米国は、児童用玩具および3歳までの育児用品のフタル酸エステル類含有量に規制を設けており、これらの品目を米国市場に上市するためには、米国消費者製品安全委員会(CPSC)が認定する第三者機関による適合試験に合格しなければならないと定めています。
今年8月、CPSCは特定のプラスチック7種をこの第三者試験義務の対象外とする最終規則を発表しました。
2017年9月29日より、連邦規則集1308章(16CFR 1308)が指定する添加剤で処理された以下のプラスチック7種については、フタル酸エステル類の第三者試験が免除されます。
★ポリプロピレン/Polypropylene (PP) ★ポリエチレン/Polyethylene (PE) ★汎用ポリスチレン/General purpose polystyrene (GPPS) ★中耐衝撃性ポリスチレン/Medium-impact polystyrene (MIPS) ★高耐衝撃性ポリスチレン/High-impact polystyrene (HIPS) ★超耐衝撃性ポリスチレン/Super high-impact polystyrene (SHIPS) ★ABS樹脂/Acrylonitrile butadiene styrene (ABS) |
本免除規則は、試験コストを削減し製造者および輸入者の経済的負担軽減を目的とし、制定されたものです。あくまで第三者試験が免除されるだけであり、CPSIAの第108条にあるフタル酸エステル類の規制の要求事項は依然として遵守しなければなりません。
生殖毒性などの懸念があるとされ、世界各国でフタル酸エステル類を規制する動きは高まっています。フタル酸エステル類は、プラスチックを加工する際の可塑剤として利用される化学物質であり、プラスチック製品をはじめ、弾性素材(例:ポリウレタン)、フォーム素材(例:ウレタンフォーム)、コーティング、プリント、接着剤などに添加される場合があります。
また、規制対象品目である「育児用品」は「3歳以下の子供の睡眠、食事を補助するための製品」と定義されており、衣類ではパジャマやビブなどがこれに該当します。