。

 当センターでは、「熱伝達性試験(火炎ばく露):ISO 9151(JIS T 8021)」を行っています。


目的
 この試験は、防護服に使用される材料が、火炎にばく露された時の熱伝達性を評価します。着用中の防護服が火炎に短時間ばく露された時、熱が伝わりにくければ、火傷を負うリスクが低くなります。
試験対象品
  • 消防服
  • 防火服
  • 熱防護服
  • 防火手袋
ISO 9151(JIS T 8021)
試験方法

ISO 9151:

Protective clothing against heat and flame — Determination of heat transmission on exposure to flame
JIS T 8021:

熱及び火炎に対する防護服-火炎ばく露による熱伝達指数測定法


 水平方向に防護服材料を固定し、下方から防護服材料の表面にガスバーナーで80kW/m2の火炎を与えます。防護服材料の裏面(肌側)に設置したセンサーで、温度上昇を計測します。計測した温度上昇データを基に、規定の温度上昇(24℃上昇や12℃から24℃上昇)までの時間(熱伝達指数)を求めます。
 

 
熱伝達性(火炎ばく露)試験装置 火炎ばく露の様子
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
熱伝達性
(火炎ばく露)
RHTI24 25

JIS T 8021

洗濯処理:未処理

RHTI24-HTI12 8

RHTI24:熱量計が24℃まで上昇した時間

RHTI24-HTI12:熱量計が12℃から24℃まで上昇した時間

試験結果の見方
 熱伝達指数(RHTI)の値が大きいほど、熱の伝わりが遅い(火傷を負うリスクが低い)ことになります。
補足

 ISO 9151(JIS T 8021)は、熱伝達性(火炎ばく露)の試験方法が規定されていますが、この試験方法を引用した製品規格(基準値)は次の通りです。
 

  • ISO 11612(JIS T 8129) 熱及び火炎に対する防護服
  • ISO 11613 建物火災で建物侵入をする隊員をサポートする部隊用の防火服
  • ISO 11999-3 建物火災で建物侵入をする隊員用の防火服
  • ISO 11999-4 建物火災で建物侵入をする隊員用の防火手袋
  • 消防隊員用個人防火装備に係るガイドライン