試料に含まれている鉛(なまり:Pb)の量を測定する試験です。
衣類のボタンや装飾品などの小さなパーツ、玩具の誤飲などによる事故を未然に防ぐことが目的です。
鉛(なまり:Pb)は体内に吸収されると、人体に悪影響を及ぼします。そのため、各国で鉛を規制する法律が存在しますが、特に誤飲をする可能性がある乳幼児・子供用製品を対象としたものが多いです。日本でも、2006年の東京都「金属製アクセサリー類等に含有する重金属類の安全性に関する調査」結果が公表された後、厚生労働省、経済産業省、消費者庁でも実態調査が行われ、安全に対する意識が高まりました。金属製アクセサリー類等については、製品中の鉛含有状況の把握や鉛含有の低減策の推進、鉛を含有する旨や子供の誤飲防止に係る注意表示の実施が要請されています。
米国内で生産された子供用製品、また輸入された子供用製品は、流通に関わる者がその製品についての安全証明書(又はその写し)を保有する義務がCPSIA※1により定められています。当センターでは、CPSIAでの子供用製品の鉛含有量基準に基づく検査を行っております。
※1 CPSIA(Consumer Product Safety Improvement Act:消費者製品安全(性)改善法)・・・アメリカの法律。子供用製品の安全性を強化するため、鉛およびフタル酸エステル類を規制。前身のCPSAを大幅に改正して2008年に成立後、内容の明確化や手直しが行なわれている。
【CPSIAでの子供用製品※2 の鉛含有量基準値】
※2・・・子供用のものとして設計された製品、または12歳以下の子供が使用する製品
16 CFR Part 1303(CPSC-CH-E1003-09 or CPSC-CH-E1003-09.1), Lead Paint Regulation |
CPSC-CH-E1002-08.3, Lead in Non-Metal Children’s Products |
CPSC-CH-E1002-08.3, Lead in Children’s Metal Products |
CPSC-CH-E1002-08.3, Lead in Children’s Metal Jewelry |
食品衛生法は、飲食による危害の発生を防止するための日本の法律です。食品添加物や容器・包装のほか、金属製アクセサリーがん具などの乳幼児用おもちゃも規制されています。
食品衛生法・指定おもちゃ※の溶出量基準値
鉛:90 μg/g 以下(金属製アクセサリー玩具、おもちゃに使用される塗膜について)
含有・溶出とは?
金属の話でいえば、特定の金属がおもちゃなどに含まれていることを「含有」、おもちゃなどから溶け出すことを「溶出」と言います。金属が含有されていなければ溶出することはありませんが、溶出しないことが含有されていないことの証明にはなりません。販売対象国やアイテムによって、適切な試験を選ぶことが必要です。
含有量測定に使用する質量分析計(ICP-MS)