欧州POPs規則

    残留性有機汚染物質(POPs)に関する欧州規則

    (Regulation (EU) 2019/1021)

     
    • 残留性有機汚染物質 POPsとは?

       POPsはPersistent Organic Pollutants の略でダイオキシン類、PCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有機化合物で、難分解性、高蓄積性、長距離移動性、有害性(人の健康・生態系)を持つ化学物質のことを指します。POPsによる地球規模での汚染が懸念されることから、国際的に協調してPOPsの廃絶、削減等を行う必要性から、2001年5月に「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)が採択されました。

    • 欧州POPs規則とは?

       EUヨーロッパ連合は、POPs条約のもと条約締約国としての義務履行のため欧州POPs規則を2004年に制定、2019年に改訂・強化され現在に至ります。

       POPs規則には5つの附属書があり、附属書IのパートAには、ストックホルム条約(POPs条約)又はPOPs議定書の両方に収載されている物質、及びPOPs条約にのみ収載されている物質が含まれます。 欧州POPs規則に新たな物質を追加するには、POPs条約又はPOPs議定書に掲載されていることが条件となります。
     
    分類 規制概要

    収載されている物質の製造、上市、使用を禁止

    Part A:

    POPs条約と議定書の両方で指定されている物質および条約のみで指定されている物質

    Part B:

    議定書のみで指定されている物質

    収載されている物質の製造、上市、使用を制限

    Part A:

    POPs条約と議定書の両方で指定されている物質および条約のみで指定されている物質

    Part B:

    議定書のみで指定されている物質

    掲載されている物質を排出削減の対象とする 加盟国は長期的にこれらの物質の排出ゼロを目指す

    掲載されている物質を含む廃棄物またはこれらの物質に汚染された廃棄物を管理対象とする 廃棄物の処分や再生利用の結果生じる物質が残留性有害汚染 物質の性質を示さないよう附属書ⅤのPart 1に従って処理を実施する

    掲載されている廃棄物管理を加盟国に義務づけ

    Part 1:

    廃棄物の処理方法

    除染不可能であり、処理により環境への負荷が生じる特定の廃棄物管理方法要件

    リンク

     

    POPs規則における主な義務

    • 附属書Ⅰに記載されている物質、またはその物質を含む混合物、およびその物質を含む成形品の製造・上市の禁止
    • 附属書Ⅱ に記載されている物質の製造・上市・使用は、安全で効果的、かつ安価な代替品が当該国で入手できない場合に限定

    適用除外

    1. 試験研究用途
    2. 物質、混合物又は成形品中に、附属書Ⅰ又は附属書Ⅱに規定される意図しない微量汚染物質として存在する物質
     

    (参考)附属書Ⅰ(Part A)

    (リストは2023年8月現在のものです。最新版はECHAのウェブサイトでご確認ください)
    物質名 CAS#
    テトラブロモジフェニル エーテル 1)

    40088-47-9 ほか多数

    用途)難燃剤

    ペンタブロモジフェニル エーテル 1)

    32534-81-9 ほか多数

    用途)難燃剤

    ヘキサブロモジフェニル エーテル 1)

    36483-60-0 ほか多数

    用途)難燃剤

    ヘプタブロモジフェニル エーテル 1) 

    68928-80-3 ほか多数

    用途)難燃剤

    ビス(ペンタブロモフェニル)エーテル、デカブロモジフェニルエーテル (decaBDE) 1) 1163-19-5

    用途)難燃剤

    パーフルオロオクタンスルホン酸および誘導体 (PFOS) 多数

    用途)撥水剤、防汚剤、塗料、接着剤、消火泡

    DDT 50-29-3

    用途)殺虫剤

    クロルデン 57-74-9

    用途)殺虫剤

    ヘキサクロロシクロヘキサン (HCH) 

    リンデンを含む

    58-89-9

    用途)殺虫剤

    ディルドリン 60-57-1

    用途)殺虫剤

    エンドリン 72-20-8

    用途)殺虫剤

    ヘプタクロル 76-44-8

    用途)殺虫剤、防蟻剤、木材処理剤

    エンドスルファン 多数

    用途)農薬、殺虫剤

    ヘキサクロロベンゼン (HCB) 118-74-1

    用途)殺虫剤、殺菌剤、花火

    クロルデコン 143-50-0 143-50-0

    用途)殺虫剤

    アルドリン 309-00-2

    用途)殺虫剤

    ペンタクロロベンゼン (PeCB)  608-93-5

    用途)難燃剤

    ポリ塩化ビフェニル (PCB)

    1336-36-3 ほか多数

    用途)塗料、オイル、電気機器、冷却液、絶縁液、可塑剤

    マイレックス 2385-85-5

    用途)殺虫剤、防蟻剤、難燃剤

    トキサフェン 8001-35-2

    用途)殺虫剤

    ヘキサブロモビフェニル (HBB) 1) 36355-01-8

    用途)難燃剤

    ヘキサブロモシクロドデカン (HBCDD)  多数

    用途)難燃剤

    ヘキサクロロブタジエン (HCBD)  87-68-3

    用途)溶剤、合成ゴム

    ペンタクロロフェノール (PCP) およびその塩およびエステル 87-86-5 ほか多数

    用途)殺虫剤、除草剤、殺菌剤、皮革および木材の防腐剤

    ポリ塩化ナフタレン (PCN) 70776-03-3 ほか多数

    用途)コンデンサー、添加剤、ケーブル絶縁体、防腐剤

    クロロアルカン C10-C13、(短鎖塩素化パラフィン) (SCCP)  85535-84-8 ほか多数

    用途)潤滑剤、金属加工、難燃剤、軟化剤、可塑剤、シーラント、冷却剤、塗料、コーティング剤

    ペルフルオロオクタン酸 (PFOA)、その塩および PFOA 関連物質 335-67-1 ほか多数

    用途)消火剤、耐熱剤、撥水剤、撥油剤、防汚剤

    ジコホル 115-32-2

    用途)殺虫剤

    ペルフルオロヘキサンスルホン酸 (PFHxS)、その塩および PFHxS 関連物質 355-46-4 ほか多数

    用途)消火剤、殺虫剤、難燃剤、撥水剤、撥油剤

     

     当センターでは、POPs規則における規制化学物質の分析を行っています。お客様のご要望に応じたメニューをご提案させて頂きますので、最寄りの事業所・検査所までお問い合わせください。