昨今、カーボンニュートラル達成に向けた取り組み等の観点から、カーボンフットプリントの情報開示が求められるようになってきています。
カーボンフットプリント(CFP:Carbon Footprint of Products)とは、製品のライフサイクル全体(原材料調達から廃棄・リサイクル)を通した温室効果ガス排出量をCO2排出量に換算した値です。国際規格としては、ISO 14067があります。
製品のカーボンフットプリントの数値に対する「信頼性担保」の需要も高まっています。信頼性担保の有効な手段の1つとして、CFP算定後の「検証」が挙げられます。LCA(ライフサイクルアセスメント)やCFPの算定結果には、必ず不確かさが存在します。CFPを提供される側としては、CFPの信頼性に疑問を持つ可能性があります。検証とは、算定ルールや要求事項などに基づいて算定されたかを客観的に確認することです。CFP算定後に検証を実施することにより、客観的に確認したCFPを取引先や消費者に提供することができ、CFPを提供される側としても信頼性のあるデータとなります。
検証実施を考えた際には、選択肢として外部による検証もあるものの、社内で検証可能な体制を構築する手段もあります。社内体制を構築することにより、企業が扱う多くの製品のCFP算定を、効率的且つ継続的に一定の信頼性を担保した形で実施できるようになります。社内で構築した体制に対する認証でもある、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)が運営する「SuMPO/第三者認証型CFP包括算定制度」が展開されています。ここでは、どのような制度なのか、本制度の認証取得に向けた支援をしている当センターが詳しく解説します。
目次
本制度の要求事項に沿って事業者が構築した「CFP算定と検証の運用体制(仕組み)」に対して、SuMPOが妥当性を認証する制度です。本制度の認証範囲は下図のようになります。CFP算定と検証の運用体制に対して、第三者による妥当性の認証を取得することにより、その仕組みから算定されたCFPは一定の信頼性を持つと考えることができます。
【注意】
本制度の認証範囲は「CFP算定と検証の運用体制」であり、個別製品の算定結果を1個ずつ認証するものではありません。
本制度の認証取得することによる主なメリットを以下に記載します。
申請を希望する事業者は、本制度の要求事項に沿う形で「CFP算定と検証の運用体制(マネジメントシステム)」、「運用体制を文書化したガイドライン(運用するためのマニュアル)」、「Internal-PCR(社内のCFP算定ルール)」を構築する必要があります。
なお、Internal-PCR(Internal Product Category Rule)とは、製品群ごとの共通LCA算定ルールを意味します。申請事業者の社内(Internal)で使用する製品群ごとの共通LCA算定ルールとなることから、本制度で独自に「Internal-PCR」という用語を定義しています。
本制度の要求事項は「CFP包括算定制度 基本文書」と「Internal-PCR 策定要領」の2種類があります。下図に示す通り、CFP算定と検証の運用体制と運用体制を文書化したガイドラインは「CFP包括算定制度 基本文書」、Internal-PCRは「Internal-PCR 策定要領」に基づいて構築する必要があります。
各要求事項の主な内容は以下の通りです。(2025年2月時点)
【CFP包括算定制度 基本文書】
【Internal-PCR 策定要領】
本制度の要求事項(CFP包括算定制度 基本文書、Internal-PCR 策定要領)を満たすものであれば、算定ツール(LCAデータベース、LCAソフトウェア)は自由に選択することができます。(2025年2月時点)
まずは、要求事項に基づき、CFP算定と検証の運用体制と文書類(運用ガイドラインやInternal-PCRなど)を構築します。その後、SuMPO事務局が主催する内部検証員に対する研修および試験を受講し、合格する必要があります。CFP包括算定制度 基本文書において、内部検証員の力量要件として定められており、合格しない限り、本制度の内部検証員とは認められません。力量要件を満たしたCFP算定者や内部検証員による試験運用を経て、認証審査に進みます。
認証取得までの流れは以下の通りです。
(注)上記に記載した期間は目安であり保証するものではありません。
認証審査は、複数の段階に分かれています。審査員が審査する「第一段階審査」と「第二段階審査」、審査結果の妥当性を確認する「レビューパネル(審査員とは別の外部委員で構成)」を経て合格となれば、本制度の認証取得となります。
認証審査は以下の通りです。
本制度の認証取得済み企業がどのような製品群で認証取得しているか、SuMPOのWEBサイトに掲載されておりますのでご参照ください。
認証企業一覧は
こちら
(SuMPOのWEBサイトに移動します)
認証取得する範囲(対象組織、対象製品群など)によって変動しますので、一度ご相談ください。なお、認証取得に必要な金額は大きく分けて3つとなり、①認証審査費、②内部検証員に対する研修費、③コンサル費(任意)です。
認証取得の参考金額例は
こちら
(SuMPOのWEBサイトに移動します)
SuMPOが運営・認証する「SuMPO/第三者認証型CFP包括算定制度」について、ご紹介しました。本制度は、企業が扱う多種多様な製品に対して、一定の信頼性を担保しながら効率的にCFP算定する有効な手段になるかと思います。
当センターは、SuMPO/第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度の認証取得に向けた「ご支援」を実施しております。本制度に関するお問い合わせございましたら、お気軽にご相談ください。
サステナビリティ経営推進部 サステナビリティ戦略推進室
TEL:
03-6736-5406