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堅ろう度試験(概要)


「堅ろう」は「堅牢」とも書き、丈夫さ(抵抗性)を意味します。


堅ろう度は、正式には「染色堅ろう度」といいます。つまり染色堅ろう度試験とは、染料などで染色された生地の、染色の丈夫さ(抵抗性)、いわゆる「色の変わりにくさ」、代表的には「色落ちのしにくさ」をみるものです。

例えば、「この生地を使ってシャツを作ったときに、洗濯の作用による色落ちは大丈夫なのか?」とか、「この水着の色はプールの塩素の作用による色落ちに耐えられるのか?」などといったことを確認できます。


堅ろう度は、JIS規格でその試験方法が定められています。アパレル業界では、量販店や通販店への「納入前検査」が定番となっており、多くの場合堅ろう度の検査が求められます。

生地性能を確認しないままうっかり堅ろう度性能が良くない生地で製品を作ってしまうと、場合によっては変色事故が起きるかもしれません。どんなに色合いやデザインが良いものでも、洗濯してすぐに色が変わったりしてしまったら、お客様はどう思われるでしょうか?堅ろう度試験には、そんな危険を事前に察知する意味合いがあるのです。


もう少し、踏み込んでみましょう。


堅ろう度には、二つの概念があります。ひとつは、色の変化の程度を示す「変退色」、もうひとつは、染料などの色素が移る程度を示す「汚染」です。変退色とは、変色と退色が合成された言葉です。汚染は読んで字のごとし、周囲に色移りが生じていく現象のことです。


変退色

赤色のTシャツを洗濯して、Tシャツの赤色が薄くなってしまいピンク色になってしまった、という経験はありませんか?

この場合、Tシャツの色に変退色が生じたことになります。



汚染

真新しいブルー・ジーンズと白いTシャツを一緒に洗濯して、Tシャツが青く染まってしまった、といった経験はありませんか?

この場合、ブルー・ジーンズが白いTシャツを汚染してしまったことになります。







堅ろう度の評価は、数値化された評価です。


「全然色落ちしない」とか「わずかに色落ちする」といった主観的な表現は、現物を見ている人しか具体的な程度がわかりません。例えば、電話などで色落ちの程度を伝えようとした場合、双方の解釈に違いが出ることもあるかもしれません。ましてや、納品する際に解釈の違いがあったりしたら、一大事になりかねません。


ところが数値で表しますと客観性があり、直接現物を見ないでもその色落ちの程度を客観的に伝えることができます。この数値の単位には、級数(グレード)を用います。「変退色4級」、「汚染5級」というような表現が堅ろう度の結果となります。


級数判定

通常、堅ろう度の数値は1級から5級までを半階級刻みで表します。数値が大きいほど良い結果を表し、5、4-5、4、3-4、3、2-3、2、1-2、1の順で低くなります。堅ろう度の級数で「3-4級」は、「3」と「4」を「-」(ハイフン記号)でつないで"さん、よんきゅう"という読み方をします。


「堅ろう度」はどんなものなのか?ということが漠然とでもおわかりいただけたでしょうか?






堅ろう度の試験には、「変退色」や「汚染」以外にもいくつかの専門用語が出てきます。ここからは、それらの専門用語について紹介して行きます。


目視判定風景

「判定」


堅ろう度の処理を行い、処理前の試験片と処理後の試験片を比較して、目視または機械を使用して変退色や汚染の数値(級数)を決めますが、この数値を決めることを「判定」と呼びます。

目視による判定の際には基準物「グレースケール」を使います。「グレースケール」や「判定の際の照明の条件」などもJIS規格で定められています。



「グレースケール」


判定で使用する基準物を「グレースケール」といいます。

グレースケールには、「変退色用グレースケール」と「汚染用グレースケール」があります。グレースケールには9対の色票があり、それぞれの色票に2種類の濃さの異なる色の色票が付いています。9つの色票の2種類の色のうち、一方の色は同じ色です。もう一方の色が段階的に変わっていきます。


グレースケール

例えば「変退色用グレースケールの5級の色票」ですと、「黒色」と「黒色」が対になって並んでおり、これが4級、3級と数値が低くなるにつれて「黒色」と「濃い灰色」、「黒色」と「薄い灰色」という組み合わせに変わっていきます。(色の差が段階的に変化していきます)

これをスケール(ものさし)として、処理前の試験片と処理後の試験片を並べたときの色の変化と、最も近い変退色用グレースケールの色票(級数)がどれなのか?ということを見比べて、変退色の数値を決定(判定)します。


また、「汚染用グレースケールの5級の色票」ですと「白色」と「白色」が対になって並んでおり、4級、3級と数値が低くなるにつれて「白色」と「薄い灰色」、「白色」と「濃い灰色」という組み合わせに変わっていきます。(色の差が段階的に変化していきます)


堅ろう度試験では、処理を行う際に生地に白布を取り付けて「複合試験片」として処理を行うことがあります。この場合、取り付けた白布に汚染する色の程度が汚染の級数となります。

汚染の判定では、「汚染用グレースケール」をものさしとして、処理前の白布と処理後の白布を並べた色の変化と、最も近い汚染用グレースケールの色票(級数)がどれなのか?ということを見比べて、汚染の数値を決定(判定)します。


判定イメージ

「添付白布」


堅ろう度の処理の際に、試験片に取り付ける白布を「添付白布」といいます。添付白布には、綿、絹、ナイロン、ポリエステルなどの種類があり、繊維の種類や汚染性などがJIS規格で定められています。

多くの堅ろう度試験では、2種類の添付白布を試験片に取り付けて処理を行います。堅ろう度の汚染は、添付白布に対する汚染性の評価です。






堅ろう度試験には、いろいろな種類があります。

例えば、光に対する堅ろう度試験、洗濯に対する堅ろう度試験、汗に対する堅ろう度試験、摩擦に対する堅ろう度試験などいろいろな試験があります。これらの試験方法はJIS規格で定められています。

試験方法は日本ではJIS規格が主流ですが、アメリカのAATCC規格や国際規格のISO規格にも堅ろう度の試験方法があります。

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