耐切創性試験(TDM test)

概要

 一般的な工場等で使用される作業服、ユニフォーム、手袋等において、カッター等の刃物、金属薄板部品、ガラスといった鋭利な物に対する耐切創性(切れにくさ)を定量的に測定します。
 

試験規格
 ISO 13997:Protective clothing - Mechanical properties - Determination of resistance to cutting by sharp objects
 JIS T 8052:防護服ー機械的特性ー鋭利物に対する切創抵抗性試験方法


試験対象品
  • 作業着
  • ユニフォーム
  • 耐切創手袋
  • 耐切創エプロン
  • 耐切創リストバンド
試験方法

 試験用刃物と試験片との間に一定の力を加え、試験用刃物が試料を貫通するまで水平方向に動く試験機を用います。

耐切創性(TDM test)

 耐切創性(TDM test)部分拡大図

         測定部分拡大画像


 

 試験用刃物に加える荷重条件を変え、複数回測定を行い、「試験用刃物に加えた荷重(Cutting force)」と「試験片を貫通するまでに試験用刃物が動いた距離(Cut stroke length)」の関係をプロットし、近似曲線を求めます。

 その近似曲線より、試験用刃物が20mm移動して試験片を貫通するのに必要な切創力(N)を推定する試験となります。(従って、試験結果は、平均値ではございません。)

試験結果例
試験項目 試験結果
切創力(N) 6.1
試験結果の見方

 得られた切創力(N)の値から、耐切創性レベルをA~Fに分類します。

レベルA レベルB レベルC レベルD レベルE レベルF
切創力(N) 2以上 5以上 10以上 15以上

22以上

30以上

EN 388:2016 4.1 Table2より(表は当センター作成)

コラム

 試験用刃物の移動する速度は、1分間に150㎜とゆっくりのため、衝撃性の要素は含まれません。それは、この試験方法が防護服用に設計された生地や生地の組み合わせによる積層生地などの刃のある工具や鋳造物などに対する切創抵抗性を評価するためで、錐(きり)や釘などのように先端の尖った形状をしている刃物による貫通性の要素を含まないと共に、刃物の運動を対象にした方法ではないからです。

 また、刃物と、試料の下に位置する試料ホルダとの電気的な接触により、試料の貫通を検出する試験機のため、金属繊維を使用した材料ですと、測定が出来ない可能性がございます。