2024年8月20日、産業標準化法に基づきJIS L 0001:2024(繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法)が官報にて公示されました。JISの公示と同日の2024年8月20日に「消費者庁告示第9号」にて、家庭用品品質表示法(昭和37年法律第104号)に基づき、繊維製品品質表示規程(平成29年消費者庁告示第4号)の一部が改正されました。
 この改正では、次の取扱方法の表示にJIS L 0001:2024に規定された取扱表示記号を用いる必要があるとしています。

  • 家庭洗濯における洗濯処理
  • 漂白処理
  • 乾燥処理
  • アイロン仕上げ処理
  • 商業クリーニング処理

改正の背景

 日本は1995年1月、WTO(World Trade Organization/世界貿易機構)発足と同時に加盟し、TBT協定(Agreement on Technical Barriers to Trade/貿易の技術的障害に関する協定)に批准しています。WTO/TBT協定は、各国の規制等で用いられる強制規格や任意規格を国際規格に整合化していくことで、規格による不必要な国際貿易上の障害を排除し、公正で円滑な国際貿易の実現を目的としています(経済産業省HPより)。このTBT協定により、日本産業規格であるJISは国際規格であるISO(International Organization for Standardization)に整合する必要があります。
 2023年12月、ISO 3758 (Textiles — Care labelling code using symbols)は、各国からの要請に基づき改正されました。この改正に伴い、ISO 3758を基としたJIS L 0001は、ISO 3758:2023に整合する必要が生じました。

改正のポイント

 JIS L 0001:2024では、次の取扱表示記号が追加・変更されました。

新たな記号の追加

記号の変更

アイロン処理温度等の変更

ドライクリーニング処理に使用可能な溶剤の追加

 日本国内のドライクリーニング溶剤は、主にパークロロエチレンや石油系溶剤が主流ですが、欧州ではジブトキシメタンやデカメチルペンタシクロシロキサンを用いてドライクリーニングを行うこともあります。今回ISO 3758:2023に追加されたことに伴い、JIS L 0001:2024にも追加されました。

 

 

取扱表示記号の新旧比較

JIS公示後の経過措置

 「消費者庁告示第9号」では、繊維製品品質表示規程の一部改正と併せて、告示の附則として施行期日と経過措置が次のように告示されました。
施行期日:2024年8月20日から施行する
経過措置:2025年8月19日までの間に繊維製品の品質に関する表示が行われるものについては、なお従前の例によることができる。

この告示を分かりやすく説明すると以下の内容になります。
 

経過措置期間の考え方
  • 旧取扱記号で表示された製品は、原則2025年8月19日まで販売が可能です。
  • 経過措置期間終了後に、小売店の店頭にある流通在庫については、旧取扱記号の表示のままでの販売が可能です。
  • 2025年8月19日までに、順次新取扱記号に切り替えることが重要な点です。


 

取扱表示記号の入手先

 JIS L 0001:2024で規定されている取扱表示記号は、 一般財団法人日本規格協会 で販売しております。詳細は、直接一般財団法人日本規格協会にお問い合わせください。
 ISO 3758:2023またはJIS L 0001:2024に規定されている取扱表示記号は、GINETEXが知的財産権を有し、その使用を監督する非営利団体です。これら記号はISO 3758:2023の基礎となっており、商標権保有者たるGINETEXとISOとの間の合意のもとに策定されています。これらの記号を用いた繊維製品やパンフレットなどを、海外で販売される場合は、GINETEXの日本唯一のナショナルメンバーである当センターが日本企業への使用許諾業務を行っています。詳しくは こちら をご覧ください。
 

セミナー動画

 当センターでは、「JIS L 0001:2024改正内容について」というセミナー動画を制作いたしました。さらに知識や理解度を深めたい方は是非ご視聴ください。

  • セミナー動画時間:約15分
  • 無料で視聴できます。
  • 音声が出ますのでご注意ください。
  • 字幕が出ますので、音声OFFでもご視聴できます。