「清潔さを保ちやすい」「取扱いが簡単」等の特長から、防汚機能を有する繊維製品が数多く開発されています。この機能を持たせるための手法には3つのタイプがあります。
以前は、はっ水性やはつ油性試験を参考にしていましたが、2006年にJIS規格が制定されました。ここではJIS L 1919(繊維製品の防汚性試験方法)を紹介します。なお2022年改正時に、試料は白又は淡色に適し、濃色には適さないと明記されました。
人工汚染物質の成分 | 質量分率(%) |
---|---|
ピートモス | 40.00 |
ポルトランドセメント(JIS R 5210) | 17.00 |
はくとう土 | 17.00 |
けい藻土 | 17.00 |
ミネラルオイル(精製鉱油) | 8.75 |
カーボンブラック(JIS K 5107) | 0.10 |
フェライト用酸化鉄(Ⅲ)(JIS K 1462) | 0.15 |
JIS L 1919:2022 表1より(表は当センター作成)
試験項目 | 試験結果 | 試験方法 |
---|---|---|
汚れにくさ試験 |
3.5級 |
JIS L 1919 A-1法(密閉形円筒容器) 粉体汚染物質-1 洗濯条件:JIS L 1930 C4M法平干し |
付いた汚れの落ちやすさ試験 |
4.5級 |
試験結果の数値が大きいほど防汚性の効果があります。
SEKマーク繊維製品認証基準では、次の通りです。
SEKマーク繊維製品認証基準 | 絶対評価 |
相対評価 (未加工品と加工品の比較) |
---|---|---|
汚れが付きにくい試験 | 3.5級以上 |
3.0級以上、かつ 未加工品との差1.0級以上 |
付いた汚れの落ちやすさ試験 | 3.5級以上 |
3.0級以上、かつ 未加工品との差1.0級以上 |
人工汚染物質の成分 | 質量分率(%) |
---|---|
けい藻土 | 55.0 |
ポルトランドセメント(JIS R 5210) | 22.0 |
二酸化けい素(JIS K 8885) | 20.0 |
カーボンブラック(JIS K 5107) | 2.0 |
フェライト用酸化鉄(Ⅲ)(JIS K 1462) | 1.0 |
JIS L 1919:2022 表2より(表は当センター作成)
試験項目 | 試験結果 | 試験方法 |
---|---|---|
汚れにくさ試験 |
3.5級 |
JIS L 1919 A-2法(密閉形樹脂製袋) 粉体汚染物質-2 洗濯条件:JIS L 1930 C4M法平干し |
付いた汚れの落ちやすさ試験 |
4.5級 |
試験結果の数値が大きいほど防汚性の効果があります。
SEKマーク繊維製品認証基準では、次の通りです。
SEKマーク繊維製品認証基準 | 絶対評価 |
相対評価 (未加工品と加工品の比較) |
---|---|---|
汚れが付きにくい試験 | 3.5級以上 |
3.0級以上、かつ 未加工品との差1.0級以上 |
付いた汚れの落ちやすさ試験 | 3.5級以上 |
3.0級以上、かつ 未加工品との差1.0級以上 |
人工汚染物質の成分 | 濃度 |
---|---|
食用赤色2号(食品衛生法食品添加物) | 0.1%水溶液 |
スクロース(しょ糖) | 10.0%水溶液 |
JIS L 1919:2022 表3より(表は当センター作成)
試験項目 | 試験結果 | 試験方法 | |
---|---|---|---|
汚れの付きにくさ試験 |
未加工品 | 1.5級 |
JIS L 1919 B法(スプレー法) 洗濯条件:JIS L 1930 C4M法平干し |
加工品 | 4.0級 | ||
付いた汚れの落ちやすさ試験 |
未加工品 | 2.5級 | |
加工品 | 4.5級 |
試験結果の数値が大きいほど防汚性の効果があります。
SEKマーク繊維製品認証基準では、次の通りです。
SEKマーク繊維製品認証基準 | 絶対評価 |
相対評価 (未加工品と加工品の比較) |
---|---|---|
汚れが付きにくい試験 | 3.5級以上 |
3.0級以上、かつ 未加工品との差1.0級以上 |
付いた汚れの落ちやすさ試験 | 3.5級以上 ※ |
3.0級以上、かつ 未加工品との差1.0級以上 ※ |
※「付いた汚れの落ちやすさ試験」単独のみのデータでSEKマークの付与は不可
油性汚れに対する防汚性を評価します。試験に用いる親油性汚染物質は次の3種類があります。
評価する加工生地に応じて親油性汚染物質を選びます。
人工汚染物質の成分 |
質量分率(%) |
---|---|
オリーブ油 | 61.9 |
オレイン酸 | 38.0 |
オイルレッド | 0.1 |
JIS L 1919:2022 表4 親油性汚染物質-2より(表は当センター作成)
試験項目 | 試験結果 | 試験方法 | |
---|---|---|---|
汚れの付きにくさ試験 |
未加工品 | 1.0級 |
JIS L 1919 C法(滴下拭き取り法) 親油性汚染物質-2 洗濯条件:JIS L 1930 C4M法平干し |
加工品 | 3.0級 | ||
付いた汚れの落ちやすさ試験 |
未加工品 | 1.5級 | |
加工品 | 4.5級 |
試験結果の数値が大きいほど防汚性の効果があります。
SEKマーク繊維製品認証基準では、次の通りです。
SEKマーク繊維製品認証基準 | 絶対評価 |
相対評価 (未加工品と加工品の比較) |
---|---|---|
汚れが付きにくい試験 | 3.5級以上 |
3.0級以上、かつ 未加工品との差1.0級以上 |
付いた汚れの落ちやすさ試験 | 3.5級以上 |
3.0級以上、かつ 未加工品との差1.0級以上 |