起毛を施した衣料品等に着火すると、炎が毛羽から毛羽へ急速に伝播し生地表面を炎が走るような現象が生じることがあります。これを「表面フラッシュ」と呼びます。毛羽は体積の割に表面積が大きく、空気との接触面積が大きいため、着火すると瞬時に完全燃焼します。炎は透明に近いので明るいところでは、ほとんど目立たず、気付くのが遅れると地組織にまで延焼し、思わぬ事故を招くことになります。起毛品の流行に伴って、表面フラッシュによる事故が発生していますが、安全性の面からの対応を迫られながらも、評価方法が確立されていませんでした。
表面フラッシュの試験機は唯一、英国規格に規定がありますが、この試験機ではフラッシュ発生の有無を見るだけで、表面フラッシュを数量的に評価できません。そこで、カケンは定量的に評価できる試験機を開発しました。その試験方法は妥当性が広く認められ、JIS規格に取り入れられ、JIS L 1917が制定されました。
試料を105±2℃の恒温乾燥機内に60分放置(熱による影響を受けるおそれのある試料では、50±2℃の恒温乾燥機内に24時間放置)し、その後シリカゲル入りデシケーター中に30分放置した後、試験を行います。さらに、試験機に取り付ける直前に試料をブラシ掛けし、表面の毛羽を立てて表面フラッシュが発生しやすい状態で試験します。
参考を下記に示しますが、詳細については、日本産業規格(JIS)L 1917:「繊維製品の表面フラッシュ燃焼性試験方法」をご参照下さい。
(一社)繊維評価技術協議会で定める評価区分
評価区分 | 測定結果 |
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表面フラッシュなし | 表面フラッシュ炎がマーカ糸取付位置10cmまで到達しない。 |
表面フラッシュあり | ①表面フラッシュ炎がマーカ糸取付位置10cmまで到達するが20cmに到達しない。 |
②表面フラッシュ炎がマーカ糸取付位置まで1秒以上かかって到達する。 | |
表面フラッシュ著しい | 表面フラッシュ炎がマーカ糸取付位置20cmに1秒未満で到達する。 |