材料の物性(融解温度、ガラス転移温度、結晶化温度など)の評価のほか、昇華、蒸発、熱分解、脱水等の重量変化や熱収縮のような形状変化の測定も可能です。
熱分析は、材料の基礎研究や開発に用いられるだけでなく、材料の同定、熱安定性の評価などにも用いられます。
各分析手法と測定対象
名称 | 測定対象 | |
---|---|---|
DSC |
示差走査熱量測定 Differential Scanning Calorimetry |
熱量 |
DTA |
示差熱分析 Differential Thermal Analysis |
温度 |
TG (TGA) |
熱重量測定 Thermo Gravimetry(Thermo Gravimetry Analyzer) |
重量 |
TMA |
熱機械分析 Thermomechanical Analyzer |
長さ |
各分析手法と測定対象
現象/物性 | 分析手法 | |||
---|---|---|---|---|
DSC | DTA | TG | TMA | |
融解 | 〇 | 〇 | ー | △ |
ガラス転移 | 〇 | 〇 | ー | ー |
結晶化 | 〇 | 〇 | ー | △ |
硬化・重合 | 〇 | 〇 | △ | 〇 |
昇華、蒸発、脱水 | △ | △ | 〇 | △ |
熱分解 | △ | △ | 〇 | ー |
熱膨張、熱収縮 | ー | ー | ー | 〇 |
熱履歴 | 〇 | 〇 | ー | 〇 |
比熱容量 | 〇 | ー | ー | ー |
〇:可能 △:試料や目的により可能
注)
融解:固体が液体に変わる現象。融解する温度を融点という。
ガラス転移:溶融状態にある物質を急激に冷却した時に流動性のないガラス状の固体(非晶質固体)になること。
結晶化:液体や非晶質個体が周期的な原子配列をもつ固体物質に変化する現象。
熱履歴:材料が受けた成形時の温度や冷却スピード、材料の再利用、使用環境温度などの温度変化の履歴。
DSC/ DTA(示差走査熱量測定/ 示差熱分析)では、融解、ガラス転移、結晶化や硬化・重合反応の状態の観測、熱履歴の違いの比較などが測定できます。DSCでは、さらに比熱容量も測定可能です。
DSC装置 | TG-DTA装置 |
TG(熱重量測定)では、昇華、蒸発、脱水、熱分解等に伴う重量変化を測定できます。DTAとTGを同時に測定するTG-DTAが普及しています。
TG-DTA装置 |
TMA(熱機械分析)では、試料に一定の荷重加えながら温度を変化させたときの試料寸法の変化を測定します。
TMA装置 |