防汚性試験(JIS L 1919)

概要

 「清潔さを保ちやすい」「取扱いが簡単」等の特長から、防汚機能を有する繊維製品が数多く開発されています。この機能を持たせるための手法には3つのタイプがあります。

  1. はじめから汚れが付着しにくいタイプ(Soil Guard→SG)
  2. 汚れた後、洗濯により容易に落ちるタイプ(Soil Release→SR)
  3. 汚れが付着しにくく、また汚れが落ちやすいタイプ(SGR)
 

 以前ははっ水性やはつ油性試験を参考にしていましたが、2006年にJIS規格が制定されました。ここではJIS L 1919(繊維製品の防汚性試験方法)を紹介します。


試験対象品
  • 衣料品
  • カーテン
  • カーペット
  • 壁紙
A-1法(密閉形円筒容器を用いる方法)
概要
粗い粒子を含んだ油性の粉体汚染物質に対する防汚性(泥汚れ等を想定)を評価します。
試験方法
  1. 100㎜×100㎜の試験片をピリング試験JIS L 1076 A法と同様の操作で、ゴム管に巻き付け3体作成します。
  2. 下表の粉体汚染物質1gとゴム管に巻き付けた3体の試験片を、密閉形円筒容器に入れます。
  3. 密閉形円筒容器を、内側に段ボール装着したピリングボックスに投入します。
  4. ピリングボックスを20分間回転操作します。
  5. 操作後、ゴム管から試験片を外し、二本指ではじきながら余分な汚れを取ります。
  6. 汚染用グレースケールにて汚染前の試験片と、汚染後の試験片を比較して「汚れにくさ」の等級を付けます。
  7. 汚染後の試験片を洗濯またはドライクリーニングを行います。
  8. 乾燥後、汚染用グレースケールにて汚染前の試験片と、洗濯またはドライクリーニング後の試験片を比較して「付いた汚れの落ちやすさ」の等級を付けます。

人工汚染物質の成分 質量分率(%)
ピートモス 40.00
ポルトランドセメント(JIS R 5210) 17.00
はくとう土 17.00
けい藻土 17.00
ミネラルオイル(精製鉱油) 8.75
カーボンブラック(JIS K 5107) 0.10
フェライト用酸化鉄(Ⅲ)(JIS K 1462) 0.15

JIS L 1919:2012 表1より(表は当センター作成)


試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法

汚れにくさ試験

(級)

3.5

JIS L 1919 A-1法

(密閉形円筒容器)

粉体汚染物質-1

洗濯条件:JIS L 1930 C4M法平干し

付いた汚れの落ちやすさ試験

(級)

4.5
試験結果の見方

試験結果の数値が大きいほど防汚性の効果があります。


SEKマーク繊維製品認証基準では、次の通りです。

SEKマーク繊維製品認証基準 絶対評価

相対評価

(未加工品と加工品の比較)

汚れが付きにくい試験 3.5級以上

3.0級以上、かつ

未加工品との差1.0級以上

付いた汚れの落ちやすさ試験 3.5級以上

3.0級以上、かつ

未加工品との差1.0級以上

A-2法(密閉形樹脂製袋を用いる方法)
概要
細かい粒子を含んだ乾性の粉体汚染物質に対する防汚性(粉塵、花粉等を想定)を評価します。
試験方法
  1. 下表の粉体汚染物質1gと100㎜×100㎜の試験片1枚を、密閉形樹脂製袋に入れます。
    1. 密閉形樹脂製袋を膨らませ、封したものをJIS L 1076 A法規定のピリングボックスに投入します。
  2. ピリングボックスを60分間回転操作します。
  3. 操作後、二本指ではじきながら余分な汚れを取ります。
  4. 汚染用グレースケールにて汚染前の試験片と、汚染後の試験片を比較して「汚れにくさ」の等級を付けます。
  5. 汚染後の試験片を洗濯またはドライクリーニングを行います。
  6. 乾燥後、汚染用グレースケールにて汚染前の試験片と、洗濯またはドライクリーニング後の試験片を比較して「付いた汚れの落ちやすさ」の等級を付けます。
  7. 以上の操作を試験片3枚に対して行います。

人工汚染物質の成分 質量分率(%)
けい藻土 55.0
ポルトランドセメント(JIS R 5210) 22.0
二酸化けい素(JIS K 8885) 20.0
カーボンブラック(JIS K 5107) 2.0
フェライト用酸化鉄(Ⅲ)(JIS K 1462) 1.0

JIS L 1919:2012 表2より(表は当センター作成)


試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法

汚れにくさ試験

(級)

3.5

JIS L 1919 A-2法

(密閉形樹脂製袋)

