可燃性試験(燃焼性)(アメリカ市場向け・16CFR)

概要

 アメリカの連邦法で定められた方法によって生地の燃えやすさを確認する試験です。製品アイテムによって求められる要件が異なります。


目的

 衣類の燃焼による事故から着用者を守るため、アメリカでは、燃えやすい素材を用いた衣料品の上市が禁止されています。事業者は、使用素材が可燃性基準に適合していることを確認する義務があります。


試験対象品
  • 大人向け衣料品
  • 子ども向け衣料品
  • 子ども向けタイトフィットスリープウェア
  • 子ども向けルーズフィットスリープウェア
16 CFR 1610
概要
  16 CFR 1610 は、衣料品及び衣料用繊維の可燃性試験方法と評価方法を規定しています。
対象製品
  • 大人向け衣料品
  • 子ども向け衣料品
  • 子ども向けタイトフィットスリープウェア
試験方法

前処理

 原布の試験結果がクラス1またはクラス2の場合、商業クリーニング1回後に水洗い1回の前処理を施した試料でも試験を行います。

操作

  1. 予備試験で確認した面と方向にしたがって試験片(50mm×150mm)を5枚作成し、試験片支持枠に装着します。
  2. 起毛生地は、毛の流れに逆らってブラッシングします。
  3. 試験片を105℃のオーブン内に水平に置き60分放置した後、シリカゲル入りデシケーターの中で15分〜3時間乾燥させます。
  4. デシケーターから取りだした試験片を試験機に装着し、止め糸および重りをセットします。
  5. 接炎後、燃焼時間および試験片の状態を確認します。
  6. 複数の試験片の結果から、燃焼状態のクラス判定を行います。
試験結果例

 「Flammability Classification: Class 1」

 ※各試験片の燃焼時間および試験片の状態を表すコード、平均燃焼時間などに加えて記載されます。

試験結果の見方
 「TABLE 1 TO §1610.4 – SUMMARY OF TEST CRITERIA FOR SPECIMEN CLASSIFICATION」によるクラスの定義は以下の通りです。  
クラス 無起毛生地 起毛生地
1 燃焼時間が3.5秒以上

(1)燃焼時間が7.0秒超

(2)燃焼時間が0~7秒でSFBBなし

(急速な表面フラッシュのみだったことを示す)

2 該当なし 燃焼時間が4~7秒でSFBBあり
3 燃焼時間が3.5秒未満 燃焼時間が4.0秒未満でSFBBあり
 

 SFBB・・・surface flash base burn:表面フラッシュの結果、着火点以外の場所で基布が燃焼すること。

 

 燃焼時間が短くクラスの数字が大きいものが危険と考えられます。クラス3の生地は、アメリカ国内での販売が認められません。

補足
  1. 以下にあてはまる素材は、可燃性試験を免除することができます。
    • 組成にかかわらず、質量が2.6oz/yd²(≒88g/㎡)以上の平滑な⽣地
    • 質量にかかわらず、また、⽣地表⾯の状態が平滑か/起⽑されているかにかかわらず、
      次の繊維単体で、もしくは次の繊維同士の組み合わせのみで構成される⽣地:
      アクリル、モダクリル、ナイロン、オレフィン、ポリエステル、ウール
       
  2. 以下にあてはまる場合は、可燃性基準の適用対象外です。
     適用対象外品・・・帽子、⼿袋、履物、芯地
     適用対象外部位・・・製品の通常の着用で、炎その他の着火源に曝されない部位

 上記の場合、通常アメリカで販売される衣料品に必要なGCCの発行は不要です。GCCについては こちらのページ の「※1 GCCとは?」をご覧ください。
コラム

 「製品の通常の着用で、炎その他の着火源に曝されない部位」が可燃性基準の適用対象外なら、裏地も対象外に思えそうですが、実際は可燃性基準が適用されます。理由は、袖をまくった時、前を開けて着用した時などに、裏地が露出し着火源に曝される可能性があるためです。

  同様に、下着姿で外出することがなくても室内では下着姿で過ごす可能性があるため、下着も適用対象という考え方になります。

 一般的な衣料品のパーツで適用対象外となるのは芯地くらいですので、注意が必要です。

16 CFR 1615
概要
  16 CFR 1615 は、サイズ0~6Xの子ども向けスリープウェアの可燃性試験方法と評価方法を規定しています。  
対象製品
  • 子ども向けルーズフィットスリープウェア
16 CFR 1616
概要
  16 CFR 1616  は、サイズ7~14の子ども向けスリープウェアの可燃性試験方法と評価方法を規定しています。
対象製品
  • 子ども向けルーズフィットスリープウェア
補足
  16 CFR 1615  および 16 CFR 1616  は、CPSCの登録機関において試験を実施する必要があります。詳しくは こちらのページ の「※2 CPCとは?」をご覧ください。