マスクのPFE(微小粒子捕集効率)試験のご案内

2013.02.13
試験・検査
    ☆はじめに☆
すでにカケンでは、「花粉粒子の捕集ろ過効率試験」、「BFE(細菌ろ過効率)試験」など、マスクに使用されるフィルター材料の捕集ろ過性能(以下、バリア性とします)について、試験受託を実施しております。これら試験で各々使用される試験粒子の大きさは、花粉粒子の場合約30μm 直径、細菌を含むエアロゾルの場合平均約3μm 直径となっています。 近年、これらより微小な大きさの試験粒子に対するバリア性評価のご要望が増加してまいりました。そこでカケンでは、PFE(微小粒子捕集効率)試験方法について調査研究をおこない、PFE 試験が可能な試験装置の開発・導入をおこないました。

☆試験の概要☆


・装置構成について
 導入した装置は、ASTM F 2299「医療用フェイスマスク素材の、ポリスチレンラテックス球による初期捕集効率試験方法」に規定されている仕様にもとづいた装置としました。
 この装置は、HEPA フィルターによりクリーンな環境に維持された試験チャンバー中に、試験粒子を連続安定供給し一定流量で吸引しながら、試験片であるフィルター材料前後(上流側、下流側)の粒子数をパーティクルカウンター二台で計測し、捕集効率を測定できる装置構成となっています。

・算出式について
 捕集効率は、次式にて算出されます。
 PFE % =( 1−下流側粒子数/上流側粒子数)×100

・試験粒子について
 試験粒子は、ASTM F 2299 規格にもとづき単一粒径のポリスチレンラテックス粒子を用います。ASTM F 2100「医療用フェイスマスクに使用される材料の性能仕様」に0.1μm 粒径の試験粒子を使用した場合の性能区分が記載されていることから、カケンでは通常、粒径0.1μm のポリスチレンラテックス粒子を試験粒子として使用しています。

・粒子中和について
 なお、ASTM F 2299 では、粒子中和器を用い試験粒子を除電した上で試験することになっています。カケンの装置では、この規格通りの「除電状態での測定」のみならず、海外の業界で一般的な「除電をしない状態での測定」とを、選択して試験することが可能となっています。


☆さいごに☆

 このPFE 試験は、マスク製品そのものではなく、マスクに使用されている「フィルター材料」の性能評価を目的とするものです。したがいまして、試験試料には製品としてのマスクではなく、シート状のマスク・フィルター材料、もしくは、マスク製品を切り開いてシート状にしたものを供することになりますので、ご留意下さい。
 なお、モールドタイプ等の立体成形型マスク製品では試験に適用できない場合がありますので、あらかじめご了承下さい。