耐候性試験

概要

 耐候性とは、繊維、塗料、プラスチック、ゴム、金属などの部材が、屋外で太陽光や雨などの影響を受けた場合の耐久性をいいます。一般的には、耐候性試験の前後で部材の変退色、外観変化(脆化現象を含む)、強度低下率などを評価します。

 耐候性試験(促進耐候性試験ともいう)で照射する光は主に2種類あり、次のように試験機が異なります。

  • サンシャインウェザーメーター:カーボンアーク灯光(主に紫外線領域を照射)
  • キセノンウェザーメーター:キセノンアーク灯光(主に太陽光領域を照射)

 また、当センターのキセノンウェザーメーターには、フラットトレイ式で立体物の成形品にも対応している試験機を導入しています(略称:フラットキセノン)。


試験対象品
  • 繊維
  • プラスチック
  • 塗料
  • 自動車
  • アルミニウム
  • ゴム
  • 印刷物・インキ
  • 建材
サンシャインウェザーメーター
試験方法

試験機の仕様

 JIS B 7753に基づく試験機で、サンシャインカーボンアーク灯光(主に紫外線領域)による照射と、断続した水の噴射が可能です。

放射照度 255W/m2
測定波長 300~700nm
照射時温度 63±3℃(ブラックパネル温度(BPT))
試料回転枠 約1rpm
ガラス製フィルタ フィルタA(JIS B 7753による)
照射および噴霧
  • 120分サイクル:照射102分/照射+水噴霧18分
  • 60分サイクル:照射48分/照射+水噴霧12分
  • 照射のみ


 

 
外観   内部の様子

試験事例

非危険物用フレキシブルコンテナ(JIS Z 1651)の一例

  1. 120分サイクル(照射102分/照射+水噴霧18分)にて200時間以上処理します(B法)。
  2. 試験後、表面の亀裂・損傷・その他の異常を確認します。
  3. 本体材料、つりベルト・つりロープの初期および耐候性処理後の引張強さを求め、一定の強度残存率などを確認します。


 

適用する規格

分野 規格番号 規格名称
プラスチック JIS K 7350-4 プラスチック-実験室光源による暴露試験方法-
第4部:オープンフレームカーボンアークランプ
建材 JIS A 1415 高分子系建築材料の実験室光源による暴露試験方法
JIS A 6111 透湿防水シート
繊維 JIS L 0891 キセノンアーク灯光又はサンシャインカーボンアーク灯光を
用いた促進耐候堅ろう度試験方法
JIS Z 1651 非危険物用フレキシブルコンテナ
自動車 JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法

上記以外の実施可能な試験規格については、お近くの事業所、検査所にご相談ください。

キセノンウェザーメーター
試験方法

試験機の仕様

 JIS B 7754に基づく試験機で、キセノンアーク灯光(主に太陽光領域)による照射と、断続した水の噴射が可能です。

放射照度 約32~100W/m2
測定波長 300~400nm
照射時温度 63~110±2℃(ブラックパネル温度(BPT))
照射時湿度

50±5%RH(BPT63℃、60W/m2時)

試料回転枠 約2rpm
インナーフィルタ 石英ガラス(JIS B 7754による)
アウターフィルタ 紫外線遮断用ガラスフィルタ(JIS B 7754による)
照射および噴霧
  • 120分サイクル:照射102分/照射+水噴霧18分
  • 60分サイクル:照射48分/照射+水噴霧12分
  • 照射のみ


 

 
外観   内部の様子

試験事例

農業用シート、ブールシート(JIS K 7350-2)の一例

  1. 60W/m2の放射照度、120分サイクル(照射102分/水噴霧18分)にて所定時間暴露します。
  2. 試験後、引張強さなどを測定し、強度保持率を確認します。


 

塗料(JIS K 5600-7-7)の一例

  1. 塗料を塗装した試料を試験機に装着します。
  2. 60W/m2の放射照度、120分サイクル(照射102分/水噴霧18分)にて所定時間暴露します。
  3. 試験後、外観変化や色相変化を確認します。


 

適用する規格

分野 規格番号 規格名称
プラスチック JIS K 7350-2 プラスチック-実験室光源による暴露試験方法-
第2部:キセノンアークランプ
ISO 4829-2 プラスチック-試験所光源への暴露方法-
第2部:キセノンアーク光源
建材 JIS A 1415 高分子系建築材料の実験室光源による暴露試験方法
JIS A 6111 透湿防水シート
塗料 JIS K 5600-7-7 塗料一般試験方法-第7部:塗料の長期耐久性-
第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)
繊維 JIS L 0891 キセノンアーク灯光又はサンシャインカーボンアーク灯光を
用いた促進耐候堅ろう度試験方法
AATCC TM169 繊維の耐候性:キセノンランプ暴露
印刷物 JEITA CP-3901B デジタルカラー写真プリント画像保存性試験方法
自動車 JASO M346 自動車用内装品のキセノンアークランプによる
促進耐光性試験方法

上記以外の実施可能な試験規格については、お近くの事業所、検査所にご相談ください。

フラットキセノン
対象製品
  • 立体物
  • 液体
  • 成形品
試験方法

試験機の仕様

 キセノンアーク灯光(主に太陽光領域)による照射と、断続した水の噴射が可能です。また、大きなフラットトレイを備えているため、立体物などの成形品をそのままの姿で評価可能です。

放射照度 20~125W/m2(@300~400nm)
測定波長 300~400nm、340nm、420nm(切替可能)
照射時温度 45~110℃(ブラックパネル温度(BPT))
照射時湿度

20~95%RH

フラットトレイ 幅720mm×奥行450mm、耐荷重23kg
フィルタ
  • Dayligtフィルタ(屋外太陽光)
  • Windowフィルタ(屋内太陽光)
  • Extended UVフィルタ(短波長スペクトル)
照射および噴霧 任意のサイクルで試験可能


 

 


フラットキセノン試験機   液体の照射前後の様子
(左が照射後、右が照射前)

試験事例

化粧品の光安定性試験(ICHガイドライン)の一例

  1. 光源はオプション1に規定されているキセノンランプを使用します。
  2. 容器に入った化粧品を、総照度として120万lx・hr以上照射します。
  3. 曝光後、内容物の変色などを確認します。


 

適用する規格

分野 規格番号 規格名称
プラスチック JIS K 7350-2 プラスチック-実験室光源による暴露試験方法-
第2部:キセノンアークランプ
ISO 4829-2 プラスチック-試験所光源への暴露方法-
第2部:キセノンアーク光源
建材 JIS A 1415 高分子系建築材料の実験室光源による暴露試験方法
JIS A 6111 透湿防水シート
塗料 JIS K 5600-7-7 塗料一般試験方法-第7部:塗料の長期耐久性-
第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)
繊維 JIS L 0891 キセノンアーク灯光又はサンシャインカーボンアーク灯光を
用いた促進耐候堅ろう度試験方法
AATCC TM169 繊維の耐候性:キセノンランプ暴露
印刷物 JEITA CP-3901B デジタルカラー写真プリント画像保存性試験方法
自動車 JASO M346 自動車用内装品のキセノンアークランプによる
促進耐光性試験方法

上記以外の実施可能な試験規格については、お近くの事業所、検査所にご相談ください。