粉体汚染物質-2

洗濯条件:JIS L 1930 C4M法平干し

付いた汚れの落ちやすさ試験

(級)

4.5
試験結果の見方

試験結果の数値が大きいほど防汚性の効果があります。


SEKマーク繊維製品認証基準では、次の通りです。

SEKマーク繊維製品認証基準 絶対評価

相対評価

(未加工品と加工品の比較)

汚れが付きにくい試験 3.5級以上

3.0級以上、かつ

未加工品との差1.0級以上

付いた汚れの落ちやすさ試験 3.5級以上

3.0級以上、かつ

未加工品との差1.0級以上

B法(スプレー法)
概要
 水性汚れに対する防汚性を評価します。
試験方法
  1. 試験片をはっ水性試験装置(JIS L 1092 スプレー法)に装着します。
  2. 下表に示した水性溶性の人工汚染物質100mLを試験片にスプレーします。
  3. スプレー後、1分間放置してろ紙で余分な汚れを取り除き乾燥します。
  4. 乾燥後、汚染用グレースケールにてスプレーする前の試験片とスプレー後の試験片を比較して「汚れにくさ」の等級を付けます。
  5. スプレー後の試験片を洗濯またはドライクリーニングを行います。
  6. 乾燥後、汚染用グレースケールにてスプレーする前の試験片と洗濯またはドライクリーニング後の試験片を比較して「付いた汚れの落ちやすさ」の等級を付けます。
     
人工汚染物質の成分 濃度
食用赤色2号(食品衛生法食品添加物) 0.1%水溶液
スクロース(しょ糖) 10.0%水溶液

JIS L 1919:2012 表3より(表は当センター作成)

試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法

汚れの付きにくさ試験

(級)

未加工品 1.5

JIS L 1919 B法

(スプレー法)

洗濯条件:JIS L 1930 C4M法平干し

加工品 4.0

付いた汚れの落ちやすさ試験

(級)

未加工品 2.5
加工品 4.5
試験結果の見方

試験結果の数値が大きいほど防汚性の効果があります。


SEKマーク繊維製品認証基準では、次の通りです。

SEKマーク繊維製品認証基準 絶対評価

相対評価

(未加工品と加工品の比較)

汚れが付きにくい試験 3.5級以上

3.0級以上、かつ

未加工品との差1.0級以上

付いた汚れの落ちやすさ試験 3.5級以上 ※

3.0級以上、かつ

未加工品との差1.0級以上 ※

※「付いた汚れの落ちやすさ試験」単独のみのデータでSEKマークの付与は不可

C法(滴下拭き取り法)
概要

 油性汚れに対する防汚性を評価します。

 試験に用いる親油性汚染物質は3種類あり、①粘性の大きい親油性汚染、②粘性の小さい親油性汚染物質、③総合的な親油性汚染があります。評価する加工生地に応じて親油性汚染物質を選びます。

試験方法
  1. 試験片を平滑なガラス板の上に置きます。
  2. 人工汚染物質0.1mLを、高さ100mmから試験片中央にマイクロピペットで滴下します。
  3. 滴下後、1分間放置してろ紙で余分な汚れを取り除き乾燥します。
  4. 乾燥後、汚染用グレースケールにて滴下する前の試験片と滴下後の試験片を比較して「汚れにくさ」の等級を付けます。
  5. 滴下後の試験片を洗濯またはドライクリーニングを行います。
  6. 乾燥後、汚染用グレースケールにて滴下する前の試験片と洗濯またはドライクリーニング後の試験片を比較して「付いた汚れの落ちやすさ」の等級を付けます。
     

人工汚染物質の成分

質量分率(%)
オリーブ油 61.5
オレイン酸 38.0
オイルレッド 0.5

(この親油性汚染物質は、粘性の小さい親油性汚染に適用します)

JIS L 1919:2012 表4 親油性汚染物質-2より(表は当センター作成)


試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法

汚れの付きにくさ試験

(級)

未加工品 1.0

JIS L 1919 C法

(滴下拭き取り法)

親油性汚染物質-2

洗濯条件:JIS L 1930 C4M法平干し

加工品 3.0

付いた汚れの落ちやすさ試験

(級)

未加工品 1.5
加工品 4.5
試験結果の見方

試験結果の数値が大きいほど防汚性の効果があります。


SEKマーク繊維製品認証基準では、次の通りです。

SEKマーク繊維製品認証基準 絶対評価

相対評価

(未加工品と加工品の比較)

汚れが付きにくい試験 3.5級以上

3.0級以上、かつ

未加工品との差1.0級以上

付いた汚れの落ちやすさ試験 3.5級以上

3.0級以上、かつ

未加工品との差1.0級以上