防ダニ性試験(JIS L 1920)

概要

 防ダニ加工が施された繊維製品の室内じん性ダニ(ヤケヒョウヒダニ)に対する忌避効果(ダニを寄せ付けない効果)、増殖抑制効果(ダニを増やさない効果)および通過防止効果(ダニを物理的に通過させない効果)を評価します。繊維製品の防ダニ性試験 JIS L 1920 では、評価項目(防ダニ加工の種類)と試料の種類によって試験方法を選択します。

評価項目 試験方法 試料の種類
忌避効果 侵入阻止法 カーペット、ふとん側地、カバー、シーツ類、毛布など
ガラス管法 A法 わた(綿、羊毛、合成繊維)など
B法 羽毛など
増殖抑制効果 増殖抑制試験 A法 カーペット、ふとん側地、カバー、シーツ類、毛布など
B法 ふとんわたなど
通過防止効果 通過防止試験 ふとん側地、カバー、シーツ類、マットレス側地など

試験対象品
  • カーペット
  • ふとん側地
  • カバー・シーツ類
  • 毛布
  • わた
  • 羊毛
  • 合成繊維
  • 羽毛
  • マットレス側地
侵入阻止法(忌避効果)
試験方法
  1. シャーレ大にダニ1万匹を撒きます。
  2. シャーレ小に直径約40mmの加工試料または未加工試料を入れます。
  3. 試料の中央部にダニの餌を置き、さらにシャーレ小をシャーレ大の中央部におきます。
  4. 24時間静置後、シャーレ小の中に誘引された生存ダニを計数し、忌避率を算出します。


試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
忌避率 原品 62.2%

JIS L 1920 侵入阻止法

供試ダニ:ヤケヒョウヒダニ

洗濯方法:JIS L 1930 C4M法吊干し

洗濯3回後 51.6%
試験結果の見方
 忌避率が大きいほど、ダニを寄せ付けない効果があります。
ガラス管法(忌避効果)
試験方法
A法
  1. ガラス管の一方を粘着テープで塞ぎ、この粘着面にダニ誘引用の餌を付着させます。
  2. ダニ計数用わた0.025gを詰め込み、続いて0.4gの加工試料または未加工試料を詰め込みます。
  3. このガラス管にダニ1万匹を含むダニ培地を入れ、高密度織物で封をします。
  4. 48時間静置後、ダニ計数用わたと粘着テープ上の生存ダニを計数し、忌避率を算出します。


【A法の試験装置】


B法
A法と同様の操作ですが、試料は0.08gとし、試料の端には固定具を使用して羽毛の飛び出しを防止します。
 
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
忌避率 わた試料 40.6%

JIS L 1920 ガラス管法A法

供試ダニ:ヤケヒョウヒダニ

羽毛試料 37.1%

JIS L 1920 ガラス管法B法

供試ダニ:ヤケヒョウヒダニ

試料:原品
試験結果の見方
 忌避率が大きいほど、ダニを寄せ付けない効果があります。
増殖抑制試験(増殖抑制効果)
試験方法

A法

  1. シャーレ小に直径約40mmの加工試料または未加工試料を敷き詰めます。
  2. 50〜80匹/0.1gのダニ培地を試料にばらまきます。
  3. 4および6週間放置後、シャーレ内の生存ダニを計数し、増殖抑制率を算出します。
    (加工剤が遅効性の場合は、8週間放置まで延長可)


 

B法

  1. サンプル瓶に加工試料または未加工試料1gを敷き詰めます。
  2. 50〜80匹/0.1gのダニ培地を試料にばらまきます。
  3. 4および6週間放置後、サンプル管瓶内の生存ダニを計数し、増殖抑制率を算出します。
    (加工剤が遅効性の場合は、8週間放置まで延長可)

 
A法試験装置図 B法試験装置図
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
増殖抑制率 4週間後 66.9%

JIS L 1920 増殖抑制試験A法

供試ダニ:ヤケヒョウヒダニ

6週間後 78.0%
試料:原品


 

試験項目 試験結果 試験方法
増殖抑制率 4週間後 66.9%

JIS L 1920 増殖抑制試験B法

供試ダニ:ヤケヒョウヒダニ

4週間後 78.0%
8週間後 80.0%
試料:原品
試験結果の見方
  増殖抑制率が大きいほど、ダニの増殖を抑える効果があります。
通過防止試験(通過防止効果)
試験方法
  1. ガラス管の片面に接着剤を塗布し試料(約50mm×50mm)を貼ります。
  2. その上からフィルムを被せゴムバンドで留め、余分なフィルム端を粘着テープで目張りします。
  3. ガラス管をひっくり返しダニを1万匹入れ、ガラス管に接着剤を塗布しろ紙を被せて接着します。
  4. 接着後、ろ紙面を下にします。
  5. 24時間静置後、フィルム面から試料面にいるダニ数(幼虫・若虫、成虫)を計測します。また、標準布(綿布・かなきん3号)も同様に操作します。



試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法

掛けカバー

標準布
ダニ通過数 N=1 0匹 >100匹

JIS L 1920 通過防止試験

供試ダニ:ヤケヒョウヒダニ

N=2 0匹 >100匹
N=3 0匹 >100匹
試料:原品
試験結果の見方
 ダニ通過数が少ないほど、ダニの通過を抑える効果があります。