帯電性試験 衣料品・プラスチック 電気抵抗(JIS K 6911/ JIS L 1094)

概要

 静電気による放電が原因で、爆発や火災を伴う事故や、半導体デバイスの破壊が起きることがあります。このような現象を起こさないために、可燃物質を扱う工場や半導体工場等の作業者は、静電気対策として導電性繊維を生地に使用した作業服を着用しています。

 導電性繊維は電気を通しやすい性質を持つため、生地の電気抵抗を測定することで制電性(帯電性)の評価をすることが可能です。


体積抵抗率(JIS K 6911)
概要

 JIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」の試験の一つに体積抵抗率測定があります。これは電気の流れにくさや流れやすさの指標として用いられます。

対象製品
  • 帯電プラスチック
  • 制電プラスチック
試験方法
  1. 直径約100㎜、厚さ2mmの試験片を準備します(試験環境:20℃、65%RH)。
  2. 表面電極と裏面電極の間に試験片を挟み、直流電圧500Vを1分間印加します。
  3. 電圧計および電流計の数値を読み取り、体積抵抗値(MΩ)を算出します。
    Ω(R)=電圧(V)/電流(A)
  4. 下式の通り、体積抵抗率(MΩcm)を求めます。

     ρv:体積抵抗率(MΩcm)
     d:表面電極の内円の外径(cm)
     t:試験片の厚さ(cm)
     Rv:体積抵抗値(MΩ)


表面漏えい抵抗(JIS L 1094 附属書A)
概要
 導電性繊維や帯電加工をした生地の抵抗値を測定します。
対象製品
  • 導電性繊維混生地
  • 帯電生地
  • 制電生地
試験方法
  1. たて(又はウェール方向)80㎜以上、よこ(又はコース方向)50㎜を3枚および、よこ(又はコース方向)80㎜以上、たて(又はウェール方向)50㎜を3枚採取します。
  2. 試験片の電極に接触する部分に導電性塗料を塗布し、電極で生地の表面および裏面を挟みクリップで留めます。
  3. 直流電圧1000Vを3分間印加して、電圧計と電流計の数値を読み取ります。
  4. 下式の通り、電気抵抗率を算出します。
    電気抵抗率(Ω)=印加電圧(V)/電流値(A)
  5. ただし、直流電圧10Vを印加した時、1分後の電流が1×10-5A以上の場合は、10Vの印加とし、1分後の電流値で計算します。

試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法

表面漏えい抵抗率

(Ω)

たて 1.5×107

JIS L 1094 付属書A

印加電圧:1000V

洗濯処理:未処理

試験室の温湿度:20℃、40%RH

よこ 2.7×108
試験結果の見方
 表面漏えい抵抗率の数値が小さいほど、静電気が発生しにくいといえます。