燃焼性試験(難燃性・防炎性)(JIS L 1091)

概要

 「難燃性」は「防炎性」ともいい、初期火災で加熱を受けた時に着火しにくく、また着火後も燃え広がる速度を遅らせる機能です。繊維や生地に不燃性ガスを発生させる薬剤や熱分解しない無機物を添加したり、熱分解しない無機繊維や、一般的な繊維に比べて分解温度の高いアラミド繊維を利用したりしています。生地の難燃性を調べる試験として、「JIS L 1091繊維製品の燃焼性試験方法」をご紹介します。


A-1法、A-2法、A-4法
対象製品
  • カーテン
  • 暗幕
  • 寝衣類
試験方法

A-1法(45°ミクロバーナ法)


 薄地(質量450g/m2以下)のカーテンや暗幕などに適用する試験です。45°に試験片を傾けた状態で、炎の長さ45mmに調整したミクロバーナーを下から1分間炎を当て、残炎時間、残じん時間、燃焼面積を測定します(1分加熱といいます)。

 着炎するものは、着炎3秒後にバーナーの炎を取り除く試験を追加し、残炎時間、残じん時間、燃焼面積を測定します(着炎3秒後といいます)。

 炎に接した場合に試験片が収縮するものは、試験片を5%たるませた状態で試験機に装着し、前述の1分加熱を行い燃焼長さを測定します(たるませ法といいます)。
 

 
   

 

A-2法(45°メッケルバーナ法)


 厚地(質量450g/m2を超える)のカーテンや暗幕などに適用する試験です。45°に試験片を傾けた状態で、炎の長さ65mmに調整したメッケルバーナーを下から2分間炎を当て、残炎時間、残じん時間、燃焼面積を測定します(2分加熱といいます)。

 着炎するものは、着炎6秒後にバーナーの炎を取り除く試験を追加し、残炎時間、残じん時間、燃焼面積を測定します(着炎6秒後といいます)。

 炎に接した場合に試験片が収縮するものは、試験片を5%たるませた状態で試験機に装着し、前述の2分加熱を行い燃焼長さを測定します(たるませ法といいます)。
 


 

A-4法(垂直法)


 寝衣類などに適用する試験です。試験片を垂直にした状態で、炎の長さ38mmに調整したブンゼンバーナーを試験片下端から3秒間炎を当てます。試験片下端の燃え残った部分の一方に所定の荷重を付け、下端のもう一方を静かに持ち上げ、試験片下端中央部分(炭化した部分)を引き裂き、その燃焼長さを測定します。


試験結果の見方

A-1法の燃焼区分

項目 区分
1 2 3
1分加熱 燃焼面積 >45cm2

≦45cm2

≦30cm2
残炎時間 >3s ≦3s

残炎時間+

残じん時間

>5s ≦5s
燃焼長さ >20cm ≦20cm
着炎3秒後 燃焼面積 >45cm2 ≦45cm2 ≦30cm2
残炎時間 >10s ≦10s ≦3s

残炎時間+

残じん時間

>15s ≦15s ≦5s

JIS L 1091:1999 表1より(表は当センターで作成)


 

A-2法の燃焼区分

項目 区分
1 2 3
2分加熱 燃焼面積 >60cm2

≦60cm2

≦40cm2
残炎時間 >5s ≦5s

残炎時間+

残じん時間

>20s ≦20s
燃焼長さ >20cm ≦20cm
着炎6秒後 燃焼面積 >60cm2 ≦60cm2 ≦40cm2
残炎時間 >20s ≦20s ≦5s

残炎時間+

残じん時間

>30s ≦30s ≦20s

JIS L 1091:1999 表2より(表は当センターで作成)

補足

用語の説明

  • 燃焼面積:燃焼等で破壊された部分の面積
  • 残炎時間:バーナーの炎を取り除いてから、試験片が炎を上げて燃える時間
  • 残じん時間:バーナーの炎を取り除いてから、試験片の炎を上げずに燃え(赤熱状態)消えるまでの時間
  • 燃焼長さ:燃焼等で破壊された部分の最大長さ
B法(表面燃焼試験)
対象製品
  • 敷物類
試験方法

 カーペットなどの敷物類に適用する試験です。45°に傾けたパーライト板の上に試験片を設置し、垂直状態に立てたエアーミックスバーナーの炎の長さを24mmに調整し、バーナーを水平にしてから30秒間試験片に炎を当て、残炎時間、燃焼長さを測定します。


試験結果の見方
項目 区分
1 2
燃焼長さ >10cm ≦10cm
残炎時間 >20s ≦20s

JIS L 1091:1999 表3より(表は当センターで作成)

C法(燃焼速度試験)
対象製品
  • 衣料品
  • マスク
試験方法

 衣料品やスカーフ類などの薄地の繊維製品に適用する試験です。45°に試験片を傾けた状態で、バーナーの炎の長さを16mmに調整します。バーナーを試験片に1秒間接炎し、試験片上部の止め糸が燃えるまでの秒数を測定します(燃焼速度)。着炎しないもの、炎が止め糸に達するまでに燃焼を停止する場合もあります。


E法(酸素指数法試験)
試験方法

 試験片が燃焼を続けるために必要な最低酸素濃度(容量%)を測定します。試験片は次のように3タイプあります。

  • E-1号:薄い生地や熱溶融する生地に適合し、巻いて自立させて試験します。
  • E-2号:E-1号、E-3号以外の生地に適合します。
  • E-3号:熱溶融する生地に適合し、ガラス繊維を縫い付けて試験します。

 試験片を試験装置の所定の位置に装着し、酸素と窒素を混合させたガス(総流量11.4L/min)を試験装置内に注入し、試験片上端に点火器にて接炎します。

 試験片の燃焼時間が3分を超えるまたは、燃焼長さが50mmを超える場合は、酸素濃度を低くし再度試験を行います。試験片の燃焼時間が3分未満または、燃焼長さが50mm未満の場合は、酸素濃度を高くし再度試験を行います。結果は、試験片の燃焼時間が3分以上燃焼し続けるまたは、燃焼長さが50mm以上燃焼し続ける時の最低酸素濃度を求めます。


試験片の種類(イメージ図)

  

   
E-1号   E-2号   E-3号


 

試験結果の見方
 空気中の酸素濃度は約21%といわれており、この数値を超える酸素濃度指数であれば、燃えにくいことを意味します。
補足
 限界酸素指数はLOI(ロイ)値ともいわれ、Limiting oxygen indexの略称です